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世界最高の燃費へ全刷新!

HONDA  FIT HYBRID

プロフィール

 MM(マン-マキシマム、メカ-ミニマム)すなわち居住性は大きく、メカニズムは最小で高レベル…。この思想を一貫して堅持してきたホンダ・フィットがフルモデルチェンジし、3代目へ移行した。EVを含めた変革期のクルマの行方を見据え、プラットフォームやレイアウトなどの基本部分は先代から受け継ぎながら、外観やパッケージング、キャビンスペース、そして走行性能や乗り心地などほとんどすべての面で進化、洗練をアピールする。そして最大のポイントは新開発のHV(ハイブリッド車)。燃費は1L当たり36・4km(JC08モード)を達成し、トヨタ・アクアを抜いて、当面世界最高のポジションに立つ。

1モーター、2クラッチ

 9月初頭のホンダ・フィット発表会で伊東孝紳社長は、「志したことは多かったが、1番のこだわりは燃費。新しいハイブリッドシステムは魔法のようだ」と誇らしげに語った。同席した開発担当者は「ライバルと徹底比較し、フィットに欠けるものは何かを見極めることから開発はスタートした」と、従来モデルの負の部分を洗い出す作業を最重視した経緯を明らかにした。それらを集約したトップモデルが、新型フィットが揃えた4車種のうちのハイブリッド仕様である。 そのフィットハイブリッド最大のポイントはもちろん新開発のハイブリッドシステム。IMAと呼ばれる先代のシステムは、フライホイールにモーターが直結され、その下にCVTが付けられた。これだと、減速エネルギーを回生する場合も、モーターのみで走行する場合もエンジンを回すことが求められ、燃費を稼ぐ上でのネックになっていた。

新発想、魔法のシステム

 新システムは、DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)と組み合わせることで、一気にそのジレンマを解消することになった。再度説明すると、従来型はエンジンに薄型ブラシレスモーターを組み合わせ、CVTないし6速MTを用いた。新型は、1500ccアトキンソンサイクルエンジンと7速デュアルクラッチ式ATを結び、その内部に1個のモーターを組込むという、全く新しい発想で具現化した。 このシステムでは2組のクラッチを用いるから、モーター駆動時はエンジンを切り離し、発進直後はモーターのみで走行。速度が上がるとエンジンが稼動してクラッチが繋がり、エンジンとモーターが協調する。減速時もエンジンは切り離され、一方のモーターは発電の役割を担う。 少々回りくどい説明になったが、新型フィットハイブリッドのi‐DCDと呼ばれるこのシステムこそ、現行HVで世界最高の燃費をマークするキーポイント。「魔法のよう」と評した伊東社長は加えて「燃費は、けっしてこれが限界ではない」とも付け加えて、すでに次ぎなるテーマへの挑戦が始まっていることを示唆した。

存在感、上質感アップ

 1.5L・i‐VTEC+i‐DCDという長い正式車号で示される新型フィットハイブリッドはもちろん、パワープラントだけの進化に止まらない。全長×全幅×全高は3955/1695/1525mm。先代比で全長が55mm、ホイールベースが30mm伸びた以外は変わらず、車両重量はバッテリーのリチウムイオン採用が効いて50kg軽くなった。ボディーの若干の拡大から室内長が110mm、同幅が35mm伸び、外観から推測するよりは豊かな居住空間を秘めるフィットの伝統に磨きをかけた形。エクステリア自体も、挑戦的なグリルとバンパー両サイド下部に設けられた立体的なエアルーバーがかつてない存在感を与え、同様にエア孔を配したリアビュー、見るからにボリューム感がアップした全体シルエットと相まって、先進性や躍動感をアピールする。 インテリアも魅力を増した。なかでも上級モデルからのダウンサイジング移行層を意識して、シートやトリムに新たな素材を採用し、おもてなし度を高めた。とりわけフロントシートは、先代モデルより幅を15mm縮小し、ホールド感やショック吸収性を向上している。ハイブリッドの多様なモニターをコンパクトにまとめた視認性に優れたメーターパネルや、気持ちのいいタッチフィールを追求した操作系、ピアノブラックと高輝度シルバーで高級感を演出する前席からの眺めは、格段にゴージャス度を増した。

アクア越えの36.4km

 巧緻(こうち)を極めた前述のハイブリッドシステムを擁するパワーユニットと同トレインは、従来2種類だったエンジンを1.5Lアトキンソンサイクルに統一。110psの単体出力に29.5psのモーターが加わって、システム最高出力は137psに達する。ちなみにモーター出力kWを見ると、従来型の10kWに対して実に倍増の22kWとなる。そしてJC08モード燃費は36.4km/L。システム最高出力が100psのトヨタ・アクアの35.4km/Lよりジャスト1km優れている。 簡単に目視は出来ないが、メカニズムの進化に最大の貢献をするハイブリッド専用電池は従来のニッケル水素からリチウムイオンになった。充放電損失が4分の1と小さくなり、駆動エネルギーが約1.5倍増大する一方、体積はコントロールユニットなどを含めて23%減少した。モーター走行で可能な最高速は約70km/h。これもライバル各車をしのぐ。 フロントがストラットの独立式、リアはトーションビームの車軸式のサスペンションは基本形式は先代と同じ。センタータンクレイアウトの重量バランスや各種アウトサイドからの入力特性にマッチさせた選択だが、材質やレートの変更はかなり大幅。その他、いわゆる先進装備は遜色なく、なかでも流行の衝突回避支援機能は独自のシティブレーキアクティブシステム(オプション)を用意する。 フィットハイブリッドのパッケージ展開と価格は、ベースグレード163万5000円、Fパッケージ172万円、Lパッケージ183万円、Sパッケージ193万円。

ホンダ FIT HYBRID詳細写真

インプレッション

走りの性能に死角なし

 一筋(ひとすじ)に燃費ナンバーワンを目指し、針の穴に糸を通すような厳しい課題のクリアに挑んだ新型ホンダ・フィットの中核モデル「フィット・ハイブリッド」。その解説、説明を要する項目は極めて多く、限られたページでは何十分の一も果たせない。が、燃費を除いた走りの印象を伝えることは簡単だ。 エンジンとモーターが協調する最高137馬力の出力は、5ナンバーに固執するボディーにはあり余るほど。特に超強力と言えるほどのパワー感は無いが、文句なくスムーズにスピードを引き上げ、どこまでも加速感が途切れないところは、やはりハイブリッドならでは。一方で発進から70km/h程度までOKとされるEV走行を試すと、ほぼ無音のまま60km超まで車速を引き上げ、先代モデルとは全く別物の一面を明確に示す。 ドライバビリティーの面では、7速DCTのショックレスなシフトアップ、ダウンが、それなりのダイレクト感も伴ってハイブリッドシステムの美点を側面援助する。ハンドリングもナチュラル。センタータンクレイアウトのプラットフォームにハイブリッド用バッテリーを載せたバランスも問題なく、応答の遅れは感知されない。タイトコーナーや荒れた路面のワインディングでのコンタクトは明らかに旧モデルを上回り、リアの振り出しも良くチェックされる。標準の15インチエコタイヤは本来、ハードなコーナリング向きではないタイプだが、ビーム式リアサスなどの新たなチューンの方向が、快適かつシュアな引き締まり感を演出する好結果を生んでいる。 ノイズを含めて、居住区の平和度は申し分ない。ハイブリッド故の静粛性と、前述の足回りと強化されたフレーム剛性の恩恵で、乗り心地は旧モデルから大きく向上し、キャビンスペースの拡大と前列シートの小型化などで、特にリアシートの居住性の洗練が目覚ましい。ほかにも美点を挙げればキリの無いフィット・ハイブリッド。先がげてこの夏デビューしたアコード・ハイブリッドともども、買うなら“いまでしょ!”と言いたくなるホンダのハイブリッド攻勢の担い手だ。

ディーラーメッセージ

 新型ホンダ・フィットの見どころは何と言ってもエコ性能です。直前発売のアコードが2モーターで省燃費を追求するのに対し、フィットは1モーターとシンプルかつ軽量。加えて、数え上げられないほどの新たな技術で、実に1リットル当たり36.4キロという文字通り世界最高の燃費を達成しました。 さらに室内を大きく、使い方の多様性を追求して、生活にフィットというこのクルマ本来のキャラクターを深化させています。先進の衝突回避システムをはじめとする安全装備も一段と充実しました。そして何よりも、すごい燃費を手にしながら、ホンダ車本来の走る楽しさもしっかり受け継いでいることを是非お確かめ下さい。

主要諸元(ハイブリッド)

●全長×全幅×全高:3955×1695×1525mm
●ホイールベース/2530mm
●トレッド/前:1480mm 後:1470mm
●車両重量/1080kg
●最小回転半径/4.9m
●JC08モード燃費/36.4km/L
●エンジン/1500cc 直4 DOHC
●最高出力(エンジン)/110ps/6000rpm
●最大トルク(エンジン)/13.7kgf・m/5000rpm
●モーター型式/交流同期電動機
●最高出力(モーター)/29.ps/1313〜2000rpm
●最大トルク(モーター)/13.7kgf・m/5000rpm
●ミッション/DCT
●ブレーキ/前:Vディスク 後:ドラム
●タイヤサイズ/185/60R15
●駆動方式/FF
●乗車定員/5名
●車両本体価格(札幌地区)/1,635,000円(消費税込)

テキスト:仲世古 正之、Photo:青柳 健司(フォトライター)、取材協力:ホンダカーズ札幌中央 南郷通店(011-862-7111)

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