presented by8+9盛夏号New Car Impression

コンパクトカーのイメージを一新させる仕上がり、メルセデスのニューAクラスが登場!!

プロフィール

世界最古の自動車メーカー!

 現在のダイムラーAG、つまりメルセデス・ベンツの車名で知られるドイツの高級自動車メーカーの誕生の歴史を振り返る時、忘れてはならない3名の人物がいる。カール・ベンツと、ゴットリープ・ダイムラー、そしてヴィルヘルム・マイバッハである。

 1883年、カール・ベンツはマンハイムに会社を設立、その3年後にはガソリンエンジンを動力とする4輪車の特許を取得し、これが世界初の自動車だと言われている。ただ、ダイムラーとマイバッハも1885年に排気量246tの4ストローク、0.6馬力というエンジンを搭載する2輪車を発表、翌年には4輪車も開発し、シュツットガルトに会社を設立している。ほぼ同じ時期に4輪自動車を発表した彼ら、それぞれ会社は別であったが『自動車の創始者』と言ってよかろう。つまり、その発祥をたどるとダイムラーAGこそが世界最古の自動車メーカーなのである。

 わずか100キロ足らずしか離れていないところにそれぞれの会社を持っていた3人、この時期にはまったく接触がなかったようだ。カール・ベンツと、ゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハはその互いの存在も知らず、それぞれの自動車開発に没頭していたようで、彼ら3人が一堂に顔を合わせたことは、おそらく一度もなかったらしい。

 それが一変するのが第一次世界大戦である。敗戦国となったドイツが急激な経済危機に見舞われたのは当然であり、経営が難しくなったカール・ベンツのベンツ&シーは、ダイムラーとマイバッハのDMGに合併を持ち掛け、それが成立したのは1926年。その当時、すでにダイムラーは死去していたが、ここにとうとう『スリーポインテッドスター』をエンブレムとし、マイバッハの支援者だったオーストリアの起業家の長女の名前である『メルセデス』を車名とする「ダイムラー・ベンツ」という自動車メーカーが生まれたのである。

 その当時、ドイツはナチス党を率いるアドルフ・ヒトラーの独裁政権下にあり、ヒトラーは国威発揚のため、自動車レース参戦を推奨。その一翼を担ったのがアウトウニオンとダイムラー・ベンツであり、その高性能なレーシングカーは連戦連勝を果たしたのだった。

 そのレース参戦によりダイムラー・ベンツの高性能と高級感は、世界中にアピールされたのは事実であり、第二次世界大戦後も、その復興の中で、それを充分に生かしたメーカー戦略が推し進められていったのである。

コンパクトカー分野にも進出!

 ナチス政権下においては、多様な軍用車を生産していたダイムラー・ベンツ、乗用車ばかりではなく、トラックからバス、さらには軍用エンジンまでも扱う総合自動車メーカーである。欧米の自動車メーカーはボルボのような小規模メーカーでもトラック・バスも製造している。

 その昔、ホンダが欧米進出を果たした時、乗用車主体のメーカーであることから『クルマのすべてを知っているメーカーではない』として評価が低かった時期があったようだ。そのあたりダイムラー・ベンツはすべての車種を生産するという方針を守り続けてきた。

 ただ唯一手を染めなかった分野がコンパクトカーであったのだが、高級乗用車メーカーというイメージから一歩踏み出し、1997年に発表されたのが初代のAクラス(W168型)。この初代、元は電気自動車として設計・開発された経緯があり、大型のバッテリーを搭載するためフロアが二重構造という特色を持っていた。そのため車高、重心位置が高くなり、一部のロードテストでは転倒の危険性も指摘された。しかし、そこはダイムラー・ベンツである、すぐさま対応策をとり、その不安感を払拭してしまうのだ。

 2004年に登場した2代目Aクラスも初代のコンセプトは踏襲していたが、サスペンションやパワーステアリングなどすべてが一新されていた。ここにメルセデスのFFコンパクトカー部門での評価が確立されたと言っていいだろう。

 それをさらに推し進めたのが2012年に発表された3代目だった。FF専用として開発され、すでに“兄貴分”であるBクラスに採用されていた新プラットフォームMFA(メルセデス・フロントドライブ・アーキテクチャー)をベースとしていた。これによりボディサイズも拡大、コンパクトカーの枠を超え、ライバル車を凌駕する高性能を身につけたのである。

 そして、昨年の4月、ヨーロッパで発売開始となった4代目の新Aクラス。全長を120o、ホイールベースも30o延長することで室内空間を拡大しグレードアップ、上級車であるSクラスと同等の安全運転支援システムも搭載可能という、ハッチバック市場に新しい“風”を吹き込んでくれた。

メルセデス・ベンツ A200d詳細写真

インプレッション

メルセデスらしさ満載のコンパクトカー!

 試乗用に提供されたのは白のA200d。フロントグリルには大きなスリーポインテッドスターのエンブレム、コンパクトカーではあるが“メルセデスらしさ”を主張している。ボディサイドにも奇をてらった無駄なプレスラインなど見あたらず、ルーフラインもスムーズにリアエンドへ向かって絞られてゆく。このあたり上級車のCクラス、Eクラスと同じイメージで、その飽きの来ないデザインには好感が持てる。

 この試乗車にはAMGラインと呼ばれるオプションが装備されていた。そのため、素晴らしい仕上げのAMGロゴ入りの18インチアルミホイールやフロントスポイラー、リアデフューザーなどが装着されている。これらが新型Aクラスのエクステリアをさらに磨き上げてくれている。ちょっと“茶目っ気”を感じさせたのがリアバンパーに開けられたエキゾースト。実はこれダミーで、本物のエキゾーストパイプはその奥に下向きに設置されているのだから思わずニヤリとさせられたのである。。このAMG仕様はインテリアも同様で、赤・黒のツートーン本革シートや、好評だという64色から選べる室内照明アンビエントライトなどが室内環境を快適にしてくれる。

 このほか、新Aクラスには様々なオプションが用意されている。Sクラスと同等の最先端の安全運転支援システムや、「ハイ、メルセデス!」でおなじみのMBUXと連動したナビゲーションパッケージ、360度カメラパッケージなどもすべてオプションなのだ。これらを必要とするか不要なのか、ユーザー層は多様であり、標準車には必要最低限の装備品で車両価格を抑えるというメルセデス・ベンツの方策は評価できる。

 しかし、この魅力的なオプション、追加金額を負担しても最上のメルセデスを入手するためには充分に価値があるとも思うのだ。

新感覚の操作性と強力なクリーンディーゼル!

 コクピットに乗り込み、本革張りのシートに腰を落ち着ける。このシート、かなり座面が固い。ロングドライブではこの固いシートが腰への負担を軽減してくれるのだろうし、高級感もある。ただしスポーツ派にとってはもう少し体が沈み込む形状が好まれるかもしれない。

 視線を前方に向けると普通はそこにあるはずのメーターパネルがない。「はて?」と思いながらエンジンスタートボタンを押すと、横長のディスプレイにスピードメーター、タコメーター、その他の情報がすべて浮かび上がってきた。さらにセンターコンソールにはシフトレバーがなく、タッチパッドがあるだけ。試しに「ハイ!メルセデス」と呼び掛けてみたらMBUXから即座に返答がきた。

 この時点で古いタイプのドライバーである筆者にもわかってきた。このクルマは単なる移動手段としての自動車ではなく、スマートフォンやパソコンのように家電製品としても楽しめるようにできているのだ。そう考えると、新Aクラスの契約者は25%以上が女性であり、実際に乗っている女性はそれ以上という状況にも納得がゆくというもの。

 スタートボタンを押し、エンジンをかける。このディーゼル、すでにCクラスやEクラスにも搭載されて定評のある「OM654」タイプをFF用に横置きにしたもので、排ガス対策をさらに進化させている。外ではディーゼル特有の作動音を感じるが、ルーム内ではディーゼルとは思えない静粛性を保っている。

 そこでシフトである。シフトレバーが通常はそこにあるはずのセンターコンソールやダッシュボードには見当たらないのだ。実はこのAクラス、国産車だとステアリングの右側にあるウインカーレバーがシフトレバーなのだ。

 その細いレバーを下に下げるとDレンジ、上に上げるとRレンジ、先端のボタンを押すとPとなる。これはちょっと慣れが必要だろう。とはいえ、パドルシフトも装備されているから、それを使えばスポーツドライビングにもなんら問題はない。トランスミッションだが、Aクラスには欧州車に多く採用されているDCT(デュアルクラッチトランスミッション)が搭載されているのだが、これが素晴らしいシフトフィーリング。A200dには8速ミッションで、低回転から力強いトルクを発揮するエンジンとのマッチングはさすがの迫力。

 ただ、その強力なトルクのせいで不用意にアクセルを踏み込むと、タイヤが鳴くほどの予想以上の加速パフォーマンスを見せることがある。そのあたり慣れるまではアクセルワークに気を付けるべきかもしれない。

 市街地走行ではタイヤノイズを多少感じるが、充分な静かさをキープ。トルクフルなエンジンパワーのせいで高速走行での安心感も大きい。アクセルオンのまま大きなRで「8の字走行」をしてみたのだが、トーションバータイプとなったリアサスペンションもグリップを失わない。

 日本国内では昨年末に発表された新Aクラス、受注状況も好調で、納車待ちとなっているほどだそうである。そのAクラスにディーゼル仕様まで加わったのだから、ラインナップは万全。この先もライバル達を引き離すパフォーマンスを発揮し続けることだろう。

ディーラーメッセージ

メルセデス・ベンツ札幌中央営業部
江田 涼太郎さん

 「4代目となったAクラス、その大きなセールスポイントは安全性能。最上級車種であるSクラスと同等の安全運転支援システムを搭載したのです。また、先代モデルよりボディサイズは大きくなりましたが、それがマイナスにはならず、お客様からも「クルマの安定感が増したし、だからと言ってスポーティさも失われていない!」という声をお聞きします。『ハイ、メルセデス!』で話題となっている革新のインフォテインメントシステムMBUXとともに、さらに進化したAクラス、メルセデス・ベンツの自信作の魅力をぜひご試乗いただいてご確認ください。ご来店、お待ちしております」

主要諸元(A200d)

全長×全幅×全高:4,419×1,796×1,440mm
ホイールベース:2,729mm
トレッド:前/1,570mm 後/1,555mm
車両重量:1,470kg
最小回転半径:5.0m
エンジン:1,950t 直列4気筒DOHCターボチャージャー付
最高出力:150ps/3,400~4,400rpm
最大トルク:32.6sm/1,400~3,200rpm
JC08モード燃費:23.3km/l
ミッション:8速AT/DCT
ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
タイヤサイズ:205/60R16
駆動方式:FF
乗車定員:5名
車両本体価格:3,990,000円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA天野)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)
取材協力:メルセデス・ベンツ札幌中央 ℡011-210-0777

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