presented by2012.12+2013.1冬将軍号New Car Impression

ニューカー緊急試乗 国産ディーゼル車の完成形

MAZDA ATENZA

プロフィール

スカイアクティブの1つの理想形、終着点

ルーチェ、カペラがカタログから落ちた後のマツダの乗用&ワゴン系のフラッグシップとなる「アテンザ」がフルモデルチェンジした。メーカーが、CX‐5に続く“スカイアクティブの1つの完成形”と自負する新型アテンザの注目点、魅力は尽きないが、最大の見どころはクリーンディーゼルターボエンジンの環境性能とガソリン車に劣らぬ動力性能の両立。そして、マツダ独自のダイナミズムを凝縮したデザインテーマの「魂動」を新たな形で具現化した、美しく端正な内外のスタイルは文句なくグッドセンス。発売直後の登録を待って、実質的に路上走行ゼロのまっさらな新車「アテンザセダン・ディーゼル=XD(クロスディー)Lパッケージ」の緊急試乗を試みた。
どこにも破綻を見出せない流麗さと力強さが融合した外観シルエットや、スポーティーな中もプレミアムな正統派のデザインとレイアウトのキャビンの紹介は後回しにして、まずは走りの実力とフィールから。

ガソリン車凌ぐ低回転域からの超強力加速

最大トルクの発生は2000回転、マックス出力は4500回転という2.2ℓ直噴ターボのパフォーマンスは、これがディーゼルとは信じられないほど刺激的だ。昨今主流のCVTのわずかなロスをも嫌って、基本的に6速ATに固執するトランスミッションだが、発進時にアクセルを踏むと、瞬時に42.8㎏・mの強大なトルクが働き、旧型より大型化したボディーを猛然とダッシュさせる。クロスしたギアレシオをシフトノブとステアリング奥のパドルの好きな方から選べるスポーツライクな設定はマニアックとも言え、とりわけ1〜3速の加速は強烈。その上の4〜5速の素速く、息の長いスピードの上昇と併せて、並みの2ℓ級ガソリンエンジン車をあっさりと置き去りにするほど。
ディーゼルの力感は認めても、高回転域に至るまでのもたつきや、その際の音量、マウントを通しての振動…といったデメリットが、これまでのディーゼル車の人気低迷の主因だった。しかし新型アテンザのそれは高回転域までスムーズにきっちりと回わり、とりわけ低・中速域から100㎞オーバーまでのサウンドは気持ちいい類(たぐい)の音質。後述する2つの場面でこそ、かすかに旧来のディーゼルに通ずる特徴的な弊(へい)が顔を出すが、走っている限りはそれと感じさせるものは無く、スポーティーなガソリンユニットと同等か、それ以上のファン・トゥ・ドライブの快感を享受できる。
で、その2つのシーンとは、1つは、主としてアイドリング時に、ステアリングホイールを握る手にごくかすかに伝わる振動。ドライバーの手以外にはこうした振動は全く感知されない。2つ目はi‐STOP、つまりアイドリングストップ機構が働く停車状態からエンジンが再始動する時のブルンという音と軽い振動だが、こちらは少なくとも前2席で感じさせられる。とは言っても、そのレベルはごく軽微で、この程度のものは一部のガソリン車にも見受けられることを、アテンザの名誉のために付記しておく。

新型シャシーとサスが磨いたハンドリグ

ニュー・アテンザの走りの美点としては、軽快感と正確さを併せ持つハンドリングもまた特筆しなければならない。先代に比べて125㎜長い全長と45㎜広い全幅、全高は同じというボディーサイズだが、一新されたプラットフォームとシャシーはバランスや剛性に優れ、それらの相乗効果でステアリングの切れや追随応答の自然な速さが好印象。とりわけハイスピード域を含めたコーナリングの安定感は、最小限に抑えられたロールも寄与して素晴らしい。サスペンションは前がストラット、リアはマルチリンクの4輪独立式。路面のいかんを問わず、若干固められて常にフラットな乗り心地とロードノイズの低さのダブル効果を発揮して、後席にVIPを乗せても文句を聞かずに済む上々の足腰に仕上がっている。
と、言った次第で、少なくとも走りの実力とフィーリングに関しては、繰り返しになるが従来の“ディーゼルだから”というくくりで語られるマイナスイメージの部分は全くと言っていいほど見当たらない。それどころか、同時デビューのガソリン仕様アテンザセダンで最高グレードの2ℓ・20SのJC08モード燃費17.4㎞/ℓに対して、試乗車のそれは20.0㎞/ℓ。同じ2.2ℓディーゼルターボに設定された6速MT仕様なら22.4㎞/ℓに延びる。蛇足ながらリッター当たりの燃料単価はガソリンの140円前後に対してディーゼル用軽油は120円前後(札幌市内・11月末現在)。クリーンディーゼルのメリットは小さくはない。

「魂動」を形にした流麗かつ洗練のスタイル

稿を新型アテンザのプロフィールに変える。3代目となるアテンザの顔つきは、切れ長のヘッドランプと大きく開いたグリル、複雑にカーブするフェンダーなどが、どこかスポーツカー的なダイナミズムを演出し、その流れが、これもまたスポーティーで流麗なリアエンドまで連続する。ボディー全体像は全長×全幅×全高がそれぞれセダンは4860×1840×1450㎜と旧型より大型化したが、ユニークなのはワゴンの方。4800×1840×1480㎜のスリーサイズのうち全長がセダンより60㎜短かく、セダンをベースにしたワゴンはどうしてもボディー後半が大型化する常識を覆している。それゆえに、ワゴンのシルエットは極めて良くまとまってベストルッキング。
内装は奇をてらわないT字型レイアウトがベースだが、情報&操作系をベストポジションに配し、なかでも最上級グレードのLパッケージなどがステアホイールやシートなど随所におごる本革のプレミアム感は高い。インパネ、センターコンソールなども適度にスポーティーな質感に加えて若干のタイト感すら漂わせ、スポーティングドライバーにはたまらない魅力だ。セダンの後席は視覚面の一定の制約を除けば大柄な男性が座っても十分なスペースとくつろぎ空間の雰囲気が保たれる。ワゴンのリア席も同様で、新たなプレミアムワゴンのスタンダードとなり得る資質は十分。

マツダ ATENZA詳細写真

インプレッション

搭載エンジンは3種類

多彩な先進アイテム

搭載パワーユニットは高圧縮比や燃料直噴、ミラーサイクルシステムなどで動力性能とエコ性能を両立させた2ℓと2.5ℓのスカイアクティブG。それに燃焼解析で14という低圧縮を実現した2.2ℓターボディーゼルのスカイアクティブDの計3タイプ。ガソリン車はセダンとワゴンを合わせて4グレード、ディーゼル車は同6グレードでシリーズを構成する。全車2WD(FF)。4WDの設定はない。
先進装備は最新モデルの例にもれず極めて多彩だ。アイドリングストップ機構、レーダー式プリクラッシュとACC、カメラを用いたシティーセーフティー、斜め後方接近車警報、アンチスキッド装置、レインセンサーワイパー等々枚挙にいとまがないが、極めつけは大容量キャパシターによる減速エネルギー回生システムのアイ・イーループ。減速時に集中発電させて蓄え、電装部品やオーディオ、エアコンなどへの電力供給時のエンジン負荷などを軽減する。
さて、以上のような新型アテンザの印象をどう総括すべきか。細かな項目はさて置き、テスターは「新たなプレミアムクラスへの挑戦の中で、スポーツカーも手がけるマツダの、絶対に捨てられない走りへの強い思いを、フラッグシップにも巧みに注ぎ込んだモデル。とりわけディーゼル車は、並み居るヨーロッパのディーゼルカーをほぼ全ての面で凌駕した初の日本車」と結論づけたいのだが…。

主要諸元

(セダンXD・Lパッケージ)
●全長×全幅×全高:4860×1840×1450㎜
●ホイールベース:2830㎜
●トレッド:前/1595㎜ 後/1585㎜
●車両重量:1510㎏
●最小回転半径:5.6m
●エンジン:2188㏄ 直4 DOHC 直噴ターボ
●最高出力:175ps/4500rpm
●最大トルク:42.8㎏・m/2000rpm
●JC08モード燃費:20.0㎏/ℓ
●ミッション: 6AT
●ブレーキ:前/Vディスク 後/Vディスク
●タイヤサイズ:225/45R19
●駆動方式:FF
●乗車定員:5名
●車両本体価格(札幌地区)/3,400,000円(消費税込)

仲世古 正之、Photo:川村 勲(川村写真事務所)、取材協力:北海道マツダ販売(011-221-9181)

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