presented by6+7新緑号New Car Impression

スポーツカー熱を再点火

プロフィール

すでに人気沸騰

 2014年の札幌モーターショーにコンセプトカーが出典され、ショー最大のトピックのひとつとして多いに注目を集めたホンダS660。去る3月30日の公式発表に引き続き、4月2日からいよいよ販売が開始された。

 しかしながら、事前受注分だけで3100台のセールスを記録し、今オーダーしても納車まで半年前後待たなければならないほど人気は過熱している。歴代最年少となる26歳の若きエンジニアが開発責任者を務めたことなども含め話題性も十分で、快進撃が続く軽自動車シーンに強烈なインパクトを与える堂々のデビューを飾っている。

 後にも触れるが、その最大の魅力はミッドシップエンジンによるMR駆動、そして2シーターのオープンカーであること。ホンダとしては、かのビート生産終了から約19年ぶりにこのカテゴリーを復活させたこととなるワケだ。かつて公道を存分にかっ飛ばしたビートユーザーはもちろんのこと、惜しまれつつ2009年に生産終了したS2000のファン層にとっても、排気量の違いこそあれ多いに気になるところではないだろうか。

ミッドシップの魅力

 まずは、スタイリングから順に検証していこう。

 写真でお分かりの通り、ルーフトップ(カタログでは”ロールトップ“の名称が用いられており、以下同表記に準じる)を外した状態はフルオープンではなく、運転席後部が固定されたいわゆるタルガトップスタイルだ。上部が凹凸形状となって、エンドに向かって切れ上がるようなデザインが施されたリアボディに、Nシリーズにも採用されたS07A型を改良したターボエンジンを横置きでマウント。このため、リアビューは非常にグラマラスで、いかにもスポーツカーらしい迫力を感じる。

 フロントに目を移すと、縦幅が狭くサイドエンドに流れるような形状のコンビネーションランプが、シャープに前方を見据えている印象。筆者個人としては、ビートの面影をそこはかとなく感じた。

 サイドは後方に跳ね上がるようなプレスラインが目を引き、また小柄な車体に対してホイールが大きく、しかも前輪は165/55R/15と軽自動車の標準サイズであるのに対して、後輪は195/45R/16と上位車種並みとなっており、それらもミッドシップの特有であるリアデザインの重厚感へと繋がっている。また同時に、クルマの高い運動能力を誇示しているかのようにも思えてくる。兎にも角にも、ユーザーとしてはクルマを降りてじっくり眺める時間だけでも、至福のひと時に感じられるのではないだろうか。

 内装は、ギュッとコンパクトにまとまったコクピットが示すように、まさにスポーツカーの系譜である。特に、ホンダ車最小系となる直径350mmのステアリングは、高度な裁縫手法を採用した本革巻き(ハイグレードタイプに採用)で、下部を水平に切り取ったDカットタイプの形状とあいまって、ドライバーのやる気を存分に引き出す。また、足元ではステンレス製のペダルがキラリと存在感を示している。マニュアル仕様車の場合は、ヒール&トゥの操作もスムーズにできるように絶妙のバランスで配置されており、細部まで作り込まれたクルマであることが実感できる。一方、オートマであるCVT仕様車の場合は、チェンジレバーのほかにパドルシフトが装備されており、マニュアル感覚で7速のシフトチェンジが楽しめる設計となっている。

 車体の横すべりを抑制するVSAを標準装備し、オプションで衝突回避系のシステムなどの安全運転支援機能の追加搭載も可能なので、初めてスポーツカーに乗るドライバーでも安心してアクセルを踏み込めることだろう。

 なお、グレード構成はベーシックタイプのbとハイグレードタイプのaの2タイプで、どちらにも6MTとCVT仕様車のいずれかをセレクトできる。

ホンダ S660詳細写真

インプレッション

快感のドライビング

 試乗車はaのCVT仕様で、走行中に前後左右にかかっている加速Gと、アクセルペダルの開度、並びにブレーキ圧を常時計測表示するセンターディスプレイをオプション搭載。ちなみに、S660にはカーナビの設定がなく、その代わりこのセンターディスプレイがバック時に後方を映し出すリアカメラと連動しており、またホンダ純正のナビアプリ(有料)を起動したスマートフォンと接続することで、ナビゲーション機能を作動・表示することができる。加えて、試乗車にはLEDフォグライト、リアフロアバンパー、アクティブスポイラーもオプション装備されており、ノーマル仕様車とは多少外観が異なることをお断りしておきたい。

 さて、前置きが長くなってしまったが、乗り込んだ際の第一印象としては、まずドアの開閉が意外なほど重厚なことが挙げられよう。この時点で、経済性を追求したタイプの軽自動車とは全く別次元のクルマであることをあらためて感じる。同時に、着座位置からの視点の低さと体をしっかりホールドするシートに、ライトウェイトスポーツカーの王道を実感し、思わずニヤリとしてみたくなる。

 取材時は快晴だったこともあり、走行前にロールトップを脱着してみることに。オート操作はできないが、その名の通り両サイドからくるくると巻き上げる要領で簡単に外すことができるので、非力な女性ドライバーも安心。収容は、ボンネット下の専用スペースにすっぽりとハマる仕組みだ。なお、純然たるスポーツカーゆえに書くだけ野暮だが、ラゲッジスペースは皆無に等しい。

 走り出して直ぐに感心するのは、ハンドリングの程良いどっしり感。軽重量のクルマを操っていることをつい忘れてしまうほどだ。これが、連続コーナーでの取り回しの際にキレとなって伝わってくる。特に、タイトなカーブでの入射角に対する素直なノーズの入り込みは快感の域。ミッドシップ+後輪駆動車ならではの、クイックで安定的なコーナリングが繰り返され、走れば走るほど運転する欲求が高まっていく。

 2つのシートのヘッドレスト中間位置に開閉式の小窓が備わっており、これをオープンにして走行するとターボの吸気音が耳に心地よく響き、気分も一層盛り上がる。

 サスペンションについては、ガチガチに固めたものではなく、路面の凹凸を適度にいなす柔軟性があり、ゆえに静粛性も十分に及第点を与えられるレベルだ。

 軽自動車の上限でもある最大出力64psは、当然ながらスポーツカーとしては非力の部類に入るが、軽量であるがゆえにそれを全く感じさせない加速フィールが味わえる。また、ドライビングポジションの低さからくる体感スピードに、乗る度にワクワクさせられるユーザーも多いことだろう。

値打ちモノ

 若い開発者が細部までこだわり抜いたというS660。現在のところ、セカンドカーとして購入するベテランドライバーが多いとか。操作性能、体感性能、装備と、どれを取っても高レベルにあり、軽自動車らしからぬ本体車両価格も、むしろお値打ち価格と言える。

ディーラーメッセージ

ホンダカーズ札幌中央 東苗穂店
新車課 営業スタッフ
宮本 圭悟さん

 「またいつかオープンカーに乗りたい」と考えていらした皆様が、発売開始を心待ちにしてくださっていて、当店を含め各ディーラーでも割り当て台数が直ぐに埋まってしまいました。しばらく納車をお待ちいただかざるを得ない状況ですが、その価値は十分にあると思います。クルマ好きの皆様はもちろん、スポーツカーは初めてという方々も安心して運転していただける設計ですので、今後は幅広いお客様層にこのクルマの良さをアピールしていきたいと思います。

主要諸元:(タイプa CVT)

全長×全幅×全高/3,395×1,475×1,180mm
ホイールベース/2,285mm
トレッド/前:1,300mm 後:1,275mm
車両重量/850kg
最小回転半径/4.8m
エンジン/658cc水冷直列3気筒横置
最高出力/64ps/6000rpm
最大トルク/10.6kgm/2600rpm
JC08モード燃費/24.2km/L
ミッション/CVT
ブレーキ/前:油圧式ディスク 後:油圧式ディスク
タイヤサイズ/前:165/55R15 後:195/45R16
駆動方式/MR
乗車定員/2名
車両本体価格(札幌地区)/2,180,000円(消費税込)

テキスト:青柳 健司 (フォトライター)、Photo:川村勲(川村写真事務所)、取材協力:ホンダカーズ札幌中央 東苗穂店 TEL(011)789-2222

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