presented by8+9盛夏号New Car Impression

日産の本気、三菱の革新 期待と注目を集めて新登場

MITSUBISHI  ek CUSTOM

プロフィール

盛り上がる軽自動車市場

 トール型ワゴンを中心とした日本の軽自動車界は、今や世界でも類を見ないほど著しい進化を遂げているカテゴリーと言えるのではないだろうか。近年、市場をにぎわせている車種の多くは、装備面において上級車と一歩も引けを取らず、走行性や静粛性の向上という点でも目を見張るものがある。そして、もともと大きなアドバンテージであった経済性という面においても、さらなる研鑽を重ねている状況だ。それだけに、ユーザーの要求も日増しにハードルが高くなっており、これに応えつつ魅力ある車種を開発し続けているメーカーの努力は、現状以上に評価されるべきだと感じる。とりわけ、軽自動車の世帯あたりの普及台数で全国42位(2012年度、全国軽自動車協会連合会発表)に甘んじている北海道においては、軽自動車全般に対する再評価の遅れを問いただすことが急務だ。その絶好の機会となるであろう2台が、この度待望のデビューを果たした。 本誌の新車インプレッションは、一車種ごとの検証を通例としているが、今回は特別企画として、枠を拡大してこのニューカマーをレポートする。

光るアイデンティティ

 日産と三菱ががっぷり四つにタッグを組み、お互いのストロングポイントを融合した軽自動車の開発に着手すべく、合弁会社NMKVが設立されたのは2011年のこと。過去にいくつかの先例があった共同モデルの形態からさらに一歩踏みこんだ、意欲的な事業展開として大きな話題を呼んだことも記憶に新しい。特に、日産が本腰を入れて軽自動車市場に打って出るということで、一体どのようなクルマが生まれるのかに大きな注目が集まった。NMKV内での共同プロダクト作業を経て、三菱の工場で生産する体制が確立され、かくして2013年6月に日産からは新車種「DAYZ」として、三菱からは3代目「eKワゴン」として、ついに両雄が並び立ったというわけだ。 エンジン、車体構造、インテリアなどを同じくし、ともにベーシックなタイプとスポーティーバージョンを配備。今回試乗用に提供されたのは、後者にあたるeKカスタムとDAYZハイウェイスターである。まずは、両車の相違点であるルックスから見ていこう。 全体的に箱形のシンプルなイメージだった先代から、大きく様変わりしたeKカスタムは、鏡のようにキラリと輝くメッキグリルの両端に、切れ長のフロントライトをマウントし、流麗なサイドラインへとつながる秀逸なデザインが与えられたことで、一目でそれとわかるアイデンティティを身にまとった。同時に、eKワゴンも陰影を帯びたシャープなボディーに生まれ変わり、言うなれば凡庸からの脱皮を果たしたといったところ。 一方、DAYZハイウェイスターは、グリル中央に輝く“NISSAN”のエンブレムがドライバーの優越感を誘発。三段のメッキグリル、コンビネーションライト、丸目のスモールライトが、両サイドに向かってわずかに弧を描くフロントボディーにバランスよく納まり、俊敏なイメージを全面に押し出している。日本を代表する数々のスポーツカーを生み出して来た、日産らしいデザインと言えよう。ベーシックモデルのDAYZも、フロント周りこそシンプルな風合いだが、上下を流れる2本のサイドラインからハッチバックドアへと連なるうねりを帯びた形状が、運動能力の高さを感じさせる。

斬新な親切設計

 当節、欠く事の出来ない環境技術という側面では、アイドリングストップ機能を搭載したことが最大のポイントだ(ターボ搭載車は不採用)。減速時に、時速13km以下でアイドリングストップが作動し(4WD車は停車時にアイドリングストップ)、ムダなガソリン消費を抑える。加えて、ボディー、エンジン、サスペンションなどの軽量化をはかったことで、JC08モード29.2km/L(グレードによって異なる)とクラストップレベルの低燃費を実現させた。 特筆すべきは、リアビューモニター付きのルームミラーを採用した点。ギアをバックに入れると、ミラー左端に後方の映像が映し出され、後進時の事故や不測の事態を回避することを可能にしている。一部グレードを除き標準搭載されていることもポイントが高い。ナビと連動したバックモニターと比較すると、当然ながら画角は小さいが、画質はクリアで使い勝手がすこぶるよい。さらに、DAYZハイウェイスターは、真上から四方の映像を映し出すアラウンドビューモニターも兼ね備えており、一層の安全性を確保している。実際に使用してみると、真上、助手席側横、フロント、運転席側前方と、4パターンの視点が選択できるようになっており、その親切設計ぶりには感心するばかりであった。 親切設計と言えば、施錠時にサイドミラーが自動的に収まる機能もそのひとつ。ドアレバーに備わったボタンをプッシュすると、施錠と連動して自動操作される。もちろん、解錠時はサイドミラーも自動的に立ち上がるので、ミラーを収めたまま発進してしまうというありがちなミスは、この両車種に限ってはまずない。万が一そのまま発進したとしても、時速30km以上になった時点で自動的にミラーを展開するシステムが備わっているので、その点の心配は無用である。 収納面においても、充実した設計が随所に見られる。特に、リアシートが前後に170mmスライドでき、なおかつラゲッジスペースがフラットになるため、荷物の量や形状に応じた様々なレイアウトが可能である。トレイ、ポケット、フックなどの小物に対応した装備も十分であり、幅広い年齢層にアピールしそうだ。

三菱 ek CUSTOM詳細写真

インプレッション

ナチュラルで静かな走り

 グレード構成は、eKカスタムが2WDのみのM、4WDも配備したG、インタークーラーターボ搭載車であるTの3種で、試乗車はTの4WDバージョン(車両本体価格154万6000円)に、ベーシックモデルのナビをオプション装備(プラス14万5740円)したものである。同様に、DAYZハイウェイスターもJ、X、Gの3種を用意。ただし、Gのターボ搭載車は2013年8月の発売予定で、取材当時は未発表。試乗には、同じくGの4WDバージョン(車両本体価格149万7300円)に、日産オリジナルナビをオプション装備(プラス15万8000円)した車両が提供された。まずは、日産の本気度を体感すべく、DAYZハイウェイスターに乗り込むことにした。 着座してまず気が付いたのは、シート座りのよさ。硬すぎず、やわらかすぎず、まさに丁度よいフィット感だ。頭上スペースが広く、運転席からの視界は全方位とも良好であり、このクラスならではの特性も十分に生かした造りとなっている。そのあたりは、三菱が培ってきたeKワゴンのノウハウがいかんなく発揮されたと見てよいだろう。 プッシュエンジンスタターで一発点火すると、軽快なサウンドを響かせて新開発の3B20エンジンが立ち上がる。アクセルを軽く踏み込んでスムーズな発進を試みると、その意図を汲み取ったかのようにナチュラルに走り出す。回転半径4.7m(2WD車は4.4m)を誇るだけに、とにかく取り回しが容易。特に、混雑する市街地ではキビキビと走る。最大出力49ps/6500rpm、最大トルク5.7kgm/5500rpmのエンジンパワーは、加速時や登坂時において非力感が否めないものの、ひとたび5000回転近くまで到達してしまえば、高速走行での安定感はなかなかのもので、また想像以上に静粛性が高い。ハンドリングはクイックかつ硬質で、高速でコーナーに侵入した際のふらつき感はほとんど感じないレベルである。前輪にストラット式、後輪にトルクアーム式3リングを備えたサスペンションと、車体とのマッチングも良好で、ドライバーに無用な動揺を与えないよう、物理的にかかる負荷を適度にいなしてくれる。スポーツカーレベルとまでは言えないものの、高次元でのトータルバランスを実現しているあたりは、さすが日産である さて、続いてはeKカスタム。乗り込んでなんら違和感がないのは、インパネデザインも含めた室内空間が共通だから。もちろん、運転席からの視界もあたりまえのように広く、シートの座り心地も同様である。 アクセルを踏み込むと、ターボの威力を実感。2000回転、3000回転と、加速フィールの変化が伝わり、4000回転に到達するやドライバーズハイを体感する。とは言え、“効き”はあくまで自然であり、急激な加速をうながすようなセッティングではないので、お年寄りや女性でも安心してアクセルを踏み込むことができるだろう。 三菱にとって今回、軽自動車初採用となった副変速機構付CVTは、低速時はギア比を低く、高速時はより高く設定されているとのことで、全体としてスムーズな走りを実現することに貢献しているようだ。今回は、その点をつぶさに検証することは難しかったが、今までのeKシリーズから飛躍的な進化を遂げているということは、まぎれもない事実なのである。

幸先のよいスタート

 タッチパネルを採用することで、家電のような扱いやすさを実現させたオートエアコン、紫外線を99%カットするUVフロントガラス、エコドライブのレベルを4段階で表示するECOドライブアシスト機能、坂道発進時の後退を防ぐヒルスタートアシストなど、両車種に設定された機能は実に多彩である。これぞまさしく、至れり尽くせりだ。その効果もあってか、ダウンサイジングを希望する日産ファンの高齢者や、他メーカーからの乗り換え組が殺到していると噂のDAYZハイウェイスター。そして、従来のイメージを一新することに成功したeKカスタム。NMKVによるクルマ作りは、まずは順調に滑り出したと言えそうだ。DAYZハイウェイスターのターボバージョンが登場する8月以降も、この状況が続くことは明らかである。 さてその次には、NMKVからは一体どのようなクルマが生み出されるのか? 気の早い話であることは承知の上で、次はぜひとも世界を驚かせるほど強力なインパクトに期待したい。そう思うのは、おそらく筆者だけではないだろう。

ディーラーメッセージ

北海道三菱自動車販売 南店
販売課 江端秀明さん

 3代目のeKワゴンは、先代モデルから多くの点が変わりました。特に、eKカスタムが今まで以上にシャープなフロントマスクとなったことに、三菱の意欲があらわれています。個人的にお客さまに注目していただきたいと考えているのは、CVTを三菱の軽自動車で初めて採用したことです。旧モデルにお乗りのお客さまには、走りが格段にスムーズになったことを実感していただけると思います。また、インタークーラーターボを搭載したTの高い加速能力は、多くの方々にご満足いただけると思います。ぜひ、試乗車で体感していただきたいと思います。


日産プリンス札幌販売 月寒支店
店長 佐藤悟幸さん

 6月の販売開始以降、DAYZは想像以上のご好評をいただいております。日産の上位車種をお乗りのお客さまの中には「思った以上に広いし車内も静かだね」とおっしゃる方や「今乗っているクルマと比べても大きな差はない」とご感想を述べられる方もいらっしゃいます。個人的にも、先日お客さまと高速道路で試乗した際に、静粛性が高いことを実感し、あらためて自信を深めたところです。8月にはターボ搭載車種もデビューしますので、より幅の広いお客さま層にアピールできると、今から楽しみにしております。

主要諸元

eKカスタム(4WD、インタークーラーターボ)
●全長×全幅×全高:3395×1475×1620mm
●ホイールベース:2430m
●トレッド前/1300mm 後/1290mm
●車両重量:900kg
●最小回転半径:4.7m
●エンジン:659cc DOHC 12バルブ3気筒
●最高出:64ps/6000rpm
●最大トルク:10.0kgm/3000rpm
●JC08モード燃費:22.6km/l
●ミッション: CVT
●ブレーキ:前Vディスク 後/リーディングトレーディング
●タイヤサイズ:165/55R15
●駆動方式:4WD
● 乗車定員:4名
●車両本体価格:154万6000円

DAYZハイウェイスター(4WD)
●全長×全幅×全高:3395×1475×1620mm
●ホイールベース:2430m
●トレッド:前/1300m 後/1290mm
●車両重量:890kg
●最小回転半径:4.7m
●エンジン:659cc DOHC 12バルブ3気筒
●最高出力:49ps/500rpm
●最大トルク:5.7kgm/5500rpm
●JC08モード燃費:26.0km/l
●ミッション: CVT
●ブレーキ:前/ディスク後/リーディングトレーディング
●タイヤサイズ:165/55R15
●駆動方式:4WD
●乗車定員:4名
●車両本体価格:149万7300円

テキスト:青柳 健司(フォトライター)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)、取材協力:日産プリンス札幌販売 月寒支店(011-852-3111) 北海道三菱自動車販売 南店(011-5631-5181)

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