presented by6+7新緑号New Car Impression

コンパクトカーの“主役”ポロが、すべてを一新する8年ぶりのフルモデルチェンジ!!

プロフィール

天才設計者の意欲作がすべてのスタート!

 自動車メーカーとしてのフォルクスワーゲンは1937年に設立された。ドイツはナチス党を率いるアドルフ・ヒトラーの独裁政権下にあり、ヒトラーはさらなる国民の信任を得ようと1934年に「国民車計画」を提唱する。そして、その小型大衆車の設計をヒトラーから依頼されたのが「ポルシェ」の創始者フェルディナンド・ポルシェだった。

 ダイムラーやアウトユニオンなどで充分な自動車設計の実績があり、ヒトラーと同じオーストリア出身だったことから目矩に適ったのだろう、すぐさま開発に着手し、1936年には流線型ボディを持つ空冷水平対向エンジンをリアに搭載した試作車を完成させる。もちろんそれはヒトラーの巧みな世論操作の一環であったのだが、国民にも支持され、多くの労働者層が購入のため積立を始める。しかし、後世“Beetle”として知られる名車フォルクスワーゲン・タイプ1が国民の手に渡ることはなかった。第二次世界大戦により、フォルクスワーゲンは民間大衆車の生産をすべて中断し、軍需車輌製造メーカーとなってしまったのである。

 ヨーロッパでの大戦がドイツの降伏によって終結した後、戦禍によって廃墟同然となっていたフォルクスワーゲンの工場を復興させたのはイギリス占領軍の担当官だったと言われている。イギリスは自動車の先進国であり、「タイプ1」の優秀性をすぐさま理解し、その判断で1945年には工場を復興させるのである。さらにフォルクスワーゲンにとって幸運だったのは、戦勝連合国側が復活した会社を管理化におかず、ドイツの民族系企業としての存在を許したことだろう。

 生産が再開された「タイプ1」はその優れた耐久性や経済性により、世界各地で大きな支持を得ることに成功、ドイツの戦後復興に大きな役割を果たす。その人気は衰えることなく継続し、2003年にメキシコ工場で生産が終了するまでに、2,152万台以上が生産されるという驚異的な記録を樹立、モデルチェンジなしの単一車種で達成されたそれは、この先も決して破られることはあるまい。

主力車種をFF小型車へと転進!

 確かに「タイプ1」、通称「Beetle」がフォルクスワーゲンの基盤を築いたのは事実であり、世界有数の自動車メーカーとなるための主力車種であった。しかし、それがあまりに偉大であり、さらに「フォルクスワーゲン」が国営企業であったことも影響したのだろう、1960年代にはすでに“旧式”であった空冷リアエンジンという「タイプ1」を超えるモデルを開発できないという状況に陥っていたのである。

 しかし、ようやく1960年には民営化が決定、そこから経営方針も変革を迎える。長く続いた「Beetleの負の遺産」を打破したのは、1965年にグループ傘下に加えたアウディNSUアウトウニオンが持っていた前輪駆動車技術。それを応用し、鋭意開発されたのが「ゴルフ」だった。1974年に発売開始となった「ゴルフ」は水冷4気筒エンジンを横置きに搭載するFFハッチバックカーであり、「Beetle」とは正反対のクルマだったが、そのコンパクトな機能性が瞬く間に受け入れられ、わずか2年半ほどで100万台を突破する大ベストセラーとなる。

 それによって大衆車メーカーとしての磐石な基盤を築き上げたフォルクスワーゲンはパサート、シロッコ、ジェッタなどヒット作を連発、そして1975年にはゴルフの“弟分”として「ポロ」を発表するのだ。南ヨーロッパを中心に販売を拡大した「ポロ」、特に女性からの人気が高いというキャラクターを持ち、それは日本国内でも同様で、今でもユーザーの60%が女性だという。

 その「ポロ」が日本国内に正規輸入されるようになるのは1994年に3代目の6N型にモデルチェンジしてから。ただ日本で人気になるのはさらに2年後の1996年に日本仕様車が発表されてからだろう。75馬力の4速ATと決して動力性能に優れたクルマではなかったが、コンパクトな“可愛さ”が受けて、コンスタントに年間1万台の販売台数を誇るヒット作となるのだ。そして、販売開始から43年目となる今年3月、新たな境地を切り開くべく8年ぶりのフルモデルチェンジを受けた6代目のポロが発表された。

フォルクスワーゲン Polo詳細写真

インプレッション

コンパクトカーレベルから一歩抜け出すグレードアップ!

 6代目のポロが3ナンバーカーになるという情報を耳にしたとき、正直なところちょっと“失望感”を禁じえなかった。日本はフィットやデミオ、そしてアクアなど優秀なモデルが多数販売されているコンパクトカーの激戦地である。そこへ同じ5ナンバーサイズのポロで斬りこんできたフォルクスワーゲンの心意気に共感していたからである。

 ところがその“失望感”は実際に新型ポロを目にして、コクピットの乗り込んだ瞬間、きれいに消え去ってしまった。確かに先代に比べて全長も全幅も65㎜拡大されており、立派な3ナンバーサイズなのだが、コクピットから見るとその大きさをほとんど感じない。FF車であるからフロントオーバーハングが大きいのだが、フロントを絞り込んだデザインの妙でうまくバランスされているし、走り出してもコンパクトカーらしい取り回しのよさはまったく変わっていなかったのだから。

 ボディサイズの拡大は、基本のプラットフォームがゴルフ以上の車種にはすでに採用されている、MQBと呼ばれるタイプに共用化されたことによる。それによりリアシートのレッグスペースやラゲッジルームが拡大され、安全対策上も需要な歩行者探知対応のプリクラッシュブレーキなども標準装備された。また、オプションの“Rear Assist”を装備すると車庫入れや縦列駐車などを自動的にやってくれる。これら自動運転技術につながる機能など、MQBの採用は多くのメリットをもたらしてくれたのだ。

 メーターパネルには右に260㎞/h!(これこそヨーロッパ車らしい!)までのスピードメーター、左には同じ大きさのタコメーター。最近の国産車にはタコメーターが装備されていなかったり、簡略化したデジタルになった車種が多いのだが、アナログ表示のまま残されているのは好感が持てる。残念なのはステアリングホイール。真円ではなく下端が水平になっており、素早いステアリング操作で、握り直した時など多少の違和感が残るのは仕方のないところ。

 ドライビングポジションだが、まずは上下はもちろん前後にも調整できるチルト機能を使いステアリングホイールの位置を決める。シートも前後させ、シートバックの傾斜設定を終えると、そこにはドイツ車らしい固めのシートと相まって、ほぼ理想的な運転環境が現出する。各種ディスプレイもメーターパネルと同じ高さで視線移動に疲れないし、不要な突起物のないダッシュボードは水平で前方視界を妨げない。

 コンパクトカーながらもドイツ車らしく、しっかり手間を掛けて仕上げられた上質感あるルーム内と、ドライバー優先の機能的なコクピット。3ナンバーとはなったが「ポロ」はやはり「ポロ」らしく、グレードアップの第一歩を踏み出したのだ。

必要にして充分な動力性能とドライブフィーリング!

 日本に正規輸入された当初、ポロのエンジンは1000㏄4気筒が主流だった。それが1200㏄4気筒となり、今回のモデルチェンジでは1000㏄3気筒と、どんどん小排気量エンジンにダウンサイジングされてきた。3ナンバーのボディサイズとなったのに、エンジンはわずか1000㏄なのだから「さて、これで大丈夫かな?」という懸念もあるだろうが、それは心配無用。国産車では軽自動車のちょっと上レベル程度のエンジンと思われるだろうが、そこはフォルクスワーゲンである、仕上げは万全で得意のロープレッシャーターボを装着することで低速からトルクを確保し、ピークパワーも95馬力を発生させている。

 この3気筒エンジンがよく回り、通常の走行ではパワー感もあって何ら過不足ない。ただ、発進加速で多少のもたつきがある点と、高回転になった時の雑なエンジンノイズが気になるところ。ワインディングロードでもエンジンの好印象は変わらず、ピークパワーの回転数を維持すると思いがけないほどスポーティな走りも楽しめる。

 そして、その機敏な走りを支えているのがトランスミッション。ポロにはDSGと呼ばれるデュアルクラッチトランスミッション(DCT)が搭載されている。高速巡航のチャンスが多くなく、渋滞も多い日本国内ではあまり採用されず、トルコンATや無段変速CVTが主流だが、ヨーロッパでは多数のメーカーが採用。ダウンサイジングターボとの相性がいいことから、フォルクスワーゲンでも多くのモデルにDSGが採用されているが、これが素晴らしい。最近、よく見られるダッシュボードから突き出たスイッチのようなシフトではなく、しっかりとした作りのシフトレバーをシーケンシャルにして、1速にシフトする。スタートはわずかにタイムラグはあるが5000回転までアクセルを踏み込みシフトアップしてゆくと胸のすくような加速感が味わえる。95馬力のエンジンパワーを7速DSGミッションが見事にサポートしているのだ。

 確かにリッターカーとしてみた場合、ポロは燃費が良好な方ではないし、プレミアムガソリン指定だから維持費にも影響する。しかし、そんな数字上だけでは表せない存在感がポロにはあるのだろう。Volkswagen札幌南の工藤スタッフリーダーも、「ポロをお選びになるお客様は国産リッターカーとの比較などしないようですね。最初から『ポロに乗る』と決めてくださる方が多いように思います」と言う。

 その魅力を充分に理解し、それに乗る喜びを求めて購入するユーザーが多いという新型ポロ。コンパクトハッチバックカーの新しいスタンダードをしっかりと示してくれたようだ。

ディーラーメッセージ

Honda Cars 北海道 北38条店
スタッフリーダー
工藤 圭司さん

 「今回のポロ、8年ぶりのモデルチェンジとなりました。クルマのベースであるプラットフォームがまったく新しくなり、居住性やユーティリティが大きく向上しました。ボディサイズは大きくなりましたが、安全装備を充実させるためにも必要であり、そのサイズにより見栄えが良くなり、堂々としたプロフィールを手に入れることができたのです。燃費も良くなりましたし、気持ちよく走れる自信のコンパクトカーです。試乗車も常時用意しておりますので、その魅力をぜひご試乗いただいてご確認ください。ご来店、お待ちしております」

主要諸元:

全長×全幅×全高:4,060×1,750×1,450mm
ホイールベース:2,550mm
トレッド:前/1,520mm 後/1,500mm
車両重量:1,160kg
最小回転半径:5.1m
エンジン:999cc 直列3気筒DOHCインタークーラーターボ
最高出力:95ps/5,000rpm
最大トルク:17.9kgm/2,000rpm
JC08モード燃費:19.1km/ℓ
ミッション:7速DSG
ブレーキ:前/ベンチレーテッド・ディスク 後/ドラム
タイヤサイズ:185/65R15
駆動方式:FF
乗車定員:5名
車両本体価格:2,299,000円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA天野)、Photo:川村勲(川村写真事務所)、取材協力:Volkswagen札幌南 ℡(011)888-5062

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