presented by8+9盛夏号New Car Impression

日本が誇るオフロード軽自動車 ジムニーが新たな歴史の第一歩を刻む

プロフィール

息の長い人気車種が原点回帰

 本格的なオフロード軽自動車として絶大な人気を誇るジムニーが、19年9か月ぶりにフルモデルチェンジされ、第四世代となった。普通乗用車規格のシエラも同時にフルモデルチェンジされており、こちらも16年ぶりとなる。

 ジムニーの歴史は古く、初代が誕生したのは70年のこと。軽自動車初の本格四輪駆動オフロード車としてデビューし、81年まで製造された。第二世代は81年から98年までの17年間、第三世代は98年から現代までの20年間製造されてきた。フルモデルチェンジのサイクルが非常に長いが、国内はもちろん、欧米やオーストラリアで人気を博してきたことが示す通り、各世代とも2~5年程度の間にマイナーチェンジを施すことで、魅力と鮮度が衰えないように工夫されてきた。

 今年3月時点での世界累計販売台数は実に285万台。なぜにジムニーがここまで愛されるのかといえば、その走破性が真っ先に挙げられる。パートタイム4WDと強靭なプラットフォーム、機械式副変速機などにより、岩場でもぬかるみでも乗り入れることができる。オーナーの行動範囲は広がり、アドベンチャーへの期待は高まる。本格オフローダーだからこそ、それを日常に取り入れるオーナーも多いし、軽自動車ならではの可愛らしさも持ち合わせているので、所有したいと強く思わせる魅力がある。第三世代ではフロントマスクから無骨さが減り、アーバンテイスト・カジュアルテイストが盛り込まれたものの、ジムニー本来の走破性を損なうことはなかった。ジムニーワイドやシエラが追加された際も同様だ。そして今回の第四世代では原点回帰、無骨なジムニーが戻ってきた。最新の快適装備・安全装備を投入されているので、魅力も倍増である。

ジムニー伝統の構造をブラッシュアップ

 ジムニーの基本構造は変わっていない。しかし磨き上げられてきた。まずは特徴的なラダーフレーム。ラダーとは梯子のことで、梯子状の頑丈なフレームにサスペンションなどを取り付け、ボディを載せるというつくり方のことである。昨今の乗用車もSUVもモノコック構造を採用しており、こちらはボディそのものに骨格としての強度を持たせた、フレームレスボディ。いずれも一長一短あるが、モノコックのデメリットである「衝突による一部の変形が、ボディ全体に影響し、最悪の場合走れなくなる」という部分を回避するのが、オフローダーたるジムニーの伝統である。

 次に機械式副変速機を持つパートタイム4WD。基本は2H(FR高速)で走り、悪路や雪道では4H(4WD高速)へ。そしてぬかるんだ道や急勾配の登り下り、スタックからの脱出には4L(4WD低速)と使い分けができる。この4Lこそジムニーが本格派オフローダーと呼ばれる特徴的な部分で、道なき道を超低速で慎重に進むことができるからこそ、世界中の過酷な環境下で使われているのである。

 さらに3リンクリジッドアクスル式サスペンション。一般的な乗用車では独立懸架式が採用されているが、ジムニーは車軸懸架(固定車軸)であり、左右の車軸はダイレクトに繋がっている。このため、段差や岩などで左右のタイヤ接地面の高さが異なる場合、車体下のクリアランスを稼ぐことができる上、タイヤに荷重がかかるので、接地性が高まる。

 そして3アングルと言われる、アプローチ(前面)・ランプブレークオーバー(車体下)・デパーチャー(後面)の対障害角度。205mmの最低地上高も手伝って、斜面への侵入、斜面から平地への移動などの際、何の不安もなく走行することができる。

 加えて電子制御ブレーキLSDトラクションコントロールによってぬかるみで空転したタイヤにのみブレーキをかけることで脱出を支援したり、急な下り坂でブレーキを自動制御するヒルディセントコントロールを装備しているので、まさに自由自在の走破性と言えるだろう。

スズキ jimny詳細写真

インプレッション

現代のニーズに対応

 さすがに現代の車だなと感じるのは、快適性・安全性が大幅に向上していることだ。スズキが誇る予防安全技術「スズキ・セーフティサポート」には、標識認識機能・車線逸脱警報機能・ふらつき警報機能・先行車発進機能・ハイビームアシスト・デュアルセンサーブレーキサポートが含まれる。XC/XL/XGという3グレードのうち、最上級のXCに標準装備、XL/XGには装備車が設定されている。

 エクステリアデザインはほとんどが直線で構成されている。ヘッドライトは第三世代の四角形から第二世代以前の丸目に戻されており、洗練された印象はないものの、懐かしさと愛らしさを感じる。外装カラーには「目立つ性能」としてのキネティックイエローと、「隠れる性能」としてのジャングルグリーンをはじめ、全9色。「目立つ性能」「隠れる性能」については、ハンターや自然愛好家、森林作業員など、日常的にジムニーを愛用するヨーロッパのスペシャリストたちへのリサーチを行った上で採用したという。またスズキお得意のツートーンカラーもあり、チョイスも楽しい。

活発で安定した走り

 乗り込んでみると、黒地にオレンジ文字のタコメーターとスピードメーターが目に飛び込んでくる。両者の間にマルチインフォメーションディスプレイこそあれど、このカラーリングは70~80年代の国産車によく見られたものだ。これをどう捉えるかだが、まさにシンプル・イズ・ベスト、視認性もよく、好ましく思える。現代のメーターはLEDやグラフィックを用いたものが多く、それはそれで良いのだが、必要かと問われれば返答に窮する。走行性能をとことん磨き上げる一方、なくても良いのものは省く。その割り切った手法は非常に合理的だ。

 エンジンは3グレードとも共通で、658cc 直列3気筒DHOC12バルブインタークーラーターボ。9・8kgmの最大トルクを3、500rpmで発生するので、ゼロ発進からアクセルを踏み込むと、3、000回転を超えたあたりから一気に活性化する。軽自動車なので絶対的な速さこそないものの、車群をリードすることは可能。ただしジムニーにとってこの活発なエンジンは、オンロードよりもオフロードでこそ発揮されるべきなのだろう。

 全幅1、475mmに対し、全高が1、725mmあるので、オンロードでのコーナリング時はわずかにロールする。しかし強靭なフレームの恩恵で、しっかりとした剛性があり、不安はない。4WDにした際のコーナリングでは弱アンダーとなるが、そもそも4WDでの乾燥路面高速走行は推奨されていない上、車体の動き方が非常にナチュラルなので、コントロールしやすい。

 モーターも回生ブレーキも持たないジムニーだが、今回のフルモデルチェンジでは予約が殺到し、生産能力をはるかにオーバーしているという。これは決して懐古趣味などではなく、「良いものは良い」と大半のユーザーが理解しているからに他ならない。そしてハスラー、エスクード、クロスビーなど、最近のスズキのクルマは非常に好調だ。各々コンセプトが明確で、堅実な作りがなされることで、多くのユーザーを獲得している。その中で伝統あるジムニーがどこまで伸びていくか、非常に楽しみなところだ。

ディーラーメッセージ

アリーナ札幌北
カーライフアドバイザー
河西 拓也さん

 発売の情報が公開されると同時に、多くのお問い合わせや先行予約をいただき、ジムニーの人気の高さを改めて感じるとともに、大変感謝しております。新型ジムニーはオフローダーとしての走破性をより磨き上げる一方、快適性と安全性が大幅に向上。静粛性も向上し、トータルで魅力を底上げてしています。デザインが原点回帰したことで、40代以上の方には「懐かしい」と受けとられ、若い世代の方には「独特のデザインが好き」と感じていただいております。ぜひご試乗にいらしてください。

主要諸元:

全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,725mm
ホイールベース:2,250mm
トレッド:前/1,265mm 後/1,275mm
車両重量:1,040kg
最小回転半径:4.8m
エンジン:658cc 直列3気筒DHOC12バルブインタークーラーターボ
最高出力:47kW(64ps)/6,000rpm
最大トルク:96N・m(9.8kgm)/3,500rpm
WLTCモード燃費:13.2km/ℓ
ミッション:4AT
ブレーキ:前/ディスク 後/リーディングトレーリング
タイヤサイズ:175/80R16
駆動方式:パートタイム4WD
乗車定員:4名
車両本体価格:1,841,400円(税込)

テキスト:横山 聡史(Lucky Wagon)、Photo:川村勲(川村写真事務所)、取材協力:アリーナ札幌北 ℡(011)721-8335

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