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トヨタの挑戦、目指すは「官能」の領域!“セダン復権”を期して新型「カムリ」が革新的な大変革を遂げて登場!

プロフィール

アメリカではベストセラーカー!!

 今から10年前、2007年(平成19年)にトヨタは北アメリカ進出50周年を迎えた。その年、トヨタはアメリカで人気最高のストックカーレース、NASCARに参戦を開始する。アメリカ人のNASCAR好きは想像以上で、我々日本人が最高峰と思っているF1などマイナーレースであり、彼らにとってNASCARこそが世界最高なのだ。A・セナを知っているアメリカ人はあまり多くないが、NASCARのスタードライバーだったディル・アーンハートは誰でも知っているほど。

 当然、クルマの販売台数にもNASCARは大きく影響する。トヨタにとっても北アメリカは大きな市場であり、それを無視できなかったわけで、その参戦車両として選ばれたのが「カムリ」だった。参戦2年目に日本車として史上初の優勝を果たし、2015年にはシリーズチャンピオンも獲得する。その参戦決断は“大正解”であり、「カムリ」はアメリカ市民にもスムーズに受け入れられる。これらが販売にも大きく影響したのだろう、北アメリカ市場に「カムリ」が投入された1983年以来、販売台数は増加してきたが15年前にとうとうミドルクラスセダンの販売台数がトップに浮上、2013年にはアメリカでの販売台数が1000万台を超える成果を挙げ、押しも押されもしないベストセラーカーとなった。もちろん世界戦略車としての役割を持つ「カムリ」、世界の100を超える国と地域で販売され、各国での販売台数トータルは昨年末時点で1800万台、日本国内では販売台数もふるわない「カムリ」だが、世界に目を向けるとトヨタの“看板”でもあるのだ。

たどれば「セリカ」へたどり着く!

 日本国内で「カムリ」というネーミングのクルマが登場したのは昭和55年のこと。その頃、人気最高のカローラを扱っていたディーラー、カローラ店の最上級車種が2ドアクーペのセリカであり、そのためカローラ店としては1600tクラスのセダンを販売ラインナップに入れたいと切望していた。そこで、セリカの姉妹車として販売されていたカリーナを流用し「セリカ・カムリ」と命名して販売が開始されたのである。

 そんな事情からこの「セリカ・カムリ」を初代とするにはちょっと無理がある。正式には昭和57年にFF化され販売開始となったV10型「カムリ」が初代だろう。このクルマが北アメリカにも輸出されるようになり、昭和63年(1988年)からはケンタッキー州で二代目となるV20型の現地生産が始まる。

 ここからが「カムリ」の快進撃のスタート。一般のアメリカ人にとって“アメリカ・ファースト!”は考え方の基本であり、アメリカ国内で生産されたクルマをまず購入対象に考える。だからこそトヨタはアメリカ国内に生産工場を建設し、「カムリ」が日本車ではなく、アメリカ生産車であるという戦略を取り、それは大成功を修める。ただ、このあたりから同じ「カムリ」でも、日本国内仕様と海外仕様は別の道を歩み始める。

 平成2年(1990年)モデルチェンジを受けるのだが、国内仕様は5ナンバーのまま。しかし海外仕様はワイドボディとなり、その海外仕様は国内では3ナンバーの「セプター」となり、他にも派生車が販売されてゆくのだ。その状況は車種の整理統合などで変わり、現在ではほぼ「カムリ」に統一されている。ただ、日本国内ではハイブリッド専用車となっている「カムリ」だが海外ではガソリン車も販売されている。

 それは今回のフルモデルチェンジでも同様。アメリカ仕様車はフロントのデザインがまったく違い、さらに3・5リッターV6エンジンや2・5リッター直4エンジンもあり、その2・5リッター車には8速ATミッション搭載車も用意されている。しかし、今回もまた日本国内版「カムリ」はハイブリッド専用車として登場したのである。

トヨタ CAMRY詳細写真

インプレッション

トヨタ新世代車の第三弾!

 今回試乗用に提供されたのは、エモーショナル・レッドと呼ばれる鮮やかな赤に塗装された中間グレードの「G」だった。ポイントはこのボディカラー、カタログにも、ホームページにも、この深紅がトップページに登場する。

 これまで、国内においてのカムリは販売台数も決して多くはない“地味”な存在だったし、購買層も高齢化し“おっさんグルマ”であったのは事実。その状況を一気に変え、若年層にも4ドアセダンの魅力を浸透させようとするトヨタの意思を表現したのが赤いボディカラーだったのだろう。

 さらに今回は、基本プラットフォームからエンジン、パワートレーン、サスペンションまですべてが一新される完全なフルモデルチェンジであり、トヨタとしては相当に“攻め込んだ”設計がなされている。トヨタの新たなクルマ作りの指針であるTNGAの第一弾がプリウスであり、それに続いたのがC─HR。そして今回のカムリが仕上げの第三弾、トヨタの新しいFF車用プラットフォーム「GA─K」を採用した初めてのクルマでもあるのだ。

 現車を見ての第一印象は「大きい!」だった。ミドルクラス・セダンであるはずのカムリが、同じクラスのマークXを超え、上級クラスのクラウンとほぼ同等のサイズを持っている。幅などクラウンより40oも広いのだ。このあたり新型カムリの性格が表れた部分。国内販売しかされないマークXやクラウンとは違い設計のスタートから主眼はアメリカであり、世界各地で販売されることを前提にクルマのサイズが決められたのだろう。

 ボディ・デザインも最近のトヨタ車では定番となっているランプがサイドまで回りこむキーン・ルックと大きな台形のフロントグリルを持つダイナミックなもの。ただ、ここはアメリカ仕様の両サイドにエアダクト状の分割されたグリルの方がより個性的だったろう。

 新しいプラットフォームによって車高も下げられたルーフラインもスムーズで、多くのドイツ車セダンに見られるようなクーペを思わせる造形。Cピラーのプレスラインがそれをさらに強調している。ただしそれが、古くから4ドアセダンの伝統だった“スリーボックス形状”を消し去り、トランクフードの存在が希薄になっているのが残念なところ。なにしろトランクリッドの長さは50センチ足らずしかないのだ。ただクーペ形状は世界的なデザイン傾向であり、空気抵抗を軽減し、それが燃費にも結びつくとすれば仕方のない選択なのだろう。

まさに“世界戦略車”の設計思想!

 コクピットに乗り込むとゆったりしたシートが出迎えてくれる。このシート、グレードが「G」なのでファブリック地。高級感はないが、時に“走り”を楽しみたいと思うドライバーにはファブリックシートで問題ないはずだ。また、このカムリはFF車だからプロペラシャフト用センタートンネルは不要のはずだが、かなりの大きさのセンターコンソールがあり、それによって助手席との適度な距離感が保たれている。この広大な室内余裕、アメリカ仕様の設計がもたらす恩恵であり、とにかく室内の余裕は充分なのだ。

 そのワイドボディの恩恵は後席でも同様。まったく新しいプラットフォームを採用したことで重心が下がり、ホイールベースも伸びたせいで後席も大人3名が余裕で座れる広さを確保している。さらに、それはトランクルームにも影響し、開口部は小さいのだがトランク自体には奥行きがあり、実際の収容容積は充分。その上、後席シートバックからのトランクスルーが可能となっている。

 最近のトヨタ車では当然となっているが、このカムリも安全対策は万全で、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用したシステム「トヨタ・セーフティ・センスP」をすべてのグレードに標準装備している。エアバッグもフロントシート以外に、後部座席搭乗者を守るための後席まで続くカーテンシールド・エアバッグが装着されている。

必要にして充分な走りの余裕!

 ドライバーズシートからメーターパネルに目をやると、正面右にアナログのスピードメーター、右にはハイブリッドスシテムインジケーターがあるが、タコメーターはない。ハイブリッド車は基本的に電気式無段変速CVTミッションを電子制御されたエンジンとモーターで駆動する。そうであればタコメーターなど不要という考え方なのだろう。

 しかしカムリには6速のシーケンシャルシフトも装備されており、擬似的にではあるがシフトチェンジが楽しめる。実際に筆者もそれを使って走り、シフトアップ・ダウンのたびにエンジン音が変わるのを体感したのだが、タコメーターの針による視覚的な確認ができない。そのあたりは残念なところ。

 スタートボタンをオンにして市街地へクルマを乗り入れる。走り出しはモーターであり、静かに車速を伸ばしてゆくのだが、スムーズの一言。モーターは初期トルクが最大という特性を持っており、120馬力を発揮するカムリのモーターが1・6トンのボディを軽々と加速させてゆく。さらにアクセルを踏み込むとエンジンが始動し、システム全体では211馬力を発生させ、圧倒的ではないが通常使用では充分なパワー感がある。このエンジン、A25A─FXS型はまったくのゼロから開発され、高い熱効率を実現している。圧縮比が14と高いロングストロークなのだが、バルブタイミングの調整と、シリンダー内に直噴する燃料インジェクターで高圧縮比による自然発火を避け、膨張行程でのパワーを取り出すことで、燃焼効率を41%とする新技術が投入されているのだ。

 サスペンションも新設計であり、路面の継ぎ目や段差のショックもよく吸収してくれる。かなり柔らかでなめらかさを重視しているようだ。そのあたりドイツ車のように締め上げられた感じはない。タイヤが鳴くようなタイトターンも試してみたが、リアのダブルウイッシュボーンサスがテールスライドを許さず、フロントがブレイクしてもリアの接地感が失われることはない。これは新しい低重心のプラットフォームと、ハイブリッドバッテリーをリアシート下に置くことで、前後の重量配分がほぼ50:50になった好影響なのだろう。

ディーラーメッセージ

トヨタカローラ札幌 篠路店
スタッフリーダー
叶 孝さん

この7月に発表になった新型カムリ、旧モデルに比べてデザインポイントに注目です。斬新でスタイリッシュ、スポーティ感も加わりました。さらに走りにもこだわって、長距離ドライブにも最適です。安全面でもセーフティ・センスPを全モデルに搭載し、安心感が大きく向上しました。もちろんカムリはハイブリッド専用車ですから燃費性能も万全。新型カムリHV、店舗にも試乗車が常備されていますから、ぜひ一度お乗りになってみてください。ご来店、お待ちしております。

主要諸元:

全長×全幅×全高/4,885×1,840×1,445mm
ホイールベース/2,825mm
トレッド/前:1,590mm 後:1,595mm
車両重量/1,570kg
最小回転半径/5.7m
エンジン/2,487cc直列4気筒
最高出力/178ps/5700rpm
最大トルク/22.5kgf・m/3600?5200rpm
モーター最高出力/120ps
モーター最大トルク/20.6kgf・m
JC08モード燃費/28.4km/ℓ
ミッション/電気式無段変速機
ブレーキ/前/ベンチレーテッド・ディスク 後/ディスク
タイヤサイズ/215/55R17
駆動方式/FF
乗車定員/5名
車両本体価格(札幌地区)/3.520,800円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA天野)、Photo:川村 勲 (川村写真事務所)、取材協力:トヨタカローラ札幌 篠路店 ℡(011)773-4111

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