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“次の世界ヴェゼルへ!” 都市をスマートに駆け抜けるアーバンSUVの魅力が一段とアップ!

プロフィール

創業時からの強烈な“ホンダイズム”を継承!

 アメリカの圧倒的な工業力と物量の前に、太平洋戦争の敗戦国となった日本だったが、不屈の精神力は負けてはいなかった。終戦からわずか1年後の昭和21年、本田技研工業の創業者である本田宗一郎は、復興に向けての重要な役割を担う原動機付き自転車の発売を開始する。そして昭和30年にはカブFなどの人気で二輪車生産台数日本一を達成。これが昨年10月には世界累計生産1億台という驚異的な大記録を達成し、さらに記録更新中のベストセラー「スーパーカブ」へとつながってゆく。

 しかしホンダは単なる2輪メーカーでは終わらなかった。1960年代に入る頃には2輪世界ロードレースGPを席巻したホンダ、高度なエンジン製造技術を確立し、着々と4輪車メーカーへの転進準備を始めていた。その頃、「私の幼き頃よりの夢は、自分で製作した自動車で全世界の自動車競走の覇者となることであった」という本田宗一郎の言葉が残されている。その実現のために何より必要なのは、高性能なエンジンを作ること、「パワー命!エンジン技術最優先!」という方針が確立されたのである。

 その方針のためだろう、ホンダが4輪市販車第一号として送り出したのは、4気筒DOHCエンジンを搭載するという前代未聞の軽トラックだったし、次にはそのエンジンを発展させたS500というスポーツカーだった。そこにはファミリーカーやセダンという選択肢はなかったし、最後発の4輪メーカーにもかかわらず、「自動車メーカーとして認められるには最高峰を目指さなければならない!」と、なんの事前知識も持たずに4輪レース最高峰であるF1GP参戦を決めたのも同様の方針からだろう。

 この強烈な「ホンダイズム」は世界有数の自動車メーカーとなった現在でも、ホンダのクルマ造りの根本として脈々と生き続けているに違いない

都市型コンパクトSUVのヒット作を連発!

 ホンダは乗用車主体のメーカーであり、大型のトラックやバスはもちろん、軽自動車以外の業務用車輌やピックアップ、カントリー系RVも自社生産車種にはない。そのため以前は、いすゞ自動車からのOEM車輌や、ローバー、Jeepなども販売ラインナップに加えていた。その状況に変化をもたらしたのはクロスオーバーSUVというカテゴリーの誕生だった。1990年代の半ば頃から、荒野を駆け巡るヘビーデューティーな本格4WDではなく、FFセダンのプラットフォームを転用したシティ派SUVが世界的に人気を博するようになってきたのだ。

 これはホンダにとっても大きなチャンス、ホンダは人気のFFセダンを数多く生産していたし、オデッセイを先鋒として、ミニバンや4WDカーの市場に斬り込んで行く世界戦略に着手したばかりだったのだ。その戦略の先兵として開発されたのがCR-Vだった。ステーションワゴンであるオルティアのプラットフォームを使い、1995年10月に発売開始となったCR-Vは、前年に発売されていたトヨタRAV4を瞬く間に追い越し、国産クロスオーバーSUVのトップブランドとなってゆく。

 その勢いは止まらず、1998年にはコンパクトサイズのSUVとしてロゴをベースとしたHR-V、さらにミニバンのストリームのプラットフォームを流用したクロスロードも発表するなど、それぞれボディサイズの違うクロスオーバーSUVのラインナップを完成させるのである。ただ、CR-V以外の車種は順次国内販売は終了、そこでホンダがシティ派SUVの決定打として2013年、満を持して登場させたのが「ヴェゼル」だった。

 コンパクトカーとして最高の人気を得ていたフィットのエンジン、プラットフォームなどをベースとしたヴェゼルだが、実際にはボデイサイズもワイド化され、ホイールベースも80㎜も延長するなど、新たに開発されたと別車種と言っていいほどのコンポーネンツを持っていた。さらに、そのデザイン。アッパーボディはまるでスポーツクーペのような流麗さであり、反して下半分は大径タイヤとワイドボディで安定感を融合させる秀逸さ。これが自動車市場で支持されないわけがなかった。ヴェゼルは発売された翌年、2014年から3年間、国内SUV販売台数トップの座に君臨し続けるのである。

安全対策の充実とデザイン&インテリアの質感向上!

 今回のマイナーチェンジ、全体のボディシルエットはこれまで通りだが、フロントデザインが大きく変わった。ボンネットフードとグリルの間が左右水平に切れ上がり、ヘッドランプにはLEDのインラインタイプが採用された。これでよりシャープな印象となったのである。今回、試乗用に提供されたタイプ「Z」は新色のオーロラアメジストと呼ばれる紫系に塗装されており、落ち着いた雰囲気を感じさせるのだが、乗り込んだルームインテリアは明るいブラウンと黒のコンビシートという派手な仕上げ。このあたりは新しいチャレンジなのだろう。

 特筆すべきはルーム内の広さ。リアシートに座っても足元は余裕があるし、さらにリアシートを畳んだラゲッジスペースの大きさは圧倒的ですらある。筆者は身長175センチほどだが、ちょっと脚を曲げると悠々と寝転べるほどの広さなのだ。これをもたらしたのはホンダ独自のセンタータンクレイアウト。通常はリアシートやトランクルーム下にあるガソリンタンクをフロントシート下に置くことでラゲッジルーム床面を下げ、多彩なシートアレンジやスペース活用が可能になったのだ。ホンダカーズ札幌中央南郷通店の谷口店長も「他社のコンパクトSUVを色々試乗してきた方が、ヴェゼルのこの使い勝手を再確認されて、購入を決めてくださるお客様も多いんですよ」と言う。このあたりはヴェゼル人気の大きな要因なのだろう。

 そして今回、ヴェゼルすべてのタイプに安全運転支援システムである「Honda SENSING」が搭載された。ミリ波レーダーと単眼カメラによって前方状況を探知し、衝突軽減や誤発進抑制、路外逸脱抑制など大きな安心をもたらしている。

 しかし、それら支援システムは安全のためとはいえ、ドライバーの予期せぬところで作動するのは事実であり、不要と感じている層も確実に存在するはず。クルマにコントロールされるのではなく、自分の意志で自由自在にクルマをコントロールしたいというドライバー達である。実はホンダ、その要望に応えるため支援システムを搭載していないヴェゼルも用意している。このあたり、クルマを単なる移動交通手段とは考えず、運転する喜びとスポーツ心を忘れないホンダの“真骨頂”と言えよう。

ホンダ VEZEL詳細写真

インプレッション

ドライビングの楽しさをi-DCDが実現!

 スタートボタンを押し、アクセルを踏み込むとヴェゼルはスムーズに走り出す。ハイブリッドであるから走り出しはモーター駆動である。ただヴェゼルの場合、モーターだけで走る時間はわずかで、すぐさまエンジンが掛かり、アクセル開度に合わせて小気味良いほど力強い加速を始める。ある程度スピードが乗るとEV走行も可能なのだろうが“主役”はエンジンなのだ。ハイブリッド車はエンジンとモーター、双方のパワーユニットを持っているが、ホンダの場合、あくまでも“主役”は自社生産のエンジンであり、他の電機メーカーが作ったモーターは“脇役”でしかない。そのあたり、創業時からエンジン技術には絶大な自信を持っているホンダの矜持を感じるところだ。

 そしてミッション。ヴェゼルには「i-DCD」と呼ばれるデュアルクラッチ・トランスミッション(DCT)が使われている。このDCT、クラッチペダルを踏むという作業がないだけで、構造はマニュアルミッションと似ており、欧米ではポルシェやフェラーリというスポーツカーメーカーばかりではなく、一般車輌にも多数採用されているのだが、日本国内ではホンダを除くと「日産GTR」や「三菱ランサーEvo」くらいのスポーツカーだけ。渋滞がよく発生し、ストップ&ゴーの多い道路状況の日本国内では、トルコン式ATや無段変速CVTの方がスムーズに作動するため主流となっているのだろう。しかし、ホンダはDCTにこだわった。確かに当初は不具合も多かったのだが、今回のモデルチェンジで一層リファインされ、特にモードを「SPORT」にするとメーターパネルの右に現れるタコメーターを見ながら、パドルシフトで7速を使いこなすドライビングは、胸がすくほどの楽しさを提供してくれる。そう、このDCTを採用した点にもまた、ホンダの“スポーツ心”を感じるのだ。

新機軸を次々搭載する“ホンダイズム”の結晶!

 舗装のオープンロードで小気味よく決まるミッションを堪能した後、氷雪路の不整地に入る。深いわだちができ、気温が上がったせいで氷盤が解け、滑りやすく難しい路面なのだが、ヴェゼルの走りは破綻を見せない。わだちを乗り越え、深いギャップを何度もクリアしたのだが、不快な突き上げ感や、ボディのねじれを感じることはなかった。

 それを実現したのがサスペンションに装着された「振幅感応型ダンパー」である。これには衝撃吸収ピストンバルブが2系統あり、さほど大きくない入力にはメインが作用して乗り心地を確保し、もっと大きな入力にはセカンドバルブも働き車体の安定を保つダンパーなのだ。

 さらに、ヴェゼルには、走行中に起きるボディの変形や振動を穏やかに整えるため、「パフォーマンスダンパー」も装備されている。スポーティカーのユーザーがボディ補強のため、ストラットタワーバーを装着することがよくあるが、この「パフォーマンスダンパー」はそのタワーバーにガス封入式ダンパーを組み込んだような構造。それを左右サスペンションの取り付け部分に装着することで、サスペンションだけでは吸収しきれない衝撃やねじれを受けとめてくれる。

 ハイブリッドでありながら、7000回転まで軽々と回る4バルブDOHCエンジン、それこそがHondaの“エンジン屋”としての心意気。そしてエコモードで走っていれば通常のオートマ車と変わらぬ使いやすさながら、スポーツモードに入れると、そのエンジンのポテンシャルを存分に引き出してくれる7速DCTミッションはスポーツ派にも好評だろう。

 ボディ剛性やサスペンションについても新たなアイデアを次々と投入する決断力。それらすべてを盛り込んだ新型ヴェゼル、まさに“ホンダイズム”の結晶であり、都市型コンパクトSUVのトップブランドとして、この先もユーザーから絶大な信頼と支持を獲得し続けるに違いない。

ディーラーメッセージ

Honda Cars 札幌中央 南郷通店
新車課 営業
池澤 秀明さん

 ヴェゼルのモデルチェンジ、外観は大きなものではありませんが、注目点は全タイプに安全装備Honda SENSINGが装備された点と、一番はトランスミッションです。これまでお客様からも「スタートの動きが鈍い」とか、「加速のフィーリングが今ひとつ」という声を頂いたこともありますが、今回の改善でそれが一掃されました。さらに、シートもサポート感が向上し、ロングドライブでも疲れを感じさせないようになりました。店舗には常時試乗車を用意していますので、新型ヴェゼルの魅力をぜひご試乗いただいてご確認ください。ご来店、お待ちしております

主要諸元:

全長×全幅×全高:4,330×1,770×1,605mm
ホイールベース:2,610mm
トレッド:前/1,535mm 後/1,540mm
車両重量:1,390kg
最小回転半径:5.3m
発電用エンジン:1,496cc 直列4気筒DHOC
最高出力:132ps/6,600rpm
最大トルク:15.9kgm/4,600rpm
モーター最高出力:29.5ps
モーター最大トルク:16.3kgm
JC08モード燃費:14.4km/ℓ
ミッション:7速デュアルクラッチ
ブレーキ:前/ベンチレーテッド・ディスク 後/ディスク
タイヤサイズ:215/55R17
駆動方式:4WD
乗車定員:5名
車両本体価格: 2,926,000円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA)、Photo:川村勲(川村写真事務所)、取材協力:Honda Cars 札幌中央 南郷通店 ℡(011)862-7111

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