presented by10+11錦秋号New Car Impression

最新テクノロジーを満載し、さらに進化した伝統のスポーツセダンが帰ってきた!

プロフィール

自動車史上に燦然と輝く金字塔!

 昔からの自動車ファンにとって「スカイライン」というクルマは特別な存在である。それはスカイラインの最上級モデルだった「GTR」が果たしたレースでの大活躍が大きく影響しているのだが、それを除いてもスポーツ系セダンとして、現在はともかく20年前まではおそらく、「スカG」は日本自動車史上最強の人気を誇るクルマだったのだから。

 スカイラインが誕生したのは昭和32年のこと。太平洋戦争中は陸軍の戦闘機を製造していた立川飛行機や中島飛行機が、紆余曲折の末に生まれた富士精密工業の主要車種として生産開始となったのである。その後、社名は昭和36年にプリンス自動車となるのだが、その社名は皇太子殿下(現在の上皇陛下)がその生産車にお乗りくださったことから来ているという。そのご縁から、プリンス自動車は「プリンス・ロイヤル」という天皇家のお召し車両も製作している。

 ただ、航空機エンジニアが主体であったことのコスト軽視から経営難が続き、さらに最大の出資元であったブリヂストンの意向などもあり、昭和41年には日産自動車と合併。戦後の自動車業界に大きなインパクトを与えたプリンス自動車という技術者集団はわずか5年で姿を消してしまった。

 もし、その時、独自の自動車製造技術を磨き続けてきた「プリンス自動車」を経営難から救い、さらに発展させる指導者がいたのなら、「スカイライン」は日本のスペシャリティカー&スポーティカーシーンを大きく変えていたかもしれないと思うのだ。

ゆるぎないスポーツイメージと絶大な人気!

 スカイラインの評価を確定的としたのは昭和38年に発売開始となった2代目のS50型からだろう。4万キロ保障の封印エンジンや、3万キロ無給油シャーシなど革新的なメンテナンスフリー技術が大きな話題を呼ぶのだ。さらにスカイラインのスポーツイメージを高めたのは翌年の第2回日本グランプリに必勝を期して登場させたスカイラインGTだった。

 フロントノーズを20pも伸ばして、そこには上級車種のグロリア用OHC直列6気筒エンジンを搭載したのだ。この「スカイラインGT」の勝利を阻止しようと、急遽輸入されたのが本格的レーシングマシンのポルシェ904。そして、わずか1周ではあったが、ただの4ドアセダンがポルシェを抜き去り、鈴鹿サーキットのメインストレートに戻ってきたのである。メインスタンドの観客からは大歓声が巻き起こったのは言うまでもない。この出来事こそがゆるぎないスカイライン「レース神話」の発端だったのだ。

 昭和41年にプリンス自動車は日産と合併し、プリンス・スカイラインは「ニッサン・プリンス・スカイライン」と車名変更されるのだが、車両の開発はプリンス側で進められ、昭和43年には3代目となるC10型、通称「ハコスカ」が発表される。1、500tクラスにはプリンス直系のG型エンジンが搭載されたが、GTには日産のL20型エンジンが選択され、それは合併後初のプリンス&日産の融合モデルとなった。

 ただ、スポーツ系の最上級モデルだけはまったく別物。スカイラインといえば忘れてはならない名伯楽、櫻井眞一郎氏に率いられたチームが開発した「GT-R」と名付けられたそのモデルには、純レーシングプロトタイプだったプリンスR380の技術を最大限に活用した新しいDOHC4バルブ直列6気筒の名機S20型が搭載されていた。この「ハコスカGT-R」」が成し遂げた前人未到の49連勝というレース結果がスカイラインの人気を決定的とし、そのスポーツイメージは広く浸透していったのである。

 そして昭和47年、「ハコスカ」にかわって通称「ケンメリ」と呼ばれる4代目が登場。この「ケンメリ」が歴代スカイラインの中で最高の販売台数を記録する。発売の翌年、昭和48年には15万7598台が登録されている。これは昨年、小型・普通車で最も売れた「日産ノート」の販売台数を2万台以上も超えるという好成績だったのだ。

 ただし、残念ながらそこから徐々に販売台数は低下してゆく。モデルチェンジの度にそれを打開しようとボディサイズやバリエーションを見直したのだが、バブルの崩壊とユーザー指向の変化もあり低迷。他の日産車も同様で、日産は経営危機からルノーとの提携を選らばざるを得なくなってしまった。

 ルノーから送り込まれてきたカルロス・ゴーン氏はスカイラインに別格の思い入れがあったらしく、平成13年に11代目のV35型となった時期に「GT-R」」をまったく別車種として独立させ、スカイラインは日産のアメリカを中心とした高級車ブランドであるインフィニティのラインナップに組み込まれる。ここからスカイラインは国内専売車ではなく、日産の世界戦略車という、これまでとはまったく違った路線を歩むこととなったのである。

日産 SKYLINE詳細写真

インプレッション

高級車の豪華さとスポーツ感の両立!

 現行型のスカイラインは2014年に13代目として発表されたV37型である。今回、マイナーチェンジが施されたが、ボディ全体のシルエットにはほとんど変更がない。ボンネットやボディサイドの微妙なプレスラインは健在で、それが欧米では「Q45」という車名で販売されているインフィニティらしい高級感を醸し出している。

 ただし、フロントグリルとリアエンドはまったく違うデザイン。フロントにはこれまで「インフィニティ」のエンブレムが装着されていたのだが、そこには「日産」のエンブレムがとって代わり、そのエンブレムは最近の日産車の象徴でもある逆台形型の「Vモーション・グリル」の中心に装着されたのである。さらにリアのテールランプは、「スカG」であることの証明であった丸型2灯になった。

 これは昔からのスカイラインファンにとって、待望の処置であろう。海外仕様はともかく、国内販売仕様は、「スカイライン」といいながら、どう見てもインフィニティらしい“顔つき”だったわけで、このマイナーチェンジは大歓迎。外観ばかりではなく、ターボモデルに搭載されていたダイムラー・ベンツ製のエンジンやミッションも廃止され、日産独自のエンジンに変更、長く待ち続けた本来の「日産スカイラインGT」がようやく帰ってきてくれたのだから。

 コクピットに乗り込むと黒本革仕様の豪華なシートが迎えてくれる。内装も以前のスパルタンなイメージだった頃とは違い、インフィニティらしい高級感にあふれている。ハンドルも本革巻きでかなり握りが太く、このあたりは海外向けの名残なのだろう。スポーツ派にとってうれしいのは、そのハンドルがほぼ完全な真円であること。忙しいステアリング操作で握りを持ち替えた時の違和感がまったくないのだ。また、カーナビをはじめとする多数の情報が表示されるディスプレイがダッシュボードから飛び出していないことも好感度が高い。一部車種に見られる、前方視界をさえぎるようなディスプレイ設置はスポーツ派ドライバーにとって邪魔もの以外の何物でもないのだから。

 ハンドルから真下に左手をおろすと、これも革巻きのシフトレバーがちょうどいい位置にある。ただ、シーケンシャルで走ろうとすると、大きなセンターコンソールに肘が当たる。シフトチェンジはパドルを使えばいいわけで、スカイラインもハンドルから手を放さず、両腕を左右のひじ掛けに置いて、ステアリングスポーク上にあるスイッチでクルマを操作する。

 それはスカイラインがスポーツ性を失ったわけではなく、欧米を含めて多くのユーザー指向に合わせ、運転負担を軽減してゆくには必要な方策だったろうし、それらの先進技術を使いこなすことがドライバーにも求められるのだろう。

日本初の先進技術を使いこなす喜び!

 メインスイッチをオンにすると、メーターパネルには「EV」の表示が現れる。今回の試乗車は販売数の半分以上を占めるというハイブリッドであり、走り出しはモーター主体でスムーズ。そこからアクセルを踏み込むと、V型6気筒DOHC3・5リッターエンジンがスタートして、ATをマニュアルモードにしておくと、きれいに7、000回転まで上昇し、圧倒的な加速を見せてくれる。これでこそ「スカG」である。

 さて、そこでこの新スカイライン・ハイブリッド仕様の最大の注目点である「プロパイロット2・0」を稼働させてみよう。まず、カーナビに目的地を打ち込んで自動車専用道のインターチェンジに向かう。この運転支援システムは、ゼンリンの3D高精度地図データ(有料で購入する必要がある)が対応するエリアであること、中央分離帯があること、制限速度内で走行していることなど稼働のための条件がある。この条件をクリアし、持っている能力を発揮させることが出来るのは、現状では自動車専用道しかあるまい。

 走り出すと、インターの方向を示してくれるのは通常のカーナビと同様なのだが、インター入口では普通にETC入口に勝手に向かい、スピードをダウンして通過してくれる。そこから本線に乗るために加速している時間はドライバーが操作しなければならないが、巡行スピードになるとハンドルから手を放しても何事もなかったように走り続ける。

 ただ、その速度は制限速度以下であり、そのままであれば追い抜きも自動的に意思を確認されたうえでやってくれる。とはいえ、好天の高速道路上で90q以下で走っているドライバーはそれほど多くない。追い抜く場合、どうしてもアクセルオンで加速するのだが、そうなると「プロパイロット2・0」の作動範囲を超えてしまう。

 とはいえ、制限速度内で走り続ける場合においてドライバーの負担軽減は明らかであり、エマージェンシーブレーキの的確な作動もあり、渋滞時などではさらに有効だろう。現状での最先端といえる自動運転システムをスカイライン・ハイブリッドに搭載してきた日産の心意気、それは認めなければなるまい。

 時代の流れとともに自動車ユーザーの嗜好は変わり続け、現在はミニバンやクロスオーバーカー、軽自動車が主流となり、セダンへの需要は低迷したままである。それはどのメーカーでも同様であり、日産でも「サニー」や「ブルーバード」、「セドリック」など一世を風靡した車種は姿を消してしまった。いまだに“生き残っている”「スカイライン」にしても、国内登録台数は昨年2、600台未満なのだ。

 プリンス時代から60年以上にわたって日産のスポーティセダンの“看板”だったスカイライン。日産はその歴史あるスカイラインをセダン復権の切り札とするのだろう。だからこそ、エンブレムを「日産」に戻し、最新のテクノロジーを搭載したモデルを投入した。日本中に存在する多くの「スカイラインファン」と一緒に、この日産のチャレンジが成功することを祈りたい。

ディーラーメッセージ

日産プリンス札幌販売 白石支店店長
佐藤 悟幸さん

 日産の掲げる新たなクルマ作りの方針がインテリジェント・モビリティなのですが、その三本柱の一つが『もっとつながる便利さを!』というインテリジェント・インテグレーションです。様々な情報ソースとクルマがつながることにより、ワクワク・ドキドキなカーライフを現実のものとしようとする方策が「プロパイロット2.0」です。高精度3D情報と、7個のカメラ、5個のレーダー、そして12個のソナーにより運転支援装置としては最高峰の技術を実現しました。それが、このスカイラインに搭載されたのです。その最新技術、ぜひ一度お店にお立ち寄りその魅力に触れてみてください。

主要諸元(GT Type SP HYBRID 4WD)

全長×全幅×全高:4,810×1,820×1,450mm
ホイールベース:2,850mm
トレッド:前/1,535mm 後/1,560mm
車両重量:1,910kg
最小回転半径:5.7m
エンジン:3,498t V型6気筒DOHC
最高出力:306ps/6,800rpm
最大トルク:35.7kgm/5,000rpm
モーター最高出力:68ps
モーター最大トルク:29.6kgm
JC08モード燃費:13.6km/l
ミッション:電気制御7速ハイブリッドトランスミッション
ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:245/40RF19
駆動方式:4輪駆動(アテーサE-TS)
乗車定員:5名
車両本体価格:6,444,900円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA天野)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)
取材協力:日産プリンス札幌販売 白石支店、℡011-862-6411

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