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BMW初のFFベース車に4WDシステムとクリーン・ディーゼルを搭載!ジャンルを超えたコンパクトMPVは“BMWらしさ”も充分!

プロフィール

航空機エンジンメーカーとして誕生!

 BMW、直訳すれば「バイエルン・エンジン製造株式会社」の設立は1916年。そして、最初の航空機エンジンの生産を開始するのが翌年であるから、今年は製造開始100周年という記念すべき年となる。この年、早くもBMWの象徴である、あの回転するプロペラをイメージしたブルー&ホワイトのエンブレムも登録されている。

 この当時は、まさに第一次世界大戦の真っ盛りであり、ドイツ国内では航空機産業が急激な膨張を見せていた時期、BMWもその一翼を担うべく設立されたのだったが敗戦は目に見えており、ドイツの軍需産業は崩壊してしまう。BMWも航空機エンジンの製造を禁止され、汎用エンジンや鉄道用のブレーキ製造などにまで手を染め、なんとか2輪車メーカーとして生き延びてゆく。

 しかし、ドイツはこの敗戦に懲りず、ヒトラー率いるナチスにより、再度戦争への道を突き進んで行くのだが、これでBMWも息を吹き返す。“本業”である航空機エンジンの製造を再開し、レシプロ戦闘機用エンジンはもちろん、世界初の実用ジェット戦闘機メッサーシュミットMe262のターボジェットエンジンの生産で勇名をはせることになる。

 そして再度の敗戦、再びドイツの工業生産は壊滅してしまう。そこからの復興、それは2輪車の生産からだった。敗戦国民が欲していたのは手軽な交通手段であり、BMWも戦前から継続していた2輪車生産を復興への第一歩としたのである。

 そのあたりは同じ敗戦国である日本の事情ともほとんど同様。東洋工業(マツダ)はオート3輪で戦後復興に寄与したし、ホンダは原動機付き自転車製造が原点。あの過大とも言える世界大戦敗北がもたらした“負債”から立ち直るには、比較的簡単な製造施設でも生産可能な2輪などが最適だったのだ。現在の日本ではなぜかドイツ車の人気が高く、アメリカ車が不人気なのは、実際のクルマとしての性能が評価されてのことではなく、この同じ敗戦国であるという意識が影響しているのかもしれない。

スポーツスピリットを忘れず!

 BMWが4輪自動車の生産を始めたのは1929年のこと。ただ、それはイギリス車であるオースチン・セブンのライセンス生産であったから、そのクルマをBMWとは呼べない。その4年後、1933年にとうとう初のBMWオリジナル4輪車が製造開始、それが「303」というモデル。OHVながらもクロスフローの直列6気筒エンジン(シルキーシックス!)を搭載し、二つの楕円を並べたラジエター・グリル(キドニーグリル!)、プロペラをイメージしたエンブレム、駆動方式は当然FRであり、現代まで続くBMWのイメージを、80年以上前の初オリジナルモデルから早くもうかがい知ることができる。さらに「シュポルト・ワーゲン」と呼ばれる2シーター・オープントップモデルがすぐに発売され、この「スポーツ心」は現在まで綿々と続くBMWの心意気なのだろう。

 独自のスポーティカーイメージで軌道に乗り始めた4輪車の生産は、第二次世界大戦の大敗によりまたも中断、再開されたのは1951年のこと。ただ、そこでBMWが生産したのは高価な高級車であり、荒廃した戦後のドイツ国内で売れるはずもなかった。そのためイタリアのイソ社からのライセンスを受けバイク用エンジンを使う「イセッタ」というマイクロカーの生産で延命策を探るが状況は好転しなかった。

 そのため1959年頃には経営不振に陥り、ダイムラー・ベンツから吸収合併計画を提示されるが、BMWはそれを回避、独自の経営改善を目指した。それを支えたのが1961年に発表された「1500」というモデル。大人4人とそれに見合った必要にして充分なサイズを持つ4気筒エンジンセダンが大成功を呼び、経営基盤を持ち直すことに成功する。その「1500」が様々な発展形モデルを生み、そのひとつが1970年代中盤に到るまでスポーツ・サルーンとしての評価を確固たるものとした「2002」シリーズだろう。

 この「2002」、最高峰はフューエルインジェクションを備えた「Tii」であり、ターボモデルも誕生し、ツーリングカーレースでは圧倒的強さを見せつける。そのレースにおけるBMWのイメージをさらに押し進めたのが、DOHC4バルブヘッド直列6気筒エンジンを搭載した「3・5CSL」だろう。その流麗なボディを持つスポーツクーペは最終的には空力パーツをすべて搭載した状態で販売され、BMWのスポーツイメージを決定的としたのである。

ビー・エム・ダブリュー BMW 218d詳細写真

インプレッション

変化し続ける新たなBMW!

 今回、試乗用に提供された218のシリーズ、実際に現車を目にすると、古くからのBMWファンの方々はちょっと違和感を覚えるかもしれない。そこにあるのは、BMWの象徴である青白のエンブレムとキドニーグリルがなければ、世に多数あるツーボックスカーとさして違わないデザインのクルマなのだから。さらに、それはFF車用プラットフォームをベースとしており、シリーズの中には3気筒!!エンジンモデルまで存在するのだ。

 正直なところ、BMWにFF車が誕生するなど考えもしなかったのだが、「ミニ」を買収した頃からその予兆はあった。「ミニ」でFF車制作のノウハウを充分に蓄積し、この2シリーズには「ミニ」のプラットフォームを使うことで、とうとうBMW初のFF車、コンパクトミニバンの発売となったのである。

 今回の試乗に協力してくれた国際興業の小竹正紀所長も、「218には3列シートにもなる『Grand Tourer』もありますからミニバンともいえますが、この『Active Tourer』は通常の2列シートです。またSUVというほどハードなモデルでもありません。つまり国産車でいえば、218の方がちょっとサイズは大きいし、価格差はありますが、ホンダ・フィットやトヨタ・ヴィッツというレベルなんだと思います。つまり、BMWがコンパクトファミリーカーを作ったらこうなる……というBMWからの新しい提案なんですよ。MPV(多目的車)というジャンルがありますが、まさにそれが218シリーズだと思います」と言う。

 BMWには長い間、スポーティなハイスピード・サルーンというイメージがあったが、この10数年の間にBMWも急速に変化し、あらゆるジャンルのクルマを手がけるようになってきた。この新たな218シリーズに接するとき、これまでのBMWに対する視点を変えてみる必要がありそうだ。 早速レザーのドライバーズシートに乗り込むと、その感触はかなり固い。サイドも脇を包み込むようなサポートはないのだが、横Gが大きくかかるような運転をするクルマではなく、固いシートは腰への負担を軽減してくれ、ロングドライブには向くはず。難点はシートベルト。筆者は身長175センチほどなのだが、シートベルトをするとそれが首筋とアゴに当たり、運転に集中できない。Bピラーのベルト引き出しポイントを上下に動くようにすれば問題ないわけで、そのあたりは早期に改善されるだろう。

 メーターパネルは左の260キロ(ヨーロッパ仕様のままなのが嬉しい)までのスピードメーター、右がディーゼルなので5000回転過ぎからレッドゾーンのタコメーター、ともに大径で見やすい。さらに好印象だったのがステアリングホイール。“9時15分”に握ったところが細身になっており、グローブにぴったりとフィットし、スポークにも多数のスイッチがあるのだが、それがあまり気にならない。

 ステアリングホイールは運転に直結する重要な操作系アイテムである。それが握りにくかったり、回しにくかったりしたら、クルマ全体の印象にまで影響するのだ。このステアリングホイール、すべての基本設計にスポーツ心を持ち続けているBMWの“心意気”を感じさせてくれる。

必要充分なパワーとスムーズ4WD!

 2リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンに火を入れ走り出す。このエンジン、1500回転から3000回転までフラットに最大トルクを発生し続けるわけで、発進加速は得意分野なのだ。そこからさらに回転が上がった時点ではガソリン車の方が優位となるのだろうが、ディーゼル車としては充分で、前方にクルマがいなければアクセル全開のまま突き進んで行きそうになるほど心地よい。さすがに“バイエルンのエンジン屋”が作ったディーゼルエンジンである。

 ただし、やはりディーゼル特有のガラガラ音は残る。遮音状態が良好なルーム内ではほとんど感じないが、外に出るとエンジンルームから漏れてくるし、加速状態で走り去る時の音はまさにディーゼル。しかしドイツ有力メーカーの中でディーゼルエンジンの排ガス規制不正に手を染めなかったのはBMWだけ。その真摯なエンジンに対する姿勢と、卓越した燃費性能と差し引きすれば納得が行く。

 走行中でも切り替えできるドライブモードをSPORTにして、シフトもシーケンシャルを選び、ワインディングロードに入る。SPORTモードの加速は多少もたつき感のあるECOモードとはまったく違い、8速ATミッションを2速、3速とシフトアップしてゆくのにエンジンが見事に呼応してくれる。ただ高速域からフルブレーキで減速し、シフトダウンしてのアクセルオンに一瞬だけエンジン回転がついてこない点、ブレーキから踏みかえたアクセルペダルのバタつきが気にはなったが、さほどの問題ではないだろう。

 コーナリングパフォーマンスも充分で、5速全開で入ってゆくようなコーナーでもフロントタイヤはイン側縁石にしっかりと向かい、さほどのアンダーステアも感じない。これはこのクルマのために新たに設計されたリアのマルチリンクサスが機能しているせいと、BMW独自のxDriveという4WDシステムが効果的なのだろう。ただサイドウォールが硬いランフラットタイヤを装着しているため、路面からのショックをサスペンションだけで吸収しなければならず、タイヤを国産のスポーツタイヤに換装すればその印象は大きく変わるに違いない。

 日本国内ではほとんどのメーカーがミニバンやMPVを製作販売している。その“ミニバン&MPV天国”である日本に、この218シリーズを尖兵として斬りこんできたBMW、富裕な若いファミリー層を中心にどうその魅力をアピールできるか、大いに楽しみなところだ。

ディーラーメッセージ

国際興業株式会社 月寒営業所
アシスタント・セールス・マネージャー
工藤 高央さん

 この218のシリーズはBMW初のコンパクト・ミニバンといえますし、FF車がベースとなっているのもBMWブランドとしては初のモデルです。より身近になった218シリーズ、もっと多くの方の乗っていただき、BMWの良さを分かっていただきたいと思っています。ディーゼルも4WDもラインナップにありますから経済性も充分で、北海道でのファミリーカーとしてぴったりです。ぜひ一度試乗してくださり、BMWの新しい魅力に触れてください。ご来店、お待ちしております

主要諸元:

全長×全幅×全高/4,350×1,800×1,550mm
ホイールベース/2,670mm
トレッド/前:1,560mm 後:1,560mm
車両重量/1,590kg
最小回転半径/5.5m
エンジン/1,995㏄直列4気筒DOHCディーゼル
最高出力/150ps/4000rpm
最大トルク/33.7kgf・m/1750rpm
JC08モード燃費/20.0q/ℓ
ミッション/8速AT
ブレーキ/前/ベンチレーテッド・ディスク 後/ディスク
タイヤサイズ/205/60R16
駆動方式/4WD
乗車定員/5名
車両本体価格(札幌地区)/4,570,000円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA天野)、Photo:川村勲(川村写真事務所)、取材協力:国際興業株式会社 月寒営業所 ℡(011)853-6891

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