日産リーフ 1回充電で400キロ 新型モデル発表

2017年 9月 7日(木)朝刊

 日産自動車は6日、電気自動車(EV)「リーフ」の新型モデルを10月2日に国内で発売すると発表した。1回の充電で走行できる距離を400キロに延ばすなどEVの弱点の克服に力を注ぎ、使い勝手を向上させた。加速といった走行性能も進化させ、普及拡大を狙う。希望小売価格は315万360円から。国の購入補助金を40万円受けることができる。
 日産は2010年に初代リーフを発売し、今回が初の全面改良となる。大容量のリチウムイオン電池を搭載し、1回の充電で現行モデルの約1・4倍となる400キロを走行できる。急速充電器を使えば40分で容量の80%まで充電が可能だ。
 ミニバン「セレナ」などで使っている高速道路の同一車線での自動運転機能を搭載したモデルも用意する。EVの強みである加速性能を一段と向上させた。
 6日に千葉市の幕張メッセで新型リーフを公開した。西川広人社長は「今後の日産の中核となる車だ」と性能やデザインに自信を見せ、「初代は象徴的な意味があったが、今回は売っていくことが鍵になる」と強調した。国内の販売目標は改良前の実績の3倍となる月3千台。国内で販売する車両は追浜工場(神奈川県横須賀市)で生産する。米国、欧州では来年1月に売り出す予定だ。

*米テスラ猛追、トヨタ参入…*加速する開発競争
 日産自動車は早くからEVを次世代環境車の主役に据え世界シェアで首位に立つが、米テスラが巧みなブランド戦略で猛追。トヨタ自動車なども加わって開発競争は急速に激しさを増しており、日産が先行優位を保つのは容易でない。

■攻める先駆者
 「日産には顧客とEVの世界を作ってきた先駆者としての自負がある」。西川広人社長は6日の発表会でこれまでの実績を強調し、新型モデルの拡販に自信を示した。
 リーフの累計販売台数は28万台でEVでは世界最多。販売先も49の国と地域に及ぶ。それでも当初の見込みは大きく下回っているのが実情だ。日産・ルノー連合で2016年度までに150万台を売る計画を掲げていたが、傘下入りした三菱自動車の「アイ・ミーブ」を加えても48万台と想定の3分の1にとどまる。
 西川氏は「市場がなかなか立ち上がらなかった」と説明。今後、他社も参入して普及期が来ると予想し「リスクを取って先をいく」と攻めの姿勢を強調した。

■苦難乗り越え
 「アメイジング(驚き)だ。これはいけるぞ」。10年秋、神奈川県横須賀市のテストコース。初代リーフの開発責任者、門田英稔氏はカルロス・ゴーン社長(当時)が運転席で放った一言が忘れられない。ゴーン氏は「各国の大統領や首相はEVを推進するだろう」と予見。トヨタやホンダが燃料電池車に注力する中、EV量産を決断した。
 開発開始は1991年。しかし1回の充電で走れる距離の短さなどから一時は開発を諦め、燃料電池車にシフトしかけたこともあった。社内でも門田氏らへの風当たりは強かったが、チームは3年で車両開発を終え発売にこぎ着けた。門田氏は「将来必要な技術だとの志を持って取り組んだ」と振り返る。

■各社は横一線
 EVを巡る競争はここにきて一気に過熱してきた。エンジン車に比べ部品点数が少ないなど製品化が容易とされ、業界関係者は「世界の全自動車メーカーが同じスタートラインに立っている」と話す。テスラが7月に納車を始めた「モデル3」は事前予約だけで50万台を超え、首位入れ替わりは時間の問題となった。
 欧州勢では、ボルボが19年以降発売する全車種をEVやハイブリッド車など電動化すると発表。フォルクスワーゲンは25年までに30車種以上のEVを投入する計画だ。
 出遅れたトヨタは8月、マツダと共同開発を発表した。中国メーカーも政府の支援を受け巻き返しを狙う。銀行系アナリストは「EVは乗り味で差をつけるのが難しい。中国勢とコスト競争になると厳しくなる」と話している。

*充電設備の普及課題
 電気自動車の普及に不可欠な充電設備の整備には課題が多い。国内全体では設置台数が増えているが、地域によって差があり、公共の充電設備の場所や使用方法の認知度も高くない。さらに次期環境車の主役が別の車になれば、無駄なインフラになってしまう問題もある。
 地図大手ゼンリンによると、サービスエリアや商業施設など公共施設にある電気自動車の充電器は7月末時点で2万8541基あり、2年前の2倍近くに増えている。
 充電設備の補助金事業をする「次世代自動車振興センター」によると、これまで補助金を交付した充電器は今年3月末で家庭用を含め3万6519基。最多は東京都の3236基で、愛知県、神奈川県が続く。北海道は1118基。最も少ないのは鳥取県の160基で、島根県、徳島県も200基に満たない。普及は大都市を中心に進んでいる。
 一方、次世代の環境車の候補には以前有力視されていた水素自動車も残っており、電気自動車とは異なる専用の設備が必要だ。世界の自動車市場では電気自動車を次期環境車とする潮流が強いが、技術革新で変わる可能性もあり、設置をためらう向きもある。

◇電気自動車◇
 エンジンの代わりにモーターとバッテリーを積んだ電動の自動車。走行時に排ガスを出さない利点があるが、バッテリーの関係で走行距離が制限され、ガソリン車に比べて高価になる欠点があった。ハイブリッド車優勢の中で、2010年に日産自動車が量産型の「リーフ」を発売し、その後米テスラ・モーターズが躍進した。欧米や中国が電気自動車の優遇政策を打ち出し、次期環境車として有力視されるようになった。

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