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コンパクト・ミニバン初のHV

ホンダの「フリード」と「フリード・スパイク」が小改良を受け、新たにハイブリット仕様モデルがデビューした・

プロフィール

従来グレードは小変更

 ホンダ・フリードは08年5月にハイトワゴンスタイルのカジュアルコンパクトとして誕生し、大人6人に対応したスペースと1.5L直4ながらフル乗車時にも必要十分なパワーを得て、エコ時代の多目的車群をリードする人気モデルとなった。翌09年にはアドベンチャー志向の若者をターゲットにしたスパイクが戦列に加わり、フリード・ファミリーのバージョンワイド化に貢献してきた。
 今回のマイナーチェンジは、既存シリーズに限れば改良ポイントはさほど多岐にはわたらない。例えばエクステリアでは、実際のユーザーでなければ即座に判別するのは難しいほどの小さなデザインの変更がフロントグリル、同バンパー、ライト回りなどに施された程度。エクステリアも、シートやトリム類の表皮が上質化されたり、3列目シートに2人掛けタイプを新設するなど、それなりの改良、変更点が見られるものの、見た目のイメージは大きくは変わらない。

スパイクも2車種HV

 そんな中で、最大のトピックスはシリーズに初めて加わったハイブリッド仕様モデル。従来、ミニバンやハイトワゴンのハイブリッドはトヨタのエスティマ、プリウスαなどいくつか例を見るが、いずれも比較的大柄なボディーに積む傾向にあり、5ナンバーのコンパクサイズで実現したのはフリードが初。ちなみにホンダのHVとしては7番目になる。これに関してホンダは「ファミリーユースでの燃費、エコ指数に関する関心は、時を追って高まっている。フリードHVは街なかでの使用頻度を重視して足回り、乗り心地のセッティングに意を注ぎ、最も今日的なミニバンとしての要素を網羅している」と自信を見せている。
 新型フリードのラインアップは新たにハイブリッド3タイプが加わって計12車種となるが、前述のようにHV以外は基本的に旧型のシャシー、パワープラント、伝達系を踏襲する。ということで、ここではハイブリッド仕様について主として記述するが、そのスリーサイズは全長4215mm、全幅1695mm、全高1715mm、ホイールベースは2740mmで、他のガソリン仕様車との違いは無い。スパイクの方は同じく7車種を有し、うちハイブリッドは2車種。スリーサイズは全長のみがフリードより5mmだけ長い4210mmで、他はホイールベース、前後トレッドを含めて同じ。ちなみにハイブリッドは全車FFとなるが、ほかは従来どおりFFと4WDを用意する。

10・15モード燃費は24Km

 新登場ハイブリッドはCR‐Z用の1.5L直4のi-VTECを使う。最高出力/最大トルクは88ps/13.5Kg・mで、数値上はフィット・ハイブリッドの1.3L直4と同一だが、最大トルク発生回転数は300rpmほど低く、実用トルクの改善チューンが見られる。モーターアシストの数値は14psと8Kg・mでフィットと共通。その両者協調による燃費はJC08/10・15の両モードで21.6Km/24Kmとなり、旧型ガソリンエンジン仕様の16.6/17Kmから、それぞれ30%以上の向上をマークする。なお、エンジンとモーターのシステム総合出力は99psとなり、理想的なエコ運転による最大航続距離は、42L容量のガソリンタンクの助けを借りて、1000Kmを走れるはず…とメーカーははじく。
 新型フリード(スパイクを含む)の内外装は、前述のフロントデザインを含めて先進、斬新なイメージが漂う。造形自体はあまり変化が無いと前述したフロント部だが、ヘッドランプのクリアブルー色採用や同じ色合いとクロームメッキを取り合わせたグリルなど、ハイブリッド車専用の演出は巧みだ。
 従来どおり3列シートの設定だが、3列目に新たにキャプテンタイプの2座席シートを採用するなど、室内空間の雰囲気と実質的な居住性の見直しで、キャビンの印象は大幅に上質感をアップさせた。巨大なバッテリーを新規搭載するハイブリッド仕様に関して、当然後部座席回りの足元、頭上空間への影響が懸念されたが、バッテリー自体の小型化と形状変更、シート脚部のデザイン替え、反転フロアボードの薄型化などで総体的に対応し、結局フルフラット時の広い荷室空間確保を含めて、室内有効スペースの減少は見られない。

有効スペース犠牲ゼロ

 キャビンのムードを左右する前席前の眺めも、HV仕様は、中央に速度、右上部にモーターアシスト&チャージ表示、左はレブカウンター、デジタル速度計の下には燃費とエコ情報表示と、ゾーンを分かりやすく区切ったナセルをドライバー正面に設け、ガソリン仕様も含めてCVTレバーの位置、ステアリング上のタッチ式操作部、センタートレイやロアボックスなど各種機能やポケット類が合理的に配されて、ファミリーユースにはもったいないほどの適材適所のアイテム、デバイス群を配している。
 説明を聞かないとなかなか気づかないが、フロントガラスは雨や外部音などの騒音をカットする遮音機能付きとなるほか、シャシーやたてつけの各部に防音材を大幅導入し、静粛性向上にとりわけ配慮している点も見逃せない。
 新型フリード、フリード・スパイクの価格はノンHV車種の最廉価グレードG(FF6人乗り)の169万8000円から4WD・Gエアロ(7人乗り)の260万9800円まで。ほぼ同様のラインアップのスパイクは169万8000円〜281万9800円。ハイブリッドはフリード・ハイブリッドの214万9000円からスパイク・ハイブリッド・ジャストセレクションの288万9300円まで、計19のタイプ、装備別車両本体価格が設定されている。

ホンダ フリード詳細写真

インプレッション

女性にも楽な取回し性

 ファミリーあるいはグループ向けミニバンの、これぞ真打ち登場…。若干オーバーに受け取られそうだが、新型ホンダ・フリードの中核、売れ筋の中心となるであろう「フリード・ハイブリッド」の“ジャストセレクション(6人乗り)”のドライバーズシートで、なんとなくそんなキャッチコピーを考えていた。積算走行距離が限りなくゼロに近い、まっさらな新車。普通、こんなピカピカの“下ろしたて”を借り出し、路上の流れを完全にリードする速度で振り回す時には、ベテランドライバーを自負する身でも、若干の不慣れに伴う緊張や、クルマ自体のぎこちない挙動を感じるもの。しかし、フリードHVは、スターターを回した瞬間から、そうしたものとは一切無縁の、何とも自然で、フレンドリーで、安らぎに満ちた時を、ドライバーに提供して憚らない。
 そんなフリードHVのマナーとムードを、具体的にどう表現したらいいのか。まず、すべてが軽くて、自然である。ハンドル、シフトレバー、アクセル、そしてブレーキのどれもが、ヘタな軽自動車より軽いくらいのタッチ。かといって、そのどこにもあいまいさが無く、ステアリングの切れはシャープ。シフトタッチはメリハリが効き、右足の動きに呼応する加速や減速、それにブレーキの作動は自然でシャープ。全体としてスポーティーと言っていい反応だが、そのどれもが、女性ドライバーでもラクラクと楽しめる味つけなのだ。

ファミリー車の理想像

 足回りからの音や突き上げを含めた乗り心地も驚くほどいい。雪を間近にして履いていたスタッドレスタイヤでも、硬さ、ローリング、トレースのずれ、ノイズ…のどれもが文句なく及第点。
 ニートな出で立ちに秘めたキャビンの余裕の広がりも、3列シートのゴージャスな雰囲気も、クラスの水準から抜きん出た静けさと上品な乗り味も、従来のコンパクトミニバンには求めるべくもなかった高いレベルにある。
 これらはひょっとして、ハイブリッド仕様ゆえのマージンか。だとしても、ガソリン車との価格差は20万円前後。新型フリードはたぶん、HVでなくてもほぼ同様の挙動と質感を身につけているはずだが、それでも筆者はあえて、フリードを買うならぜひハイブリッド仕様を…とお薦めする。このクルマは女性の腕にもピッタリの、現今ファミリー向けミニバンの一つの理想形と言えるから…。

取材協力:ホンダカーズ札幌中央 南郷通店(011-862-7111)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)、テキスト:仲世古 正之

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