presented by10+11錦秋号New Car Impression

ハイブリッドのスタンダード

TOYOTAN COROLLA FIELDER HYBRID

プロフィール

「世界のカローラ」についに

 正直に告白すると、ハイブリッド車に仕事で乗るのは、今回が2度目。いやはや…。この仕事をしているわりには、なんとも情けない。新車がリリースされれば、公私問わず、欧州車を中心に、年間で30台以上は乗ってきた。だが、ハイブリッド車は、なんだか恐れ多いという、偏見を持っていた。本当に恥ずかしい。97年暮れに「21世紀に間に合いました。」のコピーで有名なトヨタの初代・プリウスがリリースされ、世界初の量産ハイブリッド車の試乗をした記憶を必死にたどる。思い起こすのは「アレ、アレ」「ヒューン」「シュー」だった。 貧相なボキャブラリーで全く申し訳ない。「アレ、アレ、エンジンがかかってないよ」、アクセルを踏んで「ヒューン」とモーターが回り、「シュー」と動きだすのだ。5ナンバーだった初代・プリウスの小柄な体には、本当にクルマの未来が詰まっていた。あれから16年。高級車に搭載されることの多かった「HYBRID」の6文字のアルファベットが、特別なことではなくなった。カローラは66年の初代誕生以来、全世界で4000万台を販売。まさに大衆車の確固たる地位を得た。今回の11代目カローラに追加されたフィールダーのハイブリッド車のリリースは、まさしく「HYBRID」の敷居が下がり、万人が興味を持つきっかけになりそうだ。

リッター33.0kmの低燃費を実現

 パワートレーンは、「アクア」にも搭載している「1.5L1NZ‐FXEVVT‐i」。1LM型モーターとニッケル水素電池を備える。おなじみのアトキンソンサイクルと排出ガス再循環システムで、高いエンジン効率を可能にした。加えて、電動式ウォーターポンプの採用で、駆動ベルトをなくして摩擦損失を低減。ワゴン車には標準装備されることの多い、ルーフレールをあえてオプションとし、空気抵抗の減少に努めた。 これにより、JC08モードで33.0km/Lの低燃費を実現した。自動車取得税(9万円前後)、自動車重量税(2万2500円)が免税となる。ハイブリッド車の価格は210万3900円〜(北海道地区、シートヒーターなし)でガソリン車の価格帯よりも、50万円以上高い。50万円分の元を取るのは商用目的以外では難しいが、乗ることによってエコ意識が高まる利点もある。一般的なユーザーなら月1回の満タン(36L×150円と想定=5400円)で、おつりがくるぐらいだ。ガソリン価格の高騰に、それほど神経質にならなくて済むだろう。

シートヒーターなどエコ装備満載

 ハイブリッドのイメージは状況によって異なるが、通常だと①停車時はエンジンストップ②スタート時はモーターで発進③通常走行時はモーターとエンジン④加速時はエンジンとバッテリーからパワーを供給⑤減速時は車輪がモーターを駆動して発電、バッテリーを充電する─システムになる。インパネのメーターでは「ハイブリッドシステムインジケーター」が、瞬時に充電池残量、エンジンやモーターの駆動状況、推定航続距離などをインフォメーションしてくれる。 用途に応じて便利な各モードも活躍する。「EVドライブモード」(ハイブリッドの充電状況によって使用できない場合もある)はエンジンを使わず、モーターのみで静かに走行することができる。釣りや急用などで早朝、深夜に出発する場合に近所迷惑にならない。「エコドライブモード」は低燃費優先の走りに、最適に制御してくれる。アクセル操作による駆動力、エアコンの消費電力を省エネ化する。 さらに、このクラスでありそうでなかったのが「シートヒーター」(フロントのみで1万5750円高)。単純に冬場ではすぐに暖をとれる優れもので、特に冷え症の女性に重宝する。だが、それ以上に実はエコにも貢献する。ハイブリッド車の場合、ガソリン車に比べて室内がなかなか暖まらないことがある。ここで余計にエンジンを回して、燃費を悪化させる弱点をカバーする意味でも、ありがたい機能でもある。

初のハイブリッド車のユーザー獲得へ

 トヨタ車として、初の5ナンバーハイブリッドのワゴン車だ。同時リリースされたセダンのカローラ・アクシオを含め、奇をてらわず、万人受けするデザインだ。全長が4360mm、全幅が1695mmのジャストサイズ。全高が1475mmで入庫できない立体駐車場はないだろう。特に女性や年配ユーザーの中には3ナンバー=大きくて運転しづらいという感覚をお持ちの方も多いと思う。もちろん、カローラの小型大衆車という基本路線を踏襲している。最小回転半径が4.9mで取り回しに苦労することがない。 ハイブリッド車にはタコメーターがない車種も数多くあるが、フィールダーは全車種に標準装備。外観に「HYBRID」のエンブレムがさりげなく3カ所付いているだけで、いかにも「ハイブリッド車ですよ」という大アピールがない。ガソリン車から初めてハイブリッド車を検討しているユーザーにとって、「特別な車」という感覚を持つことなく、違和感なく乗り換えることができる。

トヨタ COROLLA FIELDER HYBRID詳細写真

インプレッション

使い勝手の良い室内空間

 室内はワゴン車としての機能性に満ちている。リアシートは8段階にリクライニングできる。これは非常にありがたい機能だ。フラットや6対4に分割もできる。リアシートを全て倒すフラットは872Lの容量となり、通常時の407Lの2倍以上。スキー、スノーボードの長尺物もすっぽりとのみ込んでくれる。ラゲージスペースの側面にあるレバーを引くだけで簡単にリアシートが倒れてくれるので、荷物を手に持っていても簡単にシートアレンジができる。フラット時には最大長で2025mmあり、キャンプ用のマットを敷くと大柄な男性でも足を伸ばして仮眠もOK。アウトドア好きなユーザーにとって、手軽に車中泊ができる。駆動用のバッテリーがリアの車軸の前の後席下に位置しており、ガソリン車と同じくほぼフラット状態にすることができる。

必要十分なパワートレーン

 前述した通り、多少のドキドキ感を持ってエンジンスタート、ではなくモーターをスタートした。そう、このスルスル感(意味が分からない方はすみません)がよみがえった。「TFTマルチインフォメーションディスプレイ」に、エネルギーモニターが映し出された。今はバッテリーのみで駆動していると思いきやアクセルを強く踏んで加速すると、今度はエンジンも回る。極めてスムーズに回ってくれる。ワゴン車ゆえの荷室からのロードノイズも、気にするレベルではない。忠実に走ってくれるし、アクセルレスポンスもストレスを感じない。 昔からそうだが、トヨタ車はクルマの完成度が高いと言われる。上をみればレクサスブランドやクラウンもあるが、カローラでもヴィッツでも、全て及第点以上に仕上げてしまう。ハイブリット車専用ではなく、大衆既存車をハイブリッド化してくるところに大きな意義がある。今後も各車で同じようなラインナップが出てくることも予想される。もう、これで自分自身もハイブリッド車に特別な意識を持たなくなった。 悩んでいる人も多いかと思う。「そろそろ、ハイブリッドかな。もう少し待ってみるかな。どうしよう」という方に言いたい。ちょっと古くなっているが「今でしょう!」と。

ディーラーメッセージ

トヨタカローラ 札幌本店
スタッフリーダー 橋本 洋平さん

 トヨタ車にはこれまで、ワゴンタイプのハイブリッド車がなかったので、お客さまにとって選択肢が広がると思います。カローラフィールダーはとても幅広い年齢層の方々に支持されています。トヨタでは5ナンバーのワゴン車として初めてのハイブリッド車です。このため、3ナンバーの大きなクルマに抵抗のある方にも、受け入れてもらいやすいかと思います。寒くなる時期に重宝するシートヒーターをオプションで選べるのも魅力です。

主要諸元:(HYBRID・シートヒーター装着車)

●全長×全幅×全高/4360×1695×1475mm
●ホイールベース/2600mm
●トレッド/前:1480mm 後:1475mm
●車両重量/1200kg
●最小回転半径/4.9m
●JC08モード燃費/33.0km/L
●エンジン/1496cc 直4 DOHC
●最高出力(エンジン)/74ps/4800rpm
●最大トルク(エンジン)/11.3kgf・m/3600〜4400rpm
●モーター型式/交流同期電動機
●最高出力(モーター)/61ps
●最大トルク(モーター)/17.2kgf・m
●ミッション/電気式無段変速機
●ブレーキ/前:Vディスク 後:リーデイング・トレーリング
●タイヤサイズ/175/65R15
●駆動方式/FF
●乗車定員/5名
●車両本体価格(札幌地区)/2,119,650円(消費税込)

テキスト:有岡 志信(SAフォトワークス)、Photo:青柳 健司(フォトライター)、取材協力:トヨタカローラ札幌 本店 (011-820-1212)

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