presented by2+3新春号New Car Impression

世界が注目4WDプリウス

プロフィール

師走に堂々デビュー

 2015年を締めくくる自動車界最大のトピックは、師走の日本列島を駆け巡った新型プリウスの登場劇にほかならない。何しろ、数多のユーザーがずっと待ち望んでいた4WDバージョンのデビューである。日本国内はもとより世界各国で予想通りの大きな反響を呼び、その中でもとりわけ私たち道民は、諸手を上げた歓迎の真っ最中と言えよう。

 納期に関しては2016年1月現在、通常で3ヶ月、最大で7ヶ月先と発表されていることからも、売れ行きはまさに順風満帆。後にも触れるが、トヨタにとってはハイブリッド技術における大幅なアドバンテージを保持し続けた状況が終焉しようとしている矢先であったのだが、プリウスの存在価値そのものはこの先も決して揺るがないことを自ら証明して見せた。

 さて、果たしてその実力はいかがなものか。図らずも旧モデルとなってしまった30系のユーザーである筆者自身の偏見を時折加えさせていただきながら、レポートしていこう。

ゼロからやり直し

 まずは例により、ルックスから検証していく。全体としては好評だった30系のデザインイメージを踏襲しつつも、さらに近未来志向を高めた感が強い。ボンネット左右にノーズトップから放射状のカットラインが施され、切れ味鋭くつり上がったフロントコンビネーションランプと相まって、鮮烈なインパクトを残す。その様に歌舞伎役者の隈取りメイクを連想したのは、おそらく筆者だけではないだろう。すなわち、近未来的でありながら、どこか和風の佇まい。そこには、現代日本技術を代表するクルマとしてのアイデンティティが、ひっそりと息づいているかのようでもある。

 サイドは、後方に上昇するプレスラインがシャープな印象を際立たせ、リアに視点を移すにつれ大胆に切り込んだボディーの特異性が明らかになっていく。リアビューにおいては何と言っても、独創的なデザインのコンビネーションランプの存在感が強烈だ。夜間走行時ともなれば、稲妻を思わせる形状のテールランプが赤々と灯り、ひと目でそれが新型プリウスと分かる。

 全長が80㎜、全幅は15㎜拡大されながらも、全高は25㎜低くなったことから、見た目の印象はよりスポーティーに。30系から100以上のパーツを見直して「あえてゼロからやり直した」という開発経緯と、低重心スタイルを追求した志向性により、独特のフォルムを実現させるに至った。

 インテリアについては、全く別ものである。30系の大きな特徴だったセンターコンソールからアームレストに至るアーチ状の連なりが排され、20系を思い起こす一見シンプルな構成へ。しかしながら、ダッシュボードは曲線的なうねりが施され、歴代プリウスには見られなかった優雅さをコクピットにもたらしている。また、全体を覆う樹脂系にこれまでとは異なる滑らかな風合いの素材が用いられており、カギなどの角ばったものが擦れると傷が付いてしまったチープな質感に別れを告げ、アッパークラスのユーザー層も納得のゆく上質の車内空間を構成している。

 目玉の四駆システムには、状況に応じて4WDとFF走行を自動で切り替えるE-Four(電気式4WDシステム)を採用。機械式4WDに比べコンパクトなシステムであり、小型軽量化が命題となるプリウスには最適の方式と言えよう。

 気になる燃費は、ベーシックなFFタイプで世界トップレベルの40・8㎞/ℓを実現し、その他のグレードでも37・2㎞/ℓを誇る。さらに、四駆バージョンも34・0㎞/ℓと、これまでの常識を覆す低燃費を計上。プリウスを超えるのはプリウスにほかならず、といったところだ。

 グレード構成は、基本設計の「E」、装備を充実させた「S」、衝突回避支援パッケージ”Toyota Safety Sense P“をはじめ先進装備を整えた「A」、最上位の「Aプレミアム」が設定されており、Eを除く全グレードにE-Four搭載車、並びに215/45R17サイズのタイヤ&アルミホイールなどを採用した”ツーリングセレクション“が用意されている。

トヨタ PRIUS詳細写真

インプレッション

際立つ安定感

 試乗車は、Sのツーリングセレクション。ただし、タイヤとアルミホイールは本号別掲のスタッドレスタイヤ試乗インプレッション用に装着したものであり、純正装備とは異なっている。

 着座して実感するのは、グレードアップした車内空間の優美さと、全体的なスペースのゆったり感である。特に後部座席膝元は余裕しゃくしゃくで、全長が拡大された効果がリアルに伝わってくる。個人的な見解としては、これまでの運転席はあたかもハイブリッド技術の実験室の様相であったのに対して、新型プリウスは居住性を高めたことによりクルマらしさが一段と増したと見ている。それでもやはり、センターメーター内に表示されるデータ類から時代の先端性が垣間見え、プリウスらしさは少しも失われていない。

 発進は先代ゆずりのスムーズさで、評判の高かった加速性能にもさらに磨きがかかった印象。訳あって、今回は降雪後の登坂道での試走が中心となったが、30系の場合であれば大きく振られてしまいそうな雪深いコーナー、特に登り急こう配ではトラクションコントロールをがっちりと効かせながら、セーフティーにクリアしていく。もちろん、その際の4WDの恩恵は絶大で、おそらくは既存ユーザーらが共通に抱いていた悪路に対する不安感は、見事に払拭されたと断言できる。ゆえに、プリウスと共に乗り出して行くことが可能なフィールドは、果てしなく広がった。

 真冬のカーブでは、ちょっとしたドリフト感覚を楽しみたいといった走り屋系のドライバーにとっては、上り急こう配でのトラクションコントロールの発生度合いはむしろ「効き過ぎ」と感じるかもしれない。逆に言えば、それだけ確実にシステムが仕事をしてくれているということ。ドライバーが得られる安心感は、30系プリウスを軽々と上回っている。

 静粛性に関しても一層の向上が図られており、その点に不満を感じる向きはまずいないだろう。上位車種からの乗り換え組にとっても、満足度の高い仕上がりと言えそうだ。

 やや気になったのは、シフトレバーの位置。先代プリウスはアームレストに肘を乗せたまま軽く手を伸ばせばちょうど手のひらが当たるポジションにレバーがあった。それに慣れ切ったドライバーにとって新型のレバーは、「ずいぶん下になったな」と感じるだろう。ただし、それは慣れの問題でしかなく、シフトワークには何の支障もない。

ハイブリッド戦国時代?!

 周知のように、トヨタが保有していたハイブリッド技術に関する特許のほとんどが2015年末に期限切れとなり、他メーカーが何の気兼ねもなく開発できる状況となった。とりわけ海外勢の動きは素早く、すでに”プリウスハンター“を自称するニューカマーも発表されている。今後、プリウスが強力なライバルたちとの競争にさらされることは避けようもない事実である。しかしながら、初代誕生から4代にわたり20年間積み重ねて来た実績と信頼は、どんなライバルにもマネの出来ないもの。トヨタがトヨタである限り、プリウスはプリウスであり続ける。

ディーラーメッセージ

ネッツトヨタ札幌 藻岩店
営業スタッフ
竹越 基樹さん

燃費はもちろんボディ剛性が向上したことで、ロールや段差での衝撃が減少しました。乗っていただければ、何段階も進化した走りを感じていただけると思います。30系のユーザーの皆様からも「乗り心地が本当に良くなったね」とのご感想を多くお寄せいただき、非常にご好評をいただいております。そして私自身、皆様本当に四駆を待っていてくださったんだなと実感しています。

主要諸元:

全長×全幅×全高/4,540×1,760×1,475mm
ホイールベース/2,700mm
トレッド/前:1,510mm 後:1,520mm
車両重量/1,440kg
最小回転半径/5.4m
エンジン/1,797cc直列4気筒DOHC
最高出力/98ps/5200rpm
最大トルク/14.5kgm/3600rpm
モーター最高出力/フロント72 ps/リア7.2 ps
モーター最大トルク/フロント16.6 kgm /リア5.6 kgm
JC08モード燃費/34.0㎞/ℓ
ミッション/電気式無段変速機
ブレーキ/前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
タイヤサイズ/215/45R17(試乗車は純正装備と異なる)
駆動方式/4WD
乗車定員/5名
車両本体価格(札幌地区)/2,846,487円(消費税込)

テキスト:青柳 健司 (フォトライター)、Photo:川村 勲 (川村写真事務所)、取材協力:ネッツトヨタ札幌 藻岩店  ℡(011)583-5550

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