presented by10+11錦秋号New Car Impression

エコ・高級感・スポーツ性能 絶妙なバランスを保つPHEV

プロフィール

2030年ビジョンへ向けた第一歩

 ホンダからクラリティPHEV(プラグインハイブリッド=自宅や給電スポットで充電できる)が発売された。見るからに未来的なその出で立ちは、ホンダが掲げる2030年ビジョン、すなわち「2030年にグローバルでの四輪車両販売の3分の2を電動化する」に基づいている。

 クラリティの原型は燃料電池車を前提としたFCX(02年)とFCXクラリティ(08年)。一方の市販車ではコンパクトカーのフィットからミニバン、セダン、SUV、そして最高峰スポーツに位置付けられるNSXに至るまで、ほとんどの車種にハイブリッドをラインアップしてきた。そして昨年4月に開催されたニューヨークオートショーにおいて、クラリティPHEVと電気自動車クラリティエレクトリックが発表され、いよいよ今年、日本でPHEVが発売開始となった。

 燃料電池車と電気自動車はエコカーの完成系として各メーカーが開発を進めている。しかし水素ステーションや給電スポットという、自動車メーカー単体だけではなかなか整備が難しいインフラが課題であり、ハイブリッドあるいはプラグインハイブリッドは、いま現在考えうるベターな選択である。ホンダは99年に初代インサイトを発売して以降、前述の通り幅広くハイブリッド車をラインアップしてきた。プラグイン形式は初めて発売することとなるが、クラリティのシステムはSPORT HYBRID i-MMDを進化させたもので、主役はエンジンではなくモーター。「エンジン車にモーターが付いている」のではなく、「電気自動車にエンジンが付いている」と捉えた方が分かりやすい。

先進的な外装とスポーティで上質な内装

 まずはエクステリアから見ていこう。全長4,915×全幅1,875という堂々たるサイズ。ホンダで言えば、もっとも近いのはアコードハイブリッドである。

 フロントフェイスは極めて個性的で、昨今のホンダのデザインアイデンティティを感じるものの、アコードやレジェンドとは少し違う。どちらかといえばスポーツカーのNSXに近いイメージだ。一方のリアは若干シンプルでスポーティ。下部左右に派手なダクト状のデザインがあったり、左右のコンビネーションランプ間、ロゴマークがあるブラックアウト部分が実はガラスで、リアの視界確保に大きく貢献している点など、ホンダらしさをアピールしている。

 またリアのタイヤハウスには僅かながらカバーがかかったような意匠になっている。初代インサイトほどのインパクトはないにせよ、空気の流れを整え、安定性や静粛性を考慮している。またフロント下部左右、リアタイヤハウス前方に設けられたダクトはダミーではなく、同様に気流を考慮した設計である。

 インテリアはシンプルで上質感に溢れる。ダッシュパネル中央のナビ画面からシフトスイッチ付近に様々なボタンが集中しており、その他の目に見える部分は極めてシンプルにデザインされている。斬新なエクステリアと比べれば保守的とも感じられる内装だが、それが逆にスポーティさやパーソナルなイメージを生み出している。そしてメーター類は明らかに「少し未来」。タコメーターの代わりにパワー/チャージメーターが備わり、走行状態やバッテリー充電量などの各種情報を表示させるエリアも3Dグラフィックで分かりやすく設計されている。

モーター主体のハイブリッドシステム

 搭載されているハイブリッドシステムi-MMDは、大きく4つの主要コンポーネントから構成される。17・0kWhの総電力量を誇るリチウムイオンバッテリー、走行用/発電用の2モーター、電流や電圧を制御するPCU(パワーコントロールユニット)、そして1・5LアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンである。エンジンは主に発電用であり、走行状況に応じて動力としても作用する。モーターは最高出力184ps/最大トルク32・1㎏mとかなり強力。モーターの美点は低速で最大トルクを発生することなので、CVTと組み合わされることでスムースな加速を生み出す。

 リチウムイオンバッテリーは床下に置かれることで安定感を生むほか、車内空間の確保にも貢献。大容量化により、バッテリーのみで114・6㎞ものEV走行を可能にしている。2018年7月現在、プラグインハイブリッド車の中では最長のEV走行可能距離であり、街中が主な走行エリアとなれば、ほとんどエンジンを駆動させずEV走行できてしまうことになる。現に取材中は意図的にアクセルを深く踏み込まない限り、ほとんどの工程をEV走行でこなしてしまった。

ホンダ CLARITY詳細写真

インプレッション

走りが楽しいスポーツセダン

 乗り込んだ瞬間から、クラリティ体験は始まる。システムを始動させると、エンジン音の代わりにモーターを始めとするシステム作動音が大きめに響く。ハイブリッドやEV車で聞き慣れた音ではあるが、これまで好ましく感じたことは一度もなかった。ところがクラリティのそれはまるで美しいアンビエント音楽のようだ。

 メーターパネルに表示されるパワーインジケーターをチェックしながら走り出してみる。混雑した国道を、ストップ&ゴーを繰り返しながら走行している分には「未来感」はあまりない。動く・止まる・曲がるといった基本動作すべてがスムース過ぎるくらいにスムースで、高級感に溢れてはいるものの、特別な感じはしないのだ。ようやく道路が空いてきたので、加速を試みる。アクセルにはクリック機構があり、クリックポイントより深く踏むとエンジンが駆動に加わる。すると、なんとも独特な加速が始まった。モーターのトルクでグンと押され、パワーメーターが頂点を過ぎる頃にはエンジンの軽快な音が響いてくる。モーターとエンジンの受け渡しがスムースで、かなり速い。

 ECON/SPORT/HVのモードボタンをいろいろ試しつつ、今度は中速でコーナーに侵入してみる。クイックではないのだが、よく曲がる。適切な重量配分と高いボディ剛性のおかげで、身のこなしは軽快だ。これにはかなり驚かされた。ほぼフルサイズで車重は1、850㎏。にも関わらず、加速もコーナリングも軽快でスポーティなのだ。ホンダはCR-Zで「スポーツハイブリッド」というコンセプトを打ち出したことがある。「ガソリンをできるだけ消費しない」ことを第一に掲げたエコカーが世に出回り始めた時期のことだ。クラリティも同様で、最新のハイブリッドシステムによって優れた燃費性能を追求する一方、運転する楽しさを犠牲にしていない。むしろモーターの特性を生かして、未来のスポーツセダンを生み出そうとしている。

 なお最先端の安全装備Honda SENSINGはフル搭載されている。衝突軽減ブレーキや先行車発進お知らせ機能などは、短時間の試乗でも体感できるので、ぜひお試しいただきたい。

 クラリティの主たるマーケットはアメリカだろうと思うが、インフラが一気に拡大されない限り、燃料電池車や電気自動車よりもハイブリッドの方が安心できる。「燃料代で元をとる」という考え方も一理あるが、ハイブリッドでこんなに上質で運転が楽しいセダンができるというのも事実。クラリティPHEVがユーザーに問うものは大きい。

ディーラーメッセージ

Honda Cars 北海道 月寒羊ヶ丘店
営業主事
柴田 忍さん

 ホンダは今後3年間で、販売する車両の2/3を電動にしたいと発表しています。すでに様々な車種にハイブリッドを設定し、そこで得られたノウハウやお客様からのフィードバックをもとに、より一歩進んだモデルとしてクラリティは生まれました。個人向けにプラグインハイブリッドを発売するのは実は初めてで、今後EV化、PHV化していく上での重要な一台になります。燃費性能は言うに及ばず、上質な室内空間や走行性能、最新の安全性能を備えた高級車ですので、ぜひご試乗なさってみてください。

主要諸元:

全長×全幅×全高:4,915×1,875×1,480mm
ホイールベース:2,750mm
トレッド:前/1,580mm 後/1,585mm
車両重量:1,850kg
最小回転半径:5.7m
エンジン:1,496cc 直列4気筒DOHC
最高出力:77kW(105ps)/5,500rpm
最大トルク:134N・m(13.7kgm)/5,000rpm
最高出力:135kW(184ps)/5,000~6,000rpm
最大トルク:315N・m(32.1kgm)/0~2,000rpm
JC08モード燃費:28.0km/ℓ
ミッション:CVT
ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
タイヤサイズ:235/45R18
駆動方式:FF
乗車定員:5名
車両本体価格:5,880,600円(税込)

テキスト:横山 聡史(Lucky Wagon)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)、取材協力:Honda Cars 北海道 月寒羊ヶ丘店 ℡(011)856-3311

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