presented by2018.12+2019.1冬将軍号New Car Impression

レクサス初のFFセダン 満を持して登場

プロフィール

七代目にして国内初投入

 レクサスから「エグゼクティブセダン」と位置付けられるESが国内デビューした。レクサスというブランドは北米で先行して’89年から、国内では’05年から展開されてきた。このため北米と国内では同じ車種にもかかわらず車名が異なっていた時期があり、LSはセルシオ、GSはアリストであったことは周知の通り。今回登場したESは、初代がカムリプロミネント4ドアハードトップ、第二世代から第四世代がウィンダムという国内名称だったが、第五・第六世代は北米と中国を中心とした海外専用モデルであったため、国内発売はなかった。このためESとして国内初登場の当モデルは第七世代ということになる。

 もちろんこうした経緯にはマーケティングに基づくトヨタの戦略がある。なぜならESはFFだからである。これまでのラインアップ中、ハッチバックのCTだけがFFで、ESはセダンとして初のFF車ということになるが、高級車やスポーツカーは伝統的にFRである。そもそも市販車におけるFF方式は、’59年発売のミニMK-1で世界的に広く認知された。エンジン横置き/FFというレイアウトはスペース効率を考慮してのもの。現在販売されている多くの車種がFFを採用しているのも、エンジンルームを省スペース化し、車内空間を広くとるという「節約」方向のメリットを尊重してのことだ。一方の高級車はベクトルが反対であり、こと運転の楽しさという面においてはFRに軍配があがる。

 こう考えると、今回レクサスがESを国内発売した意味は非常に大きい。FFだから高級車ではないということは断じてないし、むしろFFのメリットを生かした高級車を目指すという考え方もある。現にESの第五・第六世代は、海外でレクサスの基幹車種として人気を博してきたのだから。

内外装ともに、極めて上質

 ESにはES300h(ノーマル)、同F SPORT、同version Lと3つのグレードが設定された。3サイズは全長4,975×全幅1,865mm、全高が1,445mmとやや抑えられているため、全体のシルエットが非常にスポーティだ。ボディサイドには複雑なプレスラインが描かれ、陽光を受けて深みのある陰影を生み出す。ホイールベースが2,870mmと長めにとられ、真横から眺めると、スポーツセダンかくあるべしという美しさである。エンジンは全グレード共通で2.5Lの4気筒DOHC。最高出力120ps/最大トルク20.6kgmを発生する強力なモーターが組み合わされて、力強い運動性能を発揮する。

 インテリアは非常に質感が高く、初めてシートに座っても、運転席8way(version Lは10way)の電動シートを調整し、ステアリングに手を伸ばせば、自然に馴染むコクピットだ。ダッシュパネルとセンターコンソールに様々な計器類とスイッチが集中しており、特に12.3インチワイドのディスプレイは圧倒的な存在感。ナビゲーションはもちろん、エネルギーモニターや空調の状況などを鮮やかに映し出してくれる。

 FFの恩恵で後部座席の足元は非常に広く、余裕で5名乗車が可能だ。頭上スペースは身長170cmのレポーターが座って拳一個分だが、快適なシートに身を委ねてしまえばあまり気にならないレベル。むしろ流麗なフォルム実現のためと理解すれば、懸念材料にはならないだろう。

保守的な成り立ちの中にも、最先端技術を導入

 最上級グレードのversion Lには量産車として世界初、デジタルアウターミラー(カメラ式のドアミラー&モニター)がオプション設定されており、試乗車で体験することができた。目新しい技術には賛否両論がつきもので、デジタルアウターミラーについてもネット上で様々な意見が飛び交っている。確かに最初は距離感などで戸惑うものの、15分も走れば慣れる。不安な方は家族などに車外に立ってもらい、実際の感覚を確かめると良いだろう。もちろん冬の北海道のホワイトアウトのような荒天時にどうなるかといった検証は必要だろうが、ヒーター内蔵であり、ウインカーやリバースギアと連動して視界が広がるといった機能も加味すると、今後採用する車種が増えていくことが予想される。なによりレクサスが導入した意義は大きい。

 また安全装備は「この車にこれ以上求めるものはないのではないか」と思われるほどフル搭載されている。例えば「上下2段式アダプティブハイビームシステム」。対向車のヘッドランプや先行車のテールランプ、周囲の明るさを判別し、対向車・先行車にハイビームを当てないよう制御するというもの。また「ブラインドスポットモニター」は、後側方エリアの他車や隣接車線の最大60m後方までモニターすることで、ドアミラーやデジタルアウターミラーの死角を補うというもの。ドライバーのうっかりミスをクルマがカバーすることで輪禍を減らし、いずれは自動運転支援につながっていく技術である。

レクサス ES300h詳細写真

インプレッション

国内最高峰のスポーツセダン

 記録的に遅かった初雪と、それに続く積雪が一旦解けた試乗日。乾いた路面に走り出てみて最初に驚かされたのは、圧倒的な静粛性だ。大げさではなく、エンジン音とロードノイズしか聞こえず、ボディや内装のきしみ音、不快な風切音などは皆無。この感動は16年11月、IS300hに試乗して以来である。そして生活道路の至るところに存在するマンホールや路面の凸凹も、心憎いほどソフトにいなす。突き上げ感はなく、かといってフワフワでもない。ショックを吸収するというよりは、何事もないようにいなしているという表現がぴったりだ。

 山へ向かい、ワインディングに足を踏み入れると、路面はシャーベット状の雪。まずはブレーキングを試すが、アンチロックブレーキが絶妙に介入してくれるおかげで、恐怖感が少ない。そしてボディとステアリングの剛性が高いので、挙動が安定している。続いてコーナリングを試すと、これはまさにオンザレール感覚。ニュートラルから僅かにオーバーステア気味な感覚さえあり、ステアリング操作に対してダイレクトにボディが動く。運転していて非常に楽しく、かといって過度にストイックでもない。こうしたマナーも、スポーツセダンの見本のようだ。

 これらを実現しているのは煮詰められたGA-Kプラットフォーム、スウィングバルブショックアブソーバー(世界初)、アダプティブコーナリングアシストなどの技術であるが、一般的には目に見えない部分であり、まして言葉で説明は難しい。冒頭FFについて記したが、ESの走行性能はすでに「FRとFF、どちらが良い?」という議論を超越しており、このニュアンスだけは試乗していただかなければ絶対に分からない。そして「目に見えない部分にもしっかりと投資」した結果が、レクサスというブランドの価値であり、価格であると思う。

 今回ご協力いただいたレクサス宮の森は、’05年の開店から13年を経て、店内改装を終えたばかり。明るく開放的なショールームでカタログ片手に車両の隅々まで確かめた後は、ぜひ試乗をお勧めしたい。路面状況が刻々と変わる冬季間こそ、ESの基本性能を体験するにふさわしいステージかもしれない。

ディーラーメッセージ

レクサス宮の森
セールスコンサルタント
柿崎 直也さん

 私たちが製品について学ぶ研修にはサーキット走行も含まれます。加速・減速・コーナリングを自分の身体で体験し、お客様に伝えることが目的ですが、ESを運転してみて、優れたボディ剛性やステアリングレスポンス、静粛性と乗り心地には驚きを隠せませんでした。見えない部分にもしっかりと手を入れて仕上げられたESは、ご試乗いただいてこそ真価をご理解いただけるものと考えております。ドライブには厳しい季節となりますが、是非ステアリングを握っていただければと思います。

主要諸元(version L)

全長×全幅×全高:4,975×1,865×1,445mm
ホイールベース:2,870mm
トレッド:前/1,590mm 後/1,600mm
車両重量:1,730kg
最小回転半径:5.9m
エンジン:2,487cc 直列4気筒DOHC
最高出力:178ps/5,700rpm
最大トルク:22.5kgm/3,600〜5,200rpm
モーター最高出力:120ps
モーター最大トルク:20.6kgm
JC08モード燃費:23.4km/L
ミッション:CVT
ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
タイヤサイズ:235/45R18
駆動方式:FF
乗車定員:5名
車両本体価格:6,980,000円(税込)

テキスト:横山 聡史(Lucky Wagon)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)
取材協力:レクサス宮の森 ℡(011)611-5000

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