presented by10+11錦秋号New Car Impression

唯一無二のハイブリッド

TOYOTA  SAI

プロフィール

一新されたイメージ

 プリウス、アクア、レクサスHSなどのトヨタ系ハイブリッド専用車は、今をときめく現代の代表車種である。その中の一台であり、乗れば分かる質の高い性能を有しながらも、販売という点では予想外の苦戦を強いられてきたのがSAI。何やら、玄人好みのセダンといったポジションに甘んじてきたように思える。しかし、“彩”と“才”をモジったネーミングを与えられたこのクルマには、開発サイドの並々ならぬ思い入れと期待が込められているはず。今回、ビッグマイナーチェンジの位置づけで大幅なリニューアルを果たした新型SAIは、本来の開発意図を斬新なスタイリングという、目に見えるカタチで押し出してきたようだ。その独創的なフォルムは、特にプリウスからのステップアップ組や、ガソリン高級セダンからの乗り換え組の目には、魅力的に映ること必至である。いよいよ本領を発揮してきた、新型SAIを検証していく。

独自の存在感

 まず目を引くのは、何と言ってもフロントデザインだ。とりわけ象徴的なのは、車幅全体を貫くようにマウントされたコンビネーションヘッドライトである。2連プロジェクター式のLEDヘッドランプを埋め込み、シャープかつインテリジェンスに収まったライト周りから、LEDクリアランスランプがセンターに向かって伸びやかなラインを描く。点灯時には、SAIのアイデンティティを誇示するがごとく、独特の輝きを放っている。むろん、今回は日中の試乗ゆえに、そのオリジナリティー豊かな光のカタチを存分に味わうことは叶わなかったが、対向車や歩行者へのアピール度の高さという点においては、想像に難しくない。センター部分が張り出したグラマラスなアッパーグリルから、鋭角に絞り込むようにロアーグリルを配し、そのラインと調和するよう鎌状のデザインが施されたLEDフロントフォグライトが、両サイドに収まる(一部グレードはオプション)。大胆さと緻密さの中にも、艶やかなイメージを融合した、実に味わい深いフロントマスクである。 リアライトのデザインも、フロントの形状と見事に調和したものだ。車幅全体を使ったワイドなスタイリングを採用し、これが後部の造形を流麗に彩っている。プリウスの発展系とも見て取れた、先代モデルの近未来的なリアビューの面影は、その姿からは最早微塵も感じられない。 サイドのボディーラインだけは、やや丸みを帯びつつスッキリとまとまっていた先代のイメージを踏襲したものと言えるが、前後部の劇的な変化にともなって、印象は一段と先鋭的に感じられる。 関係資料によると、企画サイドからの「カッ飛んだデザイン」という指示をふまえたうえで、「デザイナーのやりたいことを制約なしに全部やった」のだという。そんな思いの結実として、新型SAIはオンリーワンのスタイリングを持つ存在へと躍り出たわけだ。そんな逸話にも、このクルマに注がれた力点の大きさをうかがい知ることができる。

パフォーマンスの向上

 当然ながら、変わったのはルックスだけではない。 最も大きな改良点は、フロント・リアともに、パフォーマンスダンパーを設定した点。これが、走行中のボディーのたわみや振動を吸収するとともに、操作性、安定性、静粛性の向上に多大な貢献を果たしている。今回試乗した中で、筆者が最も感銘を受けたのも、高級車らしい上質の乗り味と運動性能の高さだったが、それこそがパフォーマンスダンパー採用による大きな効果である。 パワーユニットそのものは、先代からの2・4Lアトキンソンサイクルエンジンを踏襲。エンジン効率の進化、モーターの小型化および軽量化を図ったことから、JC08モード22・4km/Lという、排気量2リッター超えのクルマの中では、圧倒的な低燃費を実現させている。 また、再生可能な植物資源からつくるエコプラスチックを新開発し、室内表面積の約80%に用いるなど、リサイクル技術を高めつつCO2排出量抑制へもつなげようとする取り組みがなされていることも、SAIに与えられた新機軸と言えよう。 グレード構成は、ベーシックなSを基本に、クルーズドコントロールなどの機能や、フロントフォグライトなどの装備を追加したS“Cパッケージ”、音声ガイダンス機能付バックモニターなどを搭載したG、先行車などの障害物との衝突の被害軽減するプリクラッシュセーフティーシステムをはじめ機能・装備とも充実させたG“Aパッケージ”の4種となっている。

トヨタ SAI詳細写真

インプレッション

ダイレクトなレスポンス

 試乗に提供されたのは、S(車両本体価格323万9400円)に、LEDフロントフォグランプ並びにナビゲーションシステムをオプション装備したものである。 ドアを開く瞬間に伝わるなめらかかつ重厚な手応えは、まさに高級セダンならでは。閉扉音もひたすら耳障りよく、車内は外部の喧騒と遮断された静かなプライベート空間が形成されている。出だしから、アクセルの踏み込みに対しダイレクトな反応を示し、どの回転域でもドライバーのイメージとの一体感が生まれる。思い切ってペダルを踏み込めば、最大190ps相当のパワーを発生させるパワーユニットが瞬時にその高いポテンシャルを発揮し、小気味よい加速フィールを持続させる。低速走行時はあくまで静々と、高速走行では一転して乗り手のスポーツマインドを刺激する、そんなユーティリティーな能力は、ドライバーの幅広い志向に応えてくれるだろう。 優れた運動性能を支えているのが、類まれなる操作性である。先にも触れたパフォーマンスダンパーと、フロントにスタビライザー付ストラット式コイルスプリング、リアにスタビライザー付ダブルウィッシュボーン式コイルスプリングを設定したサスペンションが織り成す安定感は、最早完成の域と言えよう。加えて、低速走行時は取り回しもイージーで、高速時はどっしりと硬質なタッチとなるステアリングも申し分なく、路面状況やカーブの大小にかかわらず、クルマの中心軸とドライバーの身体が常にシンクロする感覚。腕に自身のある人もそうでない人も、等しく手元から安心感に包まれる。 これらは、通常走行モードで十分に堪能できるものだが、スポーツモード(ほかにエコモードとモーターのみで走行するEVモードがある)をチョイスすると、より軽いアクセルタッチで鋭い推進力が体感できるので、ディーラーで試乗する際にはぜひその違いを感じてほしい。 なお、発進から約25km/hでのEV走行中(または後退中)、モーター音のようなサウンドを発生することに気づく人も多いだろう。これは歩行者にクルマの接近を知らせるためのシステムで、言わばハイブリッド専用車に対する時代のニーズに応えたものである。もちろん、スイッチひとつでONとOFFに切り替え可能だが、ウインドウを開けたまま走行しない限り車内にこの音が入り込むことはないので、システムを停止させて走行する(エンジンの再始動時には自動的に発音状態に戻る)意味は全くないと断言してよいだろう。

浸りたい乗り味

 姉妹車にあたるレクサスHS直系の性能を備えた新型SAI。デザイン性、走行性、信頼性と、どの面から考察しても秀逸このうえない。たかだか数時間の試乗で、不安定要素を探し出すのは至難の業である。いや、そんな邪心は捨て置き、いつまでもその乗り味に浸りたい、そう思わせる仕上がりであった。「赤いハイブリッド」のキャッチフレーズ通り、この画期的なデザインのボディーには真紅がよく似合う。しかし、筆者個人の好みで言えば、試乗車の無垢なホワイトも実に魅力的に感じられた。

ディーラーメッセージ

ネッツトヨタ札幌 中央店
営業スタッフ 田辺秀嗣さん

 世界最大級とも言われているワイドなフロントライトにご注目ください。左右のヘッドライトがつながるようなラインが美しく、これがひと目でSAIだとわかる存在感を生み出していると思います。夜間の走行も楽しくなること請け合いです。タイヤハウスをトランク部分に置いているため車内に侵入する後輪からのロードノイズが低減されていますし、フロント・サイドとも遮音ガラスを採用していることもあって、静粛性が非常に優れていることも大きな特徴です。重厚感のある内装は、着座していただければそのよさを実感していただけると思います。

主要諸元(SAI S)

●全長×全幅×全高:4695×1770×1485mm
●ホイールベース:2700mm
●トレッド:前/1535mm 後/1530mm
●車両重量:1570kg
●最小回転半径:5.2m
●エンジン:2362cc 冷直列4気筒DOHC
●最高出力:150ps/6000rpm
●最大トルク:19.1kgm/4400rpm
●モーター:永久磁石式同期型モーター
●最高出力:143ps
●最大トルク:27.5 kgm
●JC08モード燃費:22.4.km/l
●ミッション: 電気式無段階変速
●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
●タイヤサイズ:205/60R16
●駆動方式:FF
●乗車定員:5名
●車両本体価格(札幌地区)/3,239,400円(消費税込)

テキスト:青柳 健司(フォトライター)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)、取材協力:ネッツトヨタ札幌 中央店(011-731-9111) 北海道三菱自動車販売

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