presented by8+9盛夏号New Car Impression

独創性と普遍性が調和 乗ってこそ真価がわかる新型SUV

プロフィール

伝統あるシトロエンが放つSUV

 シトロエンから新型SUVが登場した。C5は2,000~3,000tエンジンを搭載する中型セダンだが、日本では15年に販売が終了されているので、このモデルは国内での現行ラインアップ中、唯一C5の名前を冠するフラッグシップモデルということになる。

 日本ではここ3~4年SUVが大人気だが、実は世界的にSUVブームである。SUVとはスポーツ・ユーティリティ・ビークルの略称で、スポーツ用多目的車のこと。日常は言うに及ばず、ロングドライブでは人と荷物を大量に搭載でき、アウトドアレジャーにおいては非常に頼り甲斐のある存在となる。家族や友人たちとともに自動車での移動を楽しむ人たちが増えていることに起因するものだろう。

 話をシトロエンに戻そう。自動車メーカーとして設立されたのは1919年。先進的な技術をいち早く取り入れた車づくりが特徴で、ディスクブレーキ、前輪駆動、そして高圧オイルをサスペンションに用いたハイドロニューマチックなど、その姿勢はいつの時代も高く評価されてきた。生み出す車も極めて個性的で、技術のみならずデザインにもその独自性は表現されてきた。

 '76年に経営危機に陥るが、同じくフランスのプジョー傘下となり、グループPSAとして現在に至っている。PSAにはプジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクスホールといったブランドが属しており、ヨーロッパではVWに次ぐシェアを誇る多国籍企業である。日本では小型車のC3、7シーターのC4が販売されており、C5がSUVとなって新たに加わったことになる。

独自性を存分に発揮するエクステリア

 フランス本国ではガソリンエンジンもラインアップされるが、日本においてはクリーンディーゼルを積むSHINE BlueHDiというグレードのみ。今やHVやEVと並び、クリーンディーゼルも広く認知されているので、この判断は間違っていないと思われる。同型モデルにディーゼルが設定されれば8割近くのオーナーがそれを選ぶというフランスだけに、クリーンディーゼルに乗ることは、まさしく現代フランスのモータリゼーションに触れることでもある。

 さてエクステリアを眺めてみよう。現行ラインアップのデザインテイストに倣い、薄型のヘッドライトとフロント中央に描かれるロゴマークが特徴的だ。そしてフォグランプ横、フロントドア下(エアバンプ部分)、ルーフレールに用いられる赤色が印象的。こうした配色センスと遊び心は、他のメーカーには決して真似できない独特のものだ。

 SUVは5ドアハッチバックが多く、室内空間を確保しようとするとエクステリアデザインの自由度はかなり少なくなる。車に詳しくない人に「SUVってどんな車か分かりますか?」と訊けば、「大きめで、背が高くて……」とほぼ同じ答えが返ってくることからもわかる。しかしC5エアクロスはフロントビューを見ただけでシトロエンとわかる上、明らかにどの車とも似ていない個性を持つ。「独特感」は下部にエアバンプが設けられたサイドビューから、安定感のあるリアビューまで続く。ちなみにエアバンブとはC3にも採用されている独自の機能で、強化されたポリウレタン素材にエアを封じ込めて、ボディを衝撃から守るもの。デザイン上も大きなアクセントとなっている。

まさにヨーロッパの主流エンジン2種を搭載

 インテリアも独特だ。日本人が持ちえない感性でデザインされている。もちろん日本車とシトロエン、どちらが優れているかという話ではない。こうしたセンスに触れることも輸入車に乗る楽しみの一つであり、生産国の国民性やライフスタイルを知るきっかけにもなるのである。

 シートの色使いひとつとってもそれは明らかで、ダッシュパネルにも施される赤いステッチもスポーティなアクセントになっている。なおシートバックは中央を柔らかく、サイドを固めにすることで、快適な座り心地とともにスポーツ走行時に体をしっかりとホールドするよう設計されている。このシートは非常に完成度が高く、ごく自然で疲れにくいドライビングポジションをキープしてくれる。さらに後部座席は3名が座れるよう、座面・シートバック・ヘッドレストが明確に3座設計されており、シートバックは3つ各々が倒れるようになっている。これにより長尺物の可搬性、搭載時の安定度は格段に上がる。

 インパネは全面液晶表示。必要最小限の情報しか表示しないので非常に視認性が良く、10分も走行すればなれるだろう。面白いのは、インパネ中央上にある、ボビンメーターをデジタルで表現した速度計だ。'80年代のシトロエンBX/CXなどで見られた機械式ボビンメーターは、通常文字盤の上で針が動くメーターとは異なり、固定された針の奥で速度が書かれた円柱が、糸巻き(ボビン)のように回るという仕組だった。当時オーナーだった知人に見せてもらい、あまりの独創性に仰天したことがあったのだが、シトロエン独自の文化遺産とでもいうべきボビンメーターを、最新モデルでも表現しているあたり、非常に面白い。

シトロエン C5 AIRCROSS詳細写真

インプレッション

独特の乗り味、これがシトロエンの考えるSUV

 ハイドロニューマチックの時代から、シトロエンの乗り味は「魔法の絨毯」と表現されてきた。一般的な車のサスペンションは、オイル又はガスを封入したダンパーと金属バネを組み合わせているが、ハイドロニューマチックはエアスプリングと油圧シリンダー、油圧ポンプを組み合わせ、唯一無二の乗り心地を実現していた。そして今、シトロエンはハイドロニューマチックを現代的に解釈した最新テクノロジー、プログレッシブ・ハイドローリック・クッションを開発した。ダンパーの中にセカンダリーダンパーを設けることで、路面の凹凸に応じてサスペンションの働き方を変えている。これを試すため、凸凹な道を走ってみたのだが、なんとも絶妙な乗り味だ。適切な形容詞が見つからないのがもどかしいが、大きな凹みでも小さな凸でも、できるだけフラットに保とうとする。他の車で「ガン!」とくるようなシーンでも、角がとれたような衝撃に変換してくれる。またコツコツとした小さな突き上げはほとんど感じない。それでいて路面インフォメーションはしっかりと伝えてくるので、減速なりステアリング操作なりの対処も的確に行うことができる。思わず「なんだ、これは」と唸ってしまうほど完成度の高いサスペンションである。

 大柄のボディながらステアリングに対するボディの応答はクイック。剛性も高く、ワインディングでも楽しめそうなほどだ。エンジンはノーマルモードでも十分機敏に走るが、スポーツモードに切り替えた途端に性格が一変、加速力が格段に上がる。豊かなトルクで1・6tに達するボディを軽快に走らせる。このキャラクターはまさにスポーツ。スペースユーティリティも練りに練られているので、SUVというネーミングがピッタリの一台に仕上がっている。白熱するSUVカテゴリーに、独自の価値観と技術を持って斬りこむシトロエン。今後の動向が楽しみでならない。

ディーラーメッセージ

シトロエン札幌南
西川 佳奈男さん

 「フランスに旅行された際、街角で見かけた素敵な車がシトロエンだった」というお客様もいらっしゃれば、長いことシトロエンに乗られているお客様もいらっしゃいます。シトロエンは高い機能性を兼ね備える一方、日常のワンシーンに溶け込む個性的なデザインも魅力。一度魅せられると、とことん好きになってしまうメーカーだと思います。とはいえ、現車を見たことがない、乗ったことがないという方が多いのも事実。デザインにピンときたら、ぜひご試乗ください。お待ちしております。

主要諸元(SHINE BlueHDi)

全長×全幅×全高:4,500×1,850×1,710mm
ホイールベース:2,730mm
トレッド:前/1,580mm 後/1,610mm
車両重量:1,640kg
最小回転半径:5.6m
エンジン:2.0l直列4気筒ターボディーゼル
最高出力:177ps/3,750rpm
最大トルク:40.8sf/2,000rpm
WLTCモード燃費:16.3km/l
ミッション:8AT
ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
タイヤサイズ:235/55R18
駆動方式:FF
乗車定員:5名
車両本体価格:4,240,000円(税込)

テキスト:横山 聡史(Lucky Wagon)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)
取材協力:シトロエン札幌南 ℡011-820-4106

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