presented by10+11錦秋号New Car Impression

全車ハイブリッドに大変身「TOYOTA CAMRY」

カムリ

プロフィール

最上級セダンの存在感

 トヨタ・カムリはアメリカ、オーストラリア、中国、ロシアなど世界各地に拠点を構え、年間60万台以上の生産台数をキープして、6年前に累計1000万台を記録した文字通りのグローバルモデル。ただし日本では、例外なく“いいクルマ”との評価を得ながら、極立ったキャラクターやパフォーマンスをアピールすることもなく、地味な印象に終始した。そんな現状を打破して存在感を高めるため、開発陣は、シルエットのエモーション(E)、持ち前の合理性(ラショナル=RA)の2つのコンセプトをベースに置き、その合成語ERA(エラ)の時代性に”ニュー“を冠して、ニュー・エラ・セダン(新時代のセダン)として取り組んだ。
 以上は発表・懇談会でのトヨタの表明で、その結果「ユーザーを驚かせる飛び抜けた性能と、カローラ店の最上級セダンにふさわしい風格とプレミアム感をユーザーにお届けすることになった」という。
 そのエクステリア。全長×全幅×全長は4825×1825×1470mm。旧モデル比で全長が10mm、全幅は5mm大きくなった。2775mmのホイールベースは同一。コンセプトのエモーショナルは外観にも表面化され、フロントマスクはバンパー下部の開口部を大きく広げる一方、上のグリル部はやや上下に薄くコンパクト化、どしっとした安定感を演出して、全体としてシャープな印象を強めている。リアは緊急ブレーキシグナルを装備した左右のコンビランプを光沢メッキ調ガーニッシュに連結させ、かつてない安定感と両サイドへの広がり感を見せている。
 注目されるのは、ドアミラーが巻き起こす空気の乱流をボディーに押しつける効果をねらって、ミラー取り付け基部にフィン状のエアロスタビライザーを設けたこと。先進的なレーシングマシンが開発し、現在のF1マシンが装着するもので、ミディアムセダンに先陣を切って用いた。

プレミアムな居住空間

 インテリアは何よりもプレミアム感の追求に終始した。インパネは直線基調、センターコンソールはスクエアに配置して、メーターやナビ、ディスプレイの色合いや操作系の形状と、トータルで端正ながら車格感十分な眺めとしている。
 ハイブリッド車化に伴い、速度計を中央に配したメーターの左側にハイブリッドシステムのインジケーター、速度計にはマルチインフォディスプレイが配されるが、こちらも全体として、いかにもハイブリッド…とばかりの演出は影をひそめ、ごく普通のガソリン車の、ただし明らかに上級モデルのレイアウトとデザインの手法をとった。もちろん、エコドライブをサポートする情報や操作系の表示は、ハイブリッド車の教科書通りに充実しているし、純正ナビにはシステムの稼働状況やエコ、燃費のデータなどが示される。
 十分な広がりの居住空間は歴代カムリの持ち味だが、新型は前後の位置関係を改善し、リアの足元空間は旧型より45mm広がった。これによって、リアの居住性はLクラスのミニバンと同等のレベルになり、トヨタのセダンで最大級になったという。さらに、トランクルームは幅が1630mmに広がり、前後長も旧型より100mm伸びた。驚くほどの積極性は、ハイブリッド用電池やコントロール類の小型化と搭載位置変更などのマジックの所産である。
 なおメーカーは、美肌効果やウイルス抑制力を発揮するナノイー・イオン放出機能を全グレードに標準化した点を大いに強調している。

システム出力205ps

 何度か前述しているように、新型カムリの国内モデルは全車ハイブリッド仕様である。とあえて強調するのは、このあとの海外展開車がハイブリッド専用になるのかどうか不明だからだが…。
 エンジンは2AR型2・5L直4DOHC 16V(160ps/21.7kg・m)。モーターは交流同期電動機(143ps/27.5kg・m)。システムの総合出力は205ps。2.4L直4+モーターのハイブリッドセダン、トヨタSAIのそれに100ccのアドバンテージを与えた新型システムである。
 エンジンが大きくなると、通常ガソリン消費は増えるが、燃費を低下させるのはほとんどがアイドリングと発進加速なので、アイドリングストップが機能上一体のハイブリッド車は、これ自体がアドバンテージとなり、一方の発進加速は、そのほとんどをモーターが稼ぐため、100ccのボアアップはエコ面での不利にはつながらないのだ。

10・15モードは26.5km

 で、新型カムリの10・15モード燃費は26.5km/L。SAIは23km/Lで、単純計算では約15%の向上だが、これにはウォーターポンプの電動化や各部のフリクションロスの低減といった小まめなトライが関与していることは論を待たない。
 ミッションはトヨタHV慣例の電気式無段型。レクサスHS250hやCT200hなどに標準のパドルシフトはどのグレードにも付かない。タイヤは215/60R16が標準車に。上級グレードには215/55R17サイズが装着される。価格はベースグレードのハイブリッドが306万1000円。17インチタイヤ、本革巻きステアリングホイールなどが付く中級グレードのGパッケージは319万1000円。最上級の、クルーズコントロール、防眩インナーミラー、電動アジャスタブルシートが前2席に付くレザー・パッケージは382万1000円。

トヨタ カムリ詳細写真

インプレッション

ふつうの車のデザイン

 今度のトヨタ・カムリは高級ハイブリッドセダンだぞ〜と、イヤになるほど聞かされて、いざドライバーズシートに腰を落とすと、なんと目の前に広がるメーターナセルやダッシュボードは、確かに旧型とは比べものにならないほどおしゃれで上品で洗練されたプレミアムカーのムードだが、肝心のHV、HVしたところはあまり目につかない。よくよく見れば、3眼式メーター中央の速度計はまあ、控えめなエコドライブ表示を抱いた程度だが、左にはハイブリッドの出力やチャージ、エコエリア表示部を配したシステムインジケーター、右には平均燃費計/瞬間燃費計などがあって、間違いなくハイブリッド車のバッヂのようにアピールしてくる。
 ニューカマーとしての感慨を覚えさせるのは、やはりその走り。非常に扱いやすい短いシフトノブをDに入れ、静かに、しかし深く右足を踏み込むと、圧倒的に静かなノートと共に、従来型カムリとは段違いのパワーに押されて目まぐるしく速度を上げる。ハイウェイの最高法定速度への到達は一瞬のこと。その間、ミッションの段差は皆無で、パワーの息つきなどはみじんも無い。

ふつうでない走行性能

 そして、これも旧型と圧倒的に違うのが、軽いのにシュアで自然なハンドリングのフィールと、そのステアリングにいかなる場合でも瞬時に追随して、姿勢を乱さない超安定した走行マナー。加えて、速度の上昇に絶対に比例しない、キャビンの静粛性。もはやカムリは単に「乗ればわかるいいクルマ」ではない。内外の装いと先進のテクノロジーで、飛躍的に存在感を高めて、ユーザーを、欲しい、乗りたい、の思いに駆りたてる、エモーショナルなエコ高級車に仕上がった。

取材協力:トヨタカローラ札幌(011-820-1212)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)、テキスト:仲世古 正之

[Carpia CELHOME]詳しくはこちらをクリック!

最近チェックしたクルマ

最近検索した条件
     

このページを印刷する

キーワード検索

検索