presented by4+5陽春号New Car Impression

本家プリウスとは違う独自のスタイリング

プロフィール

ブランドの確立

 4代目現行モデルが2015年12月に国内デビューして以降、好調な販売実績を積み上げ続けているプリウス。ハイブリッドシステムの代名詞、牽引者、トップブランド等など様々に称されるように、時代の先端を走るクルマとして揺るぎないステイタスを誇っている。

 数年先の自動車産業を論じる際、機能面では完全自動運転車が実用化される時代が間違いなく訪れるとされ、一方性能面では燃料電池車及び電気自動車が世界に広く普及すると言われるようになって久しい。その中でプリウスは、特に性能面における新時代への橋渡しとなるべく、あるいはプリウスそのものが次世代技術を一般に普及させる重責を担っているとも言えよう。発展形として先代モデルからプラグインハイブリッドバージョンをラインナップに加えているのは、そんなアイデンティティの現れと見てよい。

 そして2017年2月、満を持して新型「プリウスPHV」が誕生。一見してお分かりのように、現行モデルとはデザイン性が大きく異なっており、個人的にはトヨタプリウスPHVという名の独立ブランドが確立されたと見ている。

 なお、ある統計によると、全国で登録されたEV充電スポットは約2万2000カ所とされ、その数は急速に増えているとか。道内の実数は定かではないが、同様の増加傾向にあることに違いはない。

ハイスペックの獲得

 搭載されたハイブリッドシステムは、走行用モーターを現行プリウスと共にしながら、発電用として最大31 の出力を発生する強力なモーターを採用するなど、さらなる改良を加えたものである。これによって先代プリウスPHVのEV走行時の最高速度は100qの設定だったところ、高速道路でも十分に余裕のある135qまで引き上げられている。さらに、EV走行距離も先代はJC08モード61qだったのだが、同68・2qまで大幅に拡大されている。先代を遥かに凌ぐ8・8kWhの大容量バッテリーが搭載されたことや、全高を低く抑えルーフ頂点とリアスポイラーの高さを最適化するなど随所に空力性能を高める造形を用いたことも、ハイスペック獲得の一因となっている。

 充電は100V/6Aの家庭用普通配線でも可能で、その際はフル充電まで約14時間である。200V/16Aの場合は配線工事を要するものの、約2時間20分で充電可能。サービスエリアなどに設置されている急速充電器の場合はわずか約20分(フル充電の80%)となっている。むろん、EV走行によってバッテリー内の電力を消費しきった場合でも、信頼性の高いハイブリッドシステムの走行に切り替わるため、長距離移動に対する安心感は極めて高い。ハイブリッド走行時は、エンジンを発電に利用するバッテリーチャージモードが稼働し、一定量以上に回復するとEVモードに自動復帰する。それらの相乗効果でユーザーをより静かにより速くより遠くへ運んでくれるというわけだ。

 加えて、これまでハイブリッドとプラグインハイブリッド共通の弱点だった寒さ対策も十分。エンジンをかけずに車内を暖めるガスインジェクション機能付インバーターコンプレッサーを採用したヒートポンプオートエアコンを量販車としては世界で初めて採用(2017年2月トヨタ調べ)し、外部充電中にバッテリー温度を一定に保つ機能も搭載。北海道の厳寒期には不向きというイメージは、過去のものになっている。

洗練されたスタイル

 ではあらためて、独自性を打ち出してきたデザインを検証していく。

 好評だった3代目モデルのフロントマスクをベースに、さらに立体感を増し複雑化させた造形が目を引くのが現行プリウスの特徴。先にも触れたように、新型プリウスPHVはそのイメージをあえて踏襲していない。

 横4列に並べたコンビネーションランプからノーズへと、前方への張り出しは伸びやかで、滑らかに屈曲したラインを幾重にも重ね合わせたグリル周辺のデザインと美しく調和している。フォグランプ脇に縦に配したアクセサリーランプ(一部グレードはオプション)がラグジュアリームードを醸し出すアクセントとなっており、全体として先鋭性を体現する視点から発想されたものではなく、都会的に洗練されたスタイルを追い求めたことが想像に難しくない。

 リアビューも同様に、個性を際立たせている現行プリウスのそれとは全く異なっている。その象徴は、カーボン炭素繊維強化樹脂を採用したバックドアの形状だ。両サイドに膨らみをもたせつつ中央部が流麗にうねる独特のデザインから「ダブルバブルウインドゥ」と名付けられたもの。そして、これと一体となったリヤスポイラーが、新型プリウスPHVが身にまとった曲線美を強調させている。そのスポイラーのラインに沿ってLEDストップランプが埋め込まれており、夜間などの点灯時は赤いラインが一段と印象的に浮かび上がってくる。

 現行プリウスとのデザインの差別化を可能にしたのは、トヨタ独自のプラットフォーム技術であるTNGAによるところが大きい。低重心化とともに、ボディ剛性を担保するこのプラットフォームがあってこそ、今回の大胆な変更が実現できた。また、その利点を最大限に生かしたデザインとも言えるだろう。

 もちろん、安全運転支援システムにも怠りがない。新型プリウスPHVに搭載されたのは「Toyota Safety Sense P」。衝突回避と被害を軽減するプリクラッシュセーフティシステム、車線逸脱を知らせステアリングを制御するレーンディパーチャーアラート、先行車や対向車に当たる部分だけを自動的に遮光するアダプティブハイビームシステム、先行車との車間距離を保つレーダークルーズコントロール、駐車時のステアリング操作をアシストするシンプルインテリジェントパーキングアシストなどの機能を、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせによってより高い精度で制御する。

トヨタ PRIUSPHV詳細写真

インプレッション

走るだけではない魅力

 グレード構成は、エントリーモデルの「S」と装備を充実させた「A」に分かれ、前者にはナビパッケージ、後者にはレザーパッケージのほか、今回試乗に提供された最上位モデルのAプレミアムが用意されている。

 着座してまず目に入るのは、インストルメントパネル中央部に縦に配置された11・6インチT-Connect SDナビゲーションシステムである。通常のネビゲーション機能に加え、充電ステーションの検索、タイマー充電の設定、エアコン操作などができ、スマートフォンと連動させ車外からアプリを通じて操作することも可能なのだとか。また、万一盗難にあった場合は、所有者の意志に従って車両の位置情報の追跡などに役立てることもできる。しかし何と言っても最大の効果は、進行方向に対して広い視野が得られる縦位置の路面図が展開されることである。特にタブレットを使ったことがあるドライバーにとっては馴染みやすく、また扱いやすさという点でも優れている。

 EV走行がもたらす快適な走りは、前もって筆者が想像した以上であった。特に発進のスムーズさ、抜け目ないクイックな加速フィールはケチのつけようもない。また高いボディ剛性と相まって、静粛性のレベルが極めて高く、高級サルーンにも勝るとも劣らない。段差を乗り越える衝撃音もしっかりと吸収していることが肌で感じられ、エンジン走行時もその静けさに翳りはなく、アッパー志向のドライバーも十分に納得できるに違いない。

 ハンドリングは適度な硬質感があり、コーナリングの際に伝わってくる車体の安定感との相乗効果で、十分にスポーティーな走りを味わうこともできる。スタイリングから言えばシティーユースに相応しいクルマと言えるが、この高い運動性能を目の当たりにした多くのドライバーが、悪路での走行やアウトドアシーンにもどんどん乗り出していきたくなるだろう。それだけのポテンシャルを、十分過ぎるほど兼ね備えていると断言できる。

 高速走行においても、前評判通りEV走行でも余力十分である。ホールド感にも優れたシートはゆったりと心地よく、長時間ドライブでも疲れ難い。

 アウトドアと言えば、新型プリウスPHVに搭載された大容量バッテリーは、走行以外の用途にも利用可能だ。専用のコネクターを差し込めば、100Vのコンセントに早替わりし、合計1500Wまで対応するというから恐れ入る。キャンプなどのレジャーシーンはもちろんのこと、例えば災害避難時などにもプリウスPHVは人々にとって非常に大きな手助けとなってくれるだろう。新型プリウスPHVは、クルマと人との新たな絆を提言したと言っても決して大袈裟ではないと感じた。

ディーラーメッセージ

札幌トヨタ琴似支店
新車第二課
小原 健さん

デザインにひかれて試乗された多くの方々が、加速と走りの良さに驚かれます。従来のユーザーの方々は、静粛性が高くなったとご納得されます。そのほかにも、新型プリウスPHVにはたくさんの魅力が詰まっていますので、ぜひ一度ご自身で試乗して、直に感じていただきたいです。

主要諸元:

全長×全幅×全高/4,645×1,760×1,470mm
ホイールベース/2,700mm
トレッド/前:1,530mm 後:1,540mm
車両重量/1,750kg
最小回転半径/5.1m
エンジン/1,797㏄直列4気筒DOHC
最高出力/98ps/5200rpm
最大トルク/14.5kgf・m/3600rpm
モーター最高出力/駆動用72ps発電用31ps
モーター最大トルク/駆動用16.6kgf・m発電用4.1kgf・m
JC08モード燃費/37.2q/ℓ
ミッション/電気式無段階変速機
ブレーキ/前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
タイヤサイズ/195/65R15
駆動方式/FF
乗車定員/4名
車両本体価格(札幌地区)/4,241,160円(税込)

テキスト:青柳 健司 (フォトライター)、Photo:川村 勲 (川村写真事務所)、取材協力:札幌トヨタ 琴似支店  ℡(011)621-1111

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