presented by10+11錦秋号New Car Impression

ジープのニューフェイス

プロフィール

サイズをコンパクトに

 昨年春に発売を開始した新型チェロキーが、デザインの斬新さと大量に投入された新機能の充実振りで、引き続き国内市場で大きなトピックとなっているジープ。この度、文字通りのニューモデルがブランドの仲間入りを果した。それがこのレネゲードだ。2014年のジュネーブモーターショーで発表されていたこともあり、その後の動向を静かに見守っていたマニアにとっても、待ちに待った国内デビューとなったに違いない。

 WEB上に踊るキャッチフレーズは「ジープ初のスモールSUV」。ジープと言えば、かつては軍用小型車の代名詞であり、現代ではチェロキーやグランドチェロキーに代表されるように大型SUVのトップブランドであることは周知の通り。そんなジープが世に送り出したコンパクトサイズのクルマとは、果たしてどんなものなのだろうか?

ジープの原点を再認識

 同じWEB上のサブキャッチコピーに、このようなフレーズがある。「イメージは、Jeepの原点Willysのニューモデル」。第二次大戦下に、悪路の走行性と耐久性を兼ね備えた小型四輪駆動車を製造し軍へ供給していたウィリス・オーバーランド社が、1941年に表彰登録した名称がジープ。その後の紆余曲折を経て、現在はクライスラーが歴史と伝統を引き継いでいる。つまりレネゲードは、かの軍用ジープのイメージを現代風に蘇らせたクルマなのである。言い換えれば、ジープの原点はコンパクトサイズ四駆にあり、といったところだろう。もっとも、軍用車時代の独特なフォルムという意味では、1987年に登場したジープ・ラングラーが直接的に継承している。ただ、排気量3・8ℓのV6エンジンを搭載した大型ボディーを持つこともあり、本格的なオフロード用ヴィークルとしてのイメージが非常に強い。ゆえにレネゲードは、軍用車のイメージを追い求めながらも、よりシティーユースにもフィットするクルマを目指したと見てさしつかえあるまい。

 その象徴と言えそうなのが、いささか愛嬌のあるフロントマスクだ。表情豊かな丸目ヘッドランプと、伝統の7スロットグリルのコンビネーションは、まさに原点を思い起こさせるもの。もちろん、ジープならではの台形ホイールアーチもしっかりと採用されている。一方、リアコンビネーションランプに施されたX状のデザインも印象的だ。こちらは、米軍がガソリン運搬車用に使用したジェリー缶(20ℓ燃料缶)に描かれていたマークをモチーフにしたもの。いずれも、懐古主義的にそのまま再現したワケではなく、現代風にアレンジされており、アーバンなシーンを強く意識したこのクルマの立ち位置を明確にしている。

 ところで、「スモールSUV」と聞いてつい軽自動車を思い浮かべる向きも少なくないだろうが、もちろんそうではない。基本的な排気量は1368㏄(ハイオクガソリン仕様)であり、全幅は1805mm、全高1695〜1725mmと、同じく1860mm×1700〜1740mmの現行チェロキーとほとんど遜色ないボディだ。しかし、全長は4255〜4260mmで、4630mmのチェロキーとの比較からそのスモール振りは明らかである。これは、4480mmのトヨタ・プリウスよりもさらにショートサイズ。ゆえに、商業施設などの混雑する駐車場において車体を持て余してしまうようなことも少なく、狭い場所でも比較的スムーズな取り回しが可能という特性を持っていることになる。

 インテリアに目を移すと、しっとりと体になじむファブリックシートと、上質感に富んだ革巻きステアリングの感触が心地よく、インパネの計器類の配置と周辺デザインも人間工学的に計算され尽くした感がある。タコメーターのレッドゾーン域の表示デザインなど部分的にはワイルドな装飾が施されている点はSUVらしさでありながらも、全体的には欧州車的な落ち着きに富んだテイストが顕著で、車内空間は品のある仕上がり。良い意味でフィアット傘下であることがうかがい知れる。

 機能面では、状況に応じて4×4から4×2に自動で切り替わるジープ特有の信頼性の高い4WDシステムを搭載し、衝突回避機能や安全運転支援機能及びエコドライブ機能も充実。高齢者や女性ドライバーにとっても、扱い易くセーフティーな設計となっている。

 グレード構成は、スタンダードなオープニング・エディション、レザーシートなどを装備したリミテッド、2359㏄マルチエア16バルブエンジン(レギュラーガソリン対応)を搭載し4種からセレクト可能なドライブモードを標準で備えたトレイルホークの3車種である。

クライスラー JEEP RENEGADE詳細写真

インプレッション

状況を選ばない安定感

 試乗に提供された車はオープニング・エディション。

 まずは乗り込もうとした時点で、ジープがスモール化に踏み切った理由のひとつが明らかになった。シリーズ別車種と比較すると低床化が図られているために、乗り降りがすこぶるイージーなのである。SUVは大型になればなるほど、高齢者や子どもはもちろん、小柄な女性にとっても乗るというよりよじ登る感覚になってしまう。降りる際も、慣れていない人たちにとっては地面に足が届き辛いだけに不安感が否めない。それがどんな事態を招いてしまうかと言うと、女性ユーザーから敬遠される状況である。その弱点をカバーするのが、レネゲードなのだ。当然ながら、着座位置からの視点も、ジープの他車種とは異なる。それは、高過ぎず、さりとて低く過ぎない。ちょうど良い視界を実現している。

 発進は、同クラスとしては軽快かつスムーズな部類。最高出力140㎰/5000rpm、最大トルク23・5kgm/1750rpmを発生するパワーユニットが繰り出す加速フィールも、インタークーラー付ターボの効果もあって、爽快感満点である。特に3000回転オーバーの領域に踏み込めば、推進力は一層強力になり、飛ばし屋系のドライバーでも十分に納得のいく走りを楽しむことができよう。

 低速走行時はフラットなハンドリングも、速度の上昇に応じてどっしり感が伝わってくる。これによって、コーナー出口では直進方向に向かってステアリングがカチッと収まる特性があり、連続コーナーでは切れ味に富んだ操舵性となって、ドライバーの気分をさらに盛り上げる。つまり、SUVらしい重厚感と、スモール化による軽快感が上手くブレンドされているワケだ。

 タイトなカーブでは、オフロード車ならではのゴツゴツとした挙動を発生する場合もあるにはあるが、全体的な安定感はさすがにジープの系譜である。時間の都合で本格的な悪路への乗り入れは次の機会へ持ち越しとなったものの、信頼性の高い四駆システムに加え、下り坂で速度が上がり過ぎないようにスロットルとブレーキを自動制御しながら運転支援を施すヒルディセントコントロール機能が備わっており、北海道の厳しい冬道も安心して走行できることは疑いようもない。

女性からも熱視線

 本格的なSUVのポテンシャルを持ちながら、扱いやさすさとアーバンシーンにもフィットするデザイン性、そして豊富なカラーバリエーションを揃えたレネゲード。国産ライバル車がしのぎを削るジャンルに、かくしてインパクト十分なデビューを飾った。ついでながら、297万円から設定された車両本体価格もお買い得感が高く、国内市場での競争能力は極めて高いと断言できよう。また、ジープブランドへの入門編としても、存在価値が高まっていくことだろう。

 これまでは、男性ドライバーの志向性に応えるクルマというイメージが強かったジープだが、レネゲードの登場により今後は女性ドライバーからの熱視線も浴びていくことになるはずだ。

ディーラーメッセージ

クライスラー/ジープ札幌琴似店
営業スタッフ
戸梶 辰哉さん

 男性女性問わず運転がしやすいコンパクトサイズになっております。ジープならではの足回りに加えて、フィアット社の血を引いたおしゃれで可愛らしい雰囲気の内装になっていますので、とてもに魅力溢れるパッケージングではないかと思います。どんな時にも、どこへでも行ける、そんな優れたクルマに仕上がっています。

主要諸元:

全長×全幅×全高/4,255×1,805×1,695mm
ホイールベース/2,570mm
トレッド/前:1,550mm 後:1,555mm
車両重量/1,400kg
最小回転半径/5.5m
エンジン/1368cc直列4気筒マルチエア16バルブ インタークーラー付ターボ
最高出力/140ps/5000rpm
最大トルク/23.5kgm/1750rpm
JC08モード燃費/15.5km/ℓ
ミッション/6速乾式デュアルクラッチAT
ブレーキ/前:ベンチレーテッドディスク 後:ソリッドディスク
タイヤサイズ/215/65R16
駆動方式/2WD
乗車定員/5名
車両本体価格(札幌地区)/2,970,000円

テキスト:青柳 健司 (フォトライター)、Photo:川村勲(川村写真事務所)、取材協力:(株)インポート・プラス クライスラー/ジープ札幌琴似店 ℡(011)640-1555

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