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5ナンバーの高級ミニバン

プロフィール

トヨタが放つミニバン・三本の矢

 時は室町時代後期。安芸の国(現広島県)の戦国大名・毛利元就が、病床に伏せていたある日、隆元(エスクァイア)、元春(ノア)、隆景(ヴォクシー)の3人の息子を枕元に呼び寄せた。すると、1本の矢を取り出してパキっと簡単にへし折った。次に3本の矢を束ねて折ろうとしたが、これは無理だった。毛利家(トヨタ)の繁栄のため、3人が力を合わせて頑張れという教えで、有名な「三本の矢」の逸話だ。戦が続く動乱の世界。結束力こそが、最強の武器にもなる。

 時は流れて2014年初冬。現世に移り変わっても戦は続く。世界屈指の自動車メーカーで、日本のトヨタが鉄のよろいに身をまとった「5ナンバーミニバン」界の合戦に、三本の矢で立ち向かう。その長男・エスクァイアが、売れ行きという名の進撃を続ける頼もしいノア/ヴォクシーという2人の弟を従えて。日産の国のセレナ公、ホンダの国のステップ・ワゴン公との激しい領土争いならぬシェア争いに身を投じる。姿かたちは弟たちに似ていてもちょっと違う。少し高級なよろいを身に着け、そのいでたちはまさに人馬一体。敵陣に切り込んでいくにふさわしい装備を兼ね備えているのだ。だいぶ前に「だんご3兄弟」(おかあさんといっしょ=NHK教育)もあったが、この3兄弟はほとんど見分けがつかないので割愛する。

スタイリングに表れる高級感

 注目点はなんといってもフロントグリルだろう。T字型の縦に入ったスリットのシルバーメッキが、高級感と迫力を醸し出している。トヨタの高級車であるクラウン・マジェスタに通じるものがある。スリットの一本一本が微妙に角度を変え、光が当たることによって、異なる陰影を浮かび上がらせる。切れ上がった鋭いヘッドライトの目力が凄い。英国出身の俳優、ジュード・ローのような。今回の試乗車はオプションの「STYLING PACKAGE」装着車で、スリット部分が太くなっている。ヘッドライトの下部から、フロントバンパー下部へスリットのシルバーが流れ落ちるような感じで、美しさも表現している。その形は、かつての米国のテレビヒーロー「BATMAN」(バットマン)にも似ており、エスクァイアのシンボルキャラクターにもなっている。

インテリアも上質な雰囲気

 室内を見ると、ノア/ヴォクシーに似ている部分も多い。だが、細部にわたって仕上がりの良さが一目瞭然で、質感の違いがすぐに分かる。インパネ周辺には、本革のような質の良い合成皮革をふんだんに使用。インパネ中央部にはシフトレバーや空調スイッチ類を集約させ、滑らかな光沢を出しているピアノブラックでつくり込んだ。これが絶妙な落ち着きを与えていると同時に、シフトレバーと空調スイッチの周囲を囲むシルバーメッキの輝きを一層、際立たせている。この辺はトヨタの高級ミニバンであるアルファード、ベルファイアにも勝るとも劣らないレベルだ。

ミニバンとしての使い勝手の良さ

 7人乗りのタイプは前列から2+2+3の3列シートとなる。メーンとなる2列目シートは、キャプテンシートとなり、最大で後方に810mmスライドする。エスクァイアより、全長で120mm長い3ナンバーのエスティマより10mmもスライドする。このミニバンの売りの一つである「スーパーリラックスモード」は、ノア/ヴォクシーとともに、ミニバン界でも最大級だ。さらに2列目シートは左右へ間隔調整もでき、多彩なシートアレンジが可能になる。

 室内高は1400mmとクラス一を誇る。一般的な男性でも、それほどきゅうくつな思いをせずに着替えができるレベル。寒い外でスキーウエアやウエットスーツなどに着替えることを考えると、かなり重宝する。荷室部分の地上高は500mmと低く設計されているため、自転車などの重量物など、非力な女性でも無理なく積み込みができる。3列シートは跳ね上げ式で、ワンタッチでレバー操作ができる。子どもを抱っこしても簡単に収納ができるのもありがたい。エスティマと違って床下収納式ではないが、3列目シートの収納は後部の窓枠に、ほぼすっぽりと収まる。荷室部分の幅が1100mmも確保され、デッドスペースができない工夫が見られる。キャンプなどのアウトドア用品を積み込む際に、スペースをフルに有効活用できるのも大きな利点だ。

ノア/ヴォクシーと比較すると

 エスクァイアのパワーユニットは2Lガソリン車のDOHC、1.8Lのハイブリッドの2タイプ。ノア/ヴォクシーと同じラインナップだ。前述したようにエクステリアとインテリアの質感の違いがある。足元はエスクァイアが全車にアルミホイールを標準装備している。

 2WD車で具体例を出すと、エスクァイアGiの7人乗り(282万3428円)、ヴォクシーVの7人乗り(267万4285円)を比べるのが妥当で、エスクァイアが15万円弱高い。この差は高級感の違いに加え、2列目シートの右側スライドドアが電動になり、前席が両側とも「快適温熱シート」となる。女性には欠かせない日焼け防止に効果のあるスーパーUVカットガラスもつく。これらの装備の価値観を重視し、3ナンバー車の高級ミニバンからの乗り換えユーザーも抵抗なく乗れるのがエスクァイアだろう。15万円の価格差をどう捉えるかは、ユーザー個人の見解によるところが大きい。もちろん、ノア/ヴォクシーも2014年1月にフルモデルチェンジし、好評を博している。

トヨタ ESQUIRE詳細写真

インプレッション

万人受けする高級感

 試乗車は2Lの7人乗りの4WDで、エアロパーツを付けたオプション装着車。一見すると、ノア/ヴォクシーに似ているが、一線を画すフロントフェースに引きつけられる。ノーマルタイプの線の細いスリットが入るフロントグリルも十分、洗練されている。印象は5ナンバーのミニバンとは思えない堂々としたスタイルに見える。シートに座ると、相変わらずの視界の良さを感じ、フロントガラス越しの風景が鮮やかに見える。インパネ周囲のステッチ部分が、とても5ナンバーのミニバンとは思えない丁寧なつくり込みを感じさせる。さすがに高級を前面に打ち出しているだけあって、期待を裏切らないインテリアの数々だ。嫌味な高級感ではなく、上品さを身にまとった万人受けする高級感といった方が適切だろう。

 エンジンフィールについては、基本的にノア/ヴォクシーと変わりない。2Lのパワーユニットでは、急こう配で若干、苦しさを感じるものの、日常ユースレベルで特に不満を感じることはない。アイドリングストップ機能は全車標準装備している。サイズ自体がコンパクトなため、乗用車からの乗り換えユーザーにも、違和感が少ないのではと思える。室内空間も上位のミニバンと比べて極端にサイズが変わるわけではないので、エスクァイアでも十分に快適なレベルを体感できる。

3兄弟で圧倒的なシェアを握る?

 三本の矢ではないが、エスクァイアを含めた3兄弟で国内のミニバン市場をけん引することが予想される。とはいえ、同じく5ナンバーミニバンで、販売が好調な日産・セレナが、衝突回避システムの自動ブレーキシステムを採用している点が気になる。せっかく高級路線に進化したエスクァイアに装備されていないのは、少々残念なところ。もう少し差別化を図るなら、15インチのホイールサイズをせめて16インチにアップして、足元を引き締めてほしかった。今後の装備の追加設定を期待したい。

ディーラーメッセージ

札幌トヨタ琴似支店
新車第一課 石田陸さん

ノア/ヴォクシーよりも1ランク上のミニバンとして、待ち望んでいた一台です。上品さがあり、高級感があり、おススメのジャストサイズのミニバンです。エスティマ、アイシス、プリウスαから乗り換えを検討されているお客様も多くいらっしゃいます。装備も充実しており、これより大きなミニバンから乗り換えても、満足していただけると思います。女性にも運転しやすく、便利な装備もついていますので、ご検討していただければ幸いです。

主要諸元:

全長×全幅×全高/4,695×1,695×1,865mm
ホイールベース/2,850mm
トレッド/前:1,480mm 後:1,480
車両重量/1,660kg
最小回転半径/5.5m
エンジン/1,986cc 直4DOHC
最高出力/152ps/6,100rpm
最大トルク/19.7kgf・m/3,800rpm
JC08モード燃費/14.8km/L
ミッション/Super CVT-i
ブレーキ/前:Vディスク 後:リーディングトレーニング
タイヤサイズ/195/65R15
駆動方式/4WD
乗車定員/7名
車両本体価格(札幌地区)/3,096,102円(消費税込)

テキスト:有岡 志信(SAフォトワークス)、Photo:川村勲(川村写真事務所)、取材協力:札幌トヨタ琴似支店 TEL(011)621-1111

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