presented by10+11錦秋号New Car Impression

層の厚いCセグメントに放たれたトヨタの野心

TOYOTA AURIS

プロフィール

野心的なフォルム

VWゴルフを代表とするハッチバックは、現在“Cセグメント”としてくくられている。この市場に各メーカーが投入してくる車種は、総じてスポーツマインドに満ちており、なおかつ価格もリーズナブル。なぜなら、ここにインパクトのある車を送り出すことが、ブランド価値を高める推進力へと直結するからだ。それだけ、世界中のドライバーがメーカーの動向に着目するカテゴリーと言える。 カローラ・ハッチバックの後継車として2006年に国内初登場したオーリスは、翌年になって欧州デビューし、イギリス工場でハイブリッドバージョンの生産を開始した。その一方で、2009年のマイナーチェンジにより着実にスポーツ化へと進化を遂げ、欧州での苛烈なCセグメント市場へ挑もうとするトヨタの野心を象徴するモデルとなった。 そんなオーリスが、去る8月20日にフルモデルチェンジを果たした。 写真でご覧のとおり、そのルックスはメーカーの野心をそのまま映し出したかのように挑発的である。

約55mmの低床化

旧オーリスのデザインは全体的に丸みを帯びたとっつき易いものだったが、悪く言えば没個性的であり、ゆえに最大の弱点ともなっていた。その反動からか、新型オーリスには思い切りの良いアグレッシブなデザインが与えられている。特に、突き出たノーズを頂点として、左右斜め後方に鋭角的なラインを描きながら切れ長のヘッドライトへと流れていくフォルムは、この車の持つ運動性能を最も端的に表していると言えよう。さらに、ヘッドライトエンドからリアへ、サイドプレスラインが尻上がりに真っ直ぐ描かれており、新型オーリスによって切り裂かれた空気が一挙に後方へ押しやられる様を想像させる。リアへ回って見ると、コンビネーションライトが両サイドからセンターに向かって刃物のように伸びる形状で、そこから放たれる光は後続車を鋭く見据えることであろう。 1460mm(4WDは1480mm)と旧モデルから一挙に約55mm引き下げられた全高からは威圧感すら漂っており、この車がスポーツカーの系譜に立つことを如実に物語っている。

ドライバーのやる気を誘発

全長4275mmと、わずか20mm伸びたものの、全幅は1760mm、ホイールベースは2600mmで、いずれも旧モデルと同様である。にも関わらず、全く別の車のように感じられるのは、デザイン変更を別にすればひとえに低重心化の恩恵だ。そして、シートに座った瞬間に、あらためてその違いを実感する。着座位置が40mm引き下げられていることから、路面がよりダイレクトに感じられるからだ。また、一般的なファミリーカーと比較すると、ステアリングの傾斜が垂直方向に立っていることにも気付く。これもすなわち、スポーツカーならではの演出。ファブリックシートから身体に伝わるホールド感、本革巻きステアリングや本革巻きシフトノブの柔らかな手触り、スポーティーなデザインのコンビネーションメーターなど、コクピットに着座した瞬間ドライバーのやる気を引き出す魅惑の設計が随所に見られる。 今回は1・5Lと1・8Lの2グレードが配備されており、道内で根強い人気の4WDは1・5Lに設定。吸気バルブリフトを連続的に変化させるバルブマチック付き2ZR‐FAEエンジンを搭載する1・8Lは最大で144ps/6200rpmを発生するRSパッケージ(6速マニュアルシフト、ガソリンはハイオクを設定)などがあり、燃焼効率の向上と低フリクション化を図った新開発1NZ‐FEエンジンを搭載する1・5Lバージョンは、最大で108ps/6000rpmを発生する2WD車などを用意。どれを選択するかは好みの問題となってくるが、経済性に目をつぶってまで走りを追求するポテンシャルが1・8L・RSパッケージに備わっているか否かという点においては、多少の議論の余地がありそうだ。 燃費は1・5Lの2WD車で18・2km/L。さらに、アイドリングストップシステムをオプション搭載した場合は19・2km/Lと、ファミリーカー並みの秀逸な数値を誇る。インテリアは機能性に富み、贅沢過ぎず、さりとてチープではない絶妙な質感が良い。また、フロントシートに薄型のシートバックを採用し、後部座席の膝まわりが窮屈にならないような工夫が見られる。操作性に目を向けると、最小回転半径を5・2m(17インチタイヤ装着時は5・4m)と、取り回しも容易である。このあたりは、ファミリーユースを十分に意識した設計と言えそうだ。それでいて、マニュアル感覚でシフトチェンジができる7速スポーツシーケンシャルシフトマッチを標準搭載するなど、リラクゼーションとドライビングプレジャーの二面性を合わせ持ち、その点に好感を覚える向きも多いだろう。

トヨタ AURIS詳細写真

インプレッション

路面をダイレクトに捉える

今回試乗に提供されたのは、1・5Lの4WDバージョンにディスチャージヘッドランプを搭載したSパッケージ(217万7400円)。ドアを閉めると外の喧騒が一気に遮断され、車内にシンとした静寂が訪れる。その瞬間、旧モデルから飛躍的なボディ剛性の向上を獲得したことを実感する。そして、走行時の静粛性も期待以上であった。 Dレンジで走行の際、発進から3000回転までややもたつきが見られるが、その後の吹け上がりは心地よい。一方、マニュアル感覚のスポーツシーケンシャルシフトマッチは、ムラのない加速からドライバーのイメージ通りに高速走行へと移ることができる。 ステアリングのタッチはダイレクトなフィーリングで、カッチリと路面にフィットする。フロントにマクファーソンストラット、リアにダブルウィッシュボーンを備えた(1・5L・2WDはリアにトーションビームを採用)サスペンションにより、安定的な挙動が約束され、また持ち前の旋回性能と相まって、ラインをしっかりと捉えた質の高いコーナーリングが導き出される。旋回性能の高さゆえ、低速で急カーブに侵入する際など、ステアリングを切り過ぎないよう注意しなければならないケースさえあった。 ブレーキングの際の挙動も安定しており、ベンチレーテッドディスクが乗り手の意図を忠実にホイールへ伝えてくれる。軽妙なタッチのブレーキペダルは、踏み込んだ際の力加減をそのまま制御へとつなげてくれるリアル感に満ち、まさに車との一体感が楽しめるというわけだ。 なお、総重量と燃費が犠牲になってしまう4WDバージョンだが、スイッチひとつでFF駆動に切り替えられるので、賢く使えばデメリットを感じることも少ないだろう。いずれにしても、購入の際には2車種以上に試乗し、じっくりと比較検討したいところである。

欧州市場への挑戦

 今回フルモデルチェンジを果たしたオーリスが主なターゲットとしたユーザー層は、ステアリングを握ることが楽しくてしょうがないという若年層であることは明らかだ。車離れが著しいその世代を、いかに振り向かせるかに腐心した末にたどりついたひとつの形が、このデザインであり、機能性ということである。国内でのリアクションはどうなっていくのか? 今後に期待を込めて見守っていきたい。さらに、今回硬質のボディとドライブフィールを得たオーリスが、欧州メーカーのCセグメント勢を一蹴する姿を、一日も早く見てみたいものだ。

ディーラーメッセージ

ネッツトヨタ道都 中央店
営業第一課
プロモーター
滝代哲也さん

 まずは、ヘッドライトとフロントグリルに一体感を持たせた、特徴的なフロントマスクにご注目ください。これが、新型オーリスの大きな魅力です。足回りがより安定感した点や、防音材の適切な配置によってロードノイズや風切り音の低減させたことは、乗っていただければすぐにお分かりいただけると思います。「本当に1・5Lなの?」と感じるほどの静粛性を実現させていますよ。そして、見て乗って「何かイイ」と感じていただければ嬉しいですね。トヨタでは近年、ハッチバック系の車種が少なくなりましたが、その中で新型オーリスがネッツ系専売となったことは、とても光栄に感じています。

テキスト:青柳 健司(フォトライター)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)、取材協力:ネッツトヨタ道都 中央店(011-631-3182)

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