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独自の道を歩むミニバンSUV「デリカD:5」が、さらなる進化を遂げて登場!

プロフィール

誕生当初から"質実剛健"がメインテーマ!

 初代デリカは、昭和43年にその頃の主力乗用車だったコルト1100のエンジンを搭載した600キロ積みの小型トラックとして生まれた。その翌年にはルーフを装着したデリカ・バンも登場し、昭和46年にはより強力なパワーユニットとして、ギャランFTO用の1400ccエンジンに換装し、その乗用車版としてデリカ・コーチも販売開始となる。ちょうどその頃、昭和45年には三菱自動車工業が独立、まさに三菱グループの自動車部門が新たな第一歩を踏み出した時期でもあったのだ。

 国産乗用ワンボックスカーの先駆けモデルであったデリカ・コーチに転機が訪れるのは昭和54年、デリカ・スターワゴンとして大きく生まれ変わったのだ。さらにその人気を決定的としたのは昭和57年に4WD仕様が発売となってから。この4WDモデルは小型商用車であるフォルテのシャーシにデリカのボディを組み合わせたもので、それまでとはまったく違うインパクトを持っていた。時代はまさにRVブーム、多人数乗車可能なハイルーフ・ワンボックスカーながら、有効にして充分な悪路走破性を持つデリカ・スターワゴン4WDはアウトドア派ユーザーから圧倒的な支持を獲得するのである。

 その人気をさらに確実にしたのが、スターワゴンの後継車種として平成6年5月に発売開始となったデリカ・スペースギアだった。これまで同様、単なるワンボックスカーに終わらせず、必要にして充分な走破性能を持たせるため選ばれたのは、あのクロスカントリー系4WDの"雄"パジェロのシャーシだった。2代目パジェロのラダーフレームをベースに、モノコックボディを一体化させることに成功。それによってオフロード4WD並みの強力な剛性と、丸みを帯びたスタイリッシュなデザインも取り入れられたのである。

 つまり、歴代デリカにはシティユースのミニバンという要素だけではなく、クロスカントリーライドにも耐えうる多用途性能が常に盛り込まれ、それを決して忘れない開発姿勢が保たれてきたのだと言えるだろう。

基本コンセプトはそのままに大変革!

 独自の進化を続けてきた三菱デリカシリーズに次の転機が訪れたのは平成19年だった。その2年前にはコンセプトカーが公表され、翌年にはそれが「デリカD:5」と発表されたのである。この車名、「D:5」とは言うまでもなくデリカの5代目モデルであることを意味していた。

 そのD:5、最も大きな変換点は基本プラットフォームだった。これまでのデリカ、初代から基本シャーシはトラック・商用車用であり、先代のスペースギアもパジェロをベースにしていたから、FR車なのである。しかし、このD:5に採用されたのは三菱の世界戦略シャーシであるGSプラットフォーム。このプラットフォーム、アウトランダー、RVR、エクリプスクロス、さらにはあのスポーツマシンであるランサーEVO IXなど、三菱の主力中型乗用車のほとんどに使われている。つまり、D:5はデリカ史上初のFF車ベースとなったのだ。

 これはFFセダンのプラットフォームを流用してクロスオーバーSUVを生み出すという世界的な傾向に乗ったとも言えるのだが、そこはデリカである、ヘビーデューティーにも耐えうる独自のシャーシ構造を持ち込んできた。リブボーンフレームと呼ばれる環状型にボディを包み込むような4本の骨格構造を採用し、アンダーボディにも大型のクロスメンバーを配置することでワンボックスカーとは思えないほどのボディ剛性を獲得。このあたり、他メーカーのクロスオーバーSUVやミニバンとは一線を画するところだろう。

 サスペンションも大きな変更を受ける。これまではフロントにはトーションバーを使ったダブルウイシュボーン。リアはスプリングがリーフや5リンクコイルが使われたが後輪車軸はリジッドのままだった。それがD:5にはとうとうフロントはストラット、リアにはトレーリングアーム式マルチリンクと、4輪独立懸架方式が採用されたのだ。高い剛性を持つリジッドアクスルではなくなったことで悪路走破性を心配する声もあったが、操縦安定性と旋回性能は向上し、トータルでのパフォーマンスにいささかの問題もなかった。

 デリカはやはり、どんなにモデルチェンジを重ねても"デリカ"なのである。三菱が掲げる、『世界唯一のオールラウンダーミニバン』という基本コンセプトはデリカがD:5になっても決して失われることはなかったのだ。

奇策?…フロントマスクが大変貌!

 デリカD:5が登場してからすでに12年目を迎える。その間、多くのマイナーチェンジを重ね、さらに「シャモニー」や「ジャスパー」などの限定モデルを販売することで、高い人気を得てきた。しかし、さすがに12年目である、今年の2月15日、フルモデルチェンジと呼んでもいいくらいの改良を加えた新しいD:5の投入となった。

 現車を目にしたとたん、誰もが「おっと?!」と思うに違いない。これまでの歴代デリカを知っているファンの"常識"を大きく超え、奇抜と言っていいほどのフロントマスクなのだから。ライバル車も導入した、メッキパーツを多用した派手なグリルは昨今の流行であるから置くとして、ヘッドランプである。なんと縦2列という配置、それもロービーム5灯、ハイビーム4灯のLEDがずらりと縦並び。それが横4段のメッキグリルと共に圧倒的な存在感を放っている。

 デザインには当然ながら"好き嫌い"があり、この新D:5のフロントマスクにも否定的な意見もあったと聞く。確かにこれまでのデザイン常識を超えた奇抜さは事実だろうが、筆者はスムーズに受け入れることができた。デリカD:5は、他メーカーのライバル車たちと違った異色の存在である。であれば、三菱の開発スタッフも常識内のモデルチェンジで終わらせるわけにはいかなかったのだろう。この新しいD:5のフロントマスクには三菱デザイン陣の『誰もが考えつかない境地へ踏み込んでやろう!』という"度胸"と"意地"を感じるのだ。彼らの決断を認めないわけにはいかない。"前例踏襲"とか、"常識範囲内"とかでは決して未来など開けないのだから。

 ルーム内に乗り込むと、ひし形のダイヤキルティングが施されたシートが迎えてくれる。知っての通り三菱のロゴはひし形が三つ組み合わされた「スリー・ダイヤモンド」であり、三菱車にはこのシートデザインが必須だったのだろう。そのシート本体も肌触りが良く、しっくりと体を受けとめてくれる。その他のインテリアも高級感があり、これまでのデリカとは違った方向性を示してくれている。

 ルーム内の広さも充分。なにしろ歴代デリカには10人乗り仕様もあったわけで、このD:5もそれを踏襲している。他社製ミニバンにはサードシートなど非常用としか思えない車種もあるようだが、D:5は7人乗車でも余裕のあるドライビングが楽しめる。もちろんレーダーとカメラによる衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報システムなどの三菱e-Assistも搭載され、安全対策も万全だ。

三菱 DELICA D:5詳細写真

インプレッション

ミニバンの常識を打ち破る確立された存在感!

 デリカユーザーの多く、その90%近くがディーゼル4WD車を選ぶという。そのためか、従来型のガソリン車も併売されるが、この新型D:5に搭載されるエンジンはディーゼルのみ。コクピットに乗り込み、新開発のクリーン・ディーゼルエンジンをスタートさせる。外からはディーゼルらしいノイズが聞こえるがルーム内ではほとんど感じない。防音性を高めた強固なボディ構造や、吸・遮音機能付きの厚いフロアマットの効果もあろうが、排ガス性能を向上させるために導入した尿素SCRシステムにより燃焼音が軽減されたことも大きいだろう。

 シフトをDレンジに入れ、アクセルオン。いかに新型とはいえディーゼルである、ガソリン車のような俊敏な加速を期待していなかったのだが、それはあっさりと裏切られた。この新型D:5には8速ATが装備されたのだが、そのために従来型と比べ1速が8%ほどローギアード化された。そのため発進性能が向上し、ディーゼル特有の強力なトルクもあって、見事な加速を見せる。この8速ATミッションの仕上がりが出色であり、変速ショックなどほとんどなくシフトアップしてゆく。変速比0.673という8速に入れ、時速100キロ走行でのエンジン回転数は1500rpmほど。これなら巡航速度での高燃費も期待できるはず。

 パワステも従来型は油圧式だったが、この新型ではデュアルピニオンの電動式に改められた。そのためステアリング操作が格段に向上、総重量2トンの重量級ミニバンを軽々とコントロールできたのである。

 新型D:5の4WDシステムは路面状況を瞬時に把握して4輪に伝える三菱独自の電子制御方式であり、ドライブモードは3パターンから選べる。それは走行中でも路面状況に応じてチェンジでき、通常の市街地では2WDに設定しFF走行。濡れた路面や圧雪路では4WDオート。さらにコース状況が悪化した山岳路や深い積雪路、アイスバーンなどでは4WDロックをチョイスする。実際に雪の残る峠道を走ってみたのだが、4WDロックを選択すると雪解けで濡れた急坂登りや、片輪だけ雪という場面でもストレスなくクリアできた。特に雪の残る急坂登りなどでは、4WDロックにシフトすると後輪に60%の駆動力が配分される。その後方から強力に押される感覚は、パジェロなど本格派クロスカントリーカーと同等の小気味よさだった。

 歴代デリカが築き上げてきたディーゼルターボ4WDカーの系譜、D:5もアウトランダーをベースに開発されたのであるから基本性能は折り紙つき。さらにその4WDシステムは、WRCをはじめとする過酷なラリー競技で鍛えられてきたあのスポーツマシン、ランサー・エボリューションのDNAを受け継いでいるのだ。

 ファミリーユースにも対応する快適なルームを持ちながら、充分な動力性能とスポーツマシン同等の4WD機能まで装備され、山岳路や不整地走行まで得意とし、ドライビングの愉しさをもたらしてくれる新型デリカD:5。それは他メーカー製のミニバンとはまったく異質な、ユーザーに所有することの誇りを感じさせてくれる"唯一無二"にして"孤高"の存在なのであった。

ディーラーメッセージ

北海道三菱自動車販売 南店
販売課 課長代理
社内 信二さん

 ビッグマイナーチェンジを受けた新しいデリカ、その大きなポイントは三菱らしいダイナミックさを表現したフロントマスク。その強烈な存在感はこれまでにない仕上がりです。もちろんラフロードを走る基本性能はこれまで同様のポテンシャルですが、街乗り用のシティクルーザーとして使うお客様のために『アーバン・ギア』というモデルも用意しました。ルームも高級感を持たせ、走りにもやさしさが加味されています。エンジンはディーゼル・ターボですが、フロアマットはじめ静粛性を重視した設計で、その静かさはお客様にも好評です。パワステも新しくなり、8速のミッションはこの新しいデリカにベストマッチです。フルチェンジと言っていいくらい新しくなったデリカ、試乗車も常時ご用意しておりますから、新型デリカのパフォーマンスをぜひ体感してみてください。ご来店、お待ちしています

主要諸元(G-Power 4WD)

全長×全幅×全高:4,800×1,795×1,875mm
ホイールベース:2,850mm
トレッド:前/1,540mm 後/1,535mm
車両重量:1,950kg
最小回転半径:5.6m
エンジン:2,267cc 直列4気筒DOHCディーゼルインタークーラーターボ
最高出力:145ps/3,500rpm
最大トルク:37.7kgf・m/2,000rpm
JC08モード燃費:13.6km/l
ミッション:8AT
ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
タイヤサイズ:225/55R18
駆動方式:4WD
乗車定員:7名・8名
車両本体価格:4,082,400円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA天野)、Photo:青柳 健司(フォトライター)
取材協力:北海道三菱自動車販売 南店 ℡011-531-5181

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