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世界的ベストセラーカー「トヨタ・カムリ」に、さらに走りを磨きスポーティセダンへと進化した新グレード「WS」が誕生!

プロフィール

予想外の急成長でベストセラーに!

 「カムリ」という車名を持つクルマが誕生したのは昭和55年のことである。その頃、若年層向けトヨタ系ディーラーがカローラ店だったのだが、そこではミドルクラスのセダンは販売ラインナップになく、それがカローラ店にとっての重要課題だった。

 それに応えるための選定されたのが、人気絶頂だったスポーティ2ドアクーペのセリカをセダン化したカリーナ。それを多少デザイン変更しカローラ店での扱い車種にしたのが「セリカ・カムリ」。つまり、当初は「カムリ」という呼称は車名ではなく、カローラのクーペが最初は「スプリンター」と呼ばれたのと同様に、セリカの4ドアセダンを「カムリ」としたわけで、基本の車名はあくまでも「セリカ」だったのだ。

 その頃からトヨタは同一の基本構造を持つクルマを複数ディーラー系列で販売する施策を行っていた。その好例が「マークII」・「チェイサー」・「クレスタ」の3兄弟であり、「カムリ」もその例に沿ったものだと思われていた。そのような経緯で生まれた「カムリ」、おそらくその当時、トヨタ首脳陣もそんなクルマがその後、カローラやクラウンを越えるような世界的大ベストセラーになるとは思っていなかったろう。

 ターニングポイントとなったのは「セリカ・カムリ」がFFへと変更する大変革モデルチェンジを受け、「カムリ」がトヨタの最上級FFセダンとして“ひとり立ち”した昭和57年。その翌年にはアメリカへも輸出開始、さらに6年後にはアメリカでの現地生産も始まり、この生産体制確立が「カムリ」の急成長はますます加速させていった。

 今では、全世界で販売され、派生車種も含めると今年度末には累計販売台数は2000万台に近づくという、まさに押しも押されもしない超ベストセラーカーとなった「カムリ」、すでにトヨタの世界トップブランド、“看板車種”と言っていいだろう。

新たなセダンの魅力を発信するために!

 20世紀の終わり頃、アメリカ産の「カムリ」はGM、フォード、クライスラーというビッグ3を押さえ、ミドルクラスセダンの販売台数トップを視野に入れるほどの好成績を挙げていた。低燃費で低価格、さらにFFのため室内空間も広いというメリットを最大限に生かした結果であった。そのアメリカでの販売実績をさらに向上させるためトヨタが選んだ戦略が、人気最高のストックカーレースNASCARへのレース参戦だった。

 このレース、アメリカではF1など問題にならないくらいの観客動員数を誇り、現在の参戦車種はフォードが「フュージョン」、シボレーが「カマロ」、トヨタは「カムリ」とそれぞれのメイン人気セダンを出走させている。さらに、そのチームをサポートするスポンサーだが、自動車関連企業など少数派で、食品、飲料、洗濯、家具DIY会社等々、まさに日常生活に直結する企業ばかりで、それほど「NASCAR」はアメリカ人の生活にすっかり溶け込んでいる。そのNASCARでトヨタは、2015年にとうとうチャンピオンタイトルを奪い、その成果が販売台数に反映しないわけがなく、カムリは15年連続でアメリカでのセダン販売台数トップの座に君臨しているのだ。

 ただ、これだけ売れてしまうと「カムリ」は身の回りにあるのが当たり前の“生活用品”になってしまい、そこにはクルマとしての趣味性や価値観、存在感などが失われていったのは事実。それを一新させようと昨年1月のデトロイトモーターショーで発表されたのが10代目となる現行型カムリだった。それは大胆にデザインを改め、トヨタの最新技術であるTNGA-Kプラットフォームやダイナミックフォースエンジンを搭載するなど、これまでとはまったく違う観点から開発されたクルマだったのである。

 そんな「カムリ」がヒットしない訳がない。アメリカをはじめ、世界各地でこれまでを上回る評判車種となり、日本国内でも新たなセダンの魅力を発信するハイブリッド専用車として、想定どおりのヒット作となったのである。

トヨタ CAMRY詳細写真

インプレッション

フロントデザインを一新、よりスポーティに!

 昨年の7月、この現行型カムリを目にした時、正直なところ違和感を禁じえなかった。その春にアメリカで発表されたクルマ、さらにNASCARに参戦している筆者が知っている「カムリ」とはフロントマスクのデザインがまったく違っていたのだから。

 そのあたりの事情、理解できないこともない。カムリはマークXを超えるボディサイズを持ち、この先のトヨタ・ミドルクラスセダンを背負って立つ中心車輌として生まれた。そのためにも、クラウンに次ぐ、いやそれと同等の重厚感が必要だったのだ。そのため、日本国内販売では落ち着いたシック系の“顔”に限定したのだろう。

 しかし今回発表された「WS」というグレード、それは「Worldwide&Sporty」の意味だそうだが、現行カムリが国内発表されて1年遅れで、ようやくアメリカ仕様デザインのカムリが日本国内でも入手可能になった。この「WS」のデザインこそが世界戦略車たるカムリ本来の姿なのだ。

 フロントは左右に大きなエアダクト風な開口部を持つダイナミックさ。リアにもトランクリッド上にエアスポイラーを装着、リアバンパー下にはディフューザー状のデザインを採用し、エキパイもクロームの2本出しと、スポーツムード満載なのである。そのあたり、現行型のカムリとはまったく印象が違い、新グレード誕生というより、わずか一年でモデルチェンジしたのかと思うほどの大きな変化をもたらしている。

 外観は大変革を受けたのだが、ルーム内はそれほどスポーツ系の変更は感じられない。今回提供されたグレードは「WS“レザーパッケージ”」だったのだが、本革シートはかなり高級感満載。ただ、スポーツドライビングにはホールド性が必須であり、それを目指すのであればファブリック地で、腰を支えるランバーサポートを解除できるバケット風シートの方が体とシートの密着性という点では良好だろう。ただ、メタル感を持たせたメーターパネルなどは好感度が高い。

 このあたりの感覚、その昔、もう45年以上も前のことになるが、ただのファミリーカーだったカローラに、完全スポーツ仕様のTE27「レビン」が登場した時の驚きと感激。それと同じ感覚を今回、このカムリ「WS」の登場にも感じるのである。

より進化したサスペンション!

 新グレードとして登場した「WS」だが、パワーユニット本体は既存のカムリと同じであり、スポーツイメージを盛り込んだとはいえ、パワーアップなどの処置は加えられなかった。アメリカでは300馬力オーバーの3.5リッターV6エンジン搭載モデルや、エンジンピックアップに優れた2.5リッターNAエンジン車なども販売されているのだが、今回はその導入はなかった。日本国内での「カムリ」はあくまでもハイブリッド専用車であり、それ以外のスポーツ系エンジンが搭載されることはないのかもしれない。

 パワーユニットがこれまでのモデルと同じなのだから走行フィーリングもほとんど変わらない。スタートは120馬力もある強力なモーターで発進し、そこからの加速にはエンジンが加わる。その加速感覚はスムーズであり、他のハイブリッド車に時折見られるモーターとエンジンのタイムラグなどまったく感じられない。総装備重量1.8トンを超えるカムリだが、一般公道を走っている限り、パワーユニットがボディの大きさや車体重量の重さを訴えることはなく、深刻なパワー不足を感じることはないだろう。

 「WS」となって専用装備とされたのがパドルシフトである。ステアリングホイールから手を離すことなくシフトができ、6速ミッションの加減速を楽しめ、これを目当てに「WS」を購入したというユーザーもいたと聞く。ところがメーターパネルにタコメーターは装備されていない。ハイブリッド車であるから、シフト操作によるエンジンのオーバーレブなど起こり得ないのだが、だとしてもエンジン回転のアップダウンは視覚的に楽しめるはず。「スポーツ」を名乗るのであれば、そのあたりにも気を使って欲しかったと思う。

 外観デザインは大きな変化を見せた「WS」、動力性能に関しては従来型モデルと同一だったが、印象に残ったのはサスペンションである。カムリはアメリカでの販売を最優先に開発されたモデルであり、長い行程をストレスなく走るため、いわゆる“アメ車”的サスペンションからスタートしている。そこから日本仕様には別の味付けがされたが、「WS」ではそれがさらにスポーツ系に振られ、そのポイントはダンパーだった。この「WS」のためにダンパーが新設計されたというのだ。

 それは走り始めてすぐに体感できた。フルスロットルで加速しながら細かくハンドルを切り、クルマを左右に振ってみたのだが、そんな一種乱暴な運転にもクルマの姿勢に乱れはない。特にフロント、荷重が掛かりスプリングが縮んでもダンパーがそれをサポートしてクルマの傾きを抑える。反対方向にステアリングが切られ、荷重が抜けてもタイヤの浮き上がりを最小限に規制してくれる。

 乗り心地のよさとスポーツ性を程よくバランスさせて登場した「WS」、個性的なフロントデザインは最高の持ち味であり、そのイメージに合わせたサスペンションセッテイングも成功だろう。残るはスポーツ性あふれた動力性能だけだが、ハイブリッドに特化した車種だけにそれを望むわけにはいくまい。

 「WS」を加えて、トヨタのミドルクラスセダンの中心としての充実度をさらに高めた「カムリ」、世界的ベストセラーカーというポジションをこの先も保持し続けていくことだろう。

ディーラーメッセージ

ネッツトヨタ札幌 中央店
営業スタッフ
安田 壮志さん

 「カムリに“WS”というグレードが誕生しましたが、その最大のポイントはフロントマスクが大きく変わったところです。通常のカムリとはまったく違った力強さが表現されました。先日、ご契約いただいたお客様も『このデザインは気に入った、ぜひ乗ってみたかったんだよ!』とおっしゃってくださいました。カムリはハイブリッド専用車ですから、このグレードのクルマとしては燃費も良好です。シフトもパドルシフトが装備されましたから、マニュアル感覚のドライビングも楽しめます。試乗車も常時ご用意しておりますから、ぜひその楽しさを体感してみてください。ご来店、お待ちしています」

主要諸元(WS“レザーパッケージ”)

全長×全幅×全高:4,910×1,840×1,445mm
ホイールベース:2,825mm
トレッド:前/1,580mm 後/1,585mm
車両重量:1,600kg
最小回転半径:5.9m
エンジン:2,487cc 直列4気筒DOHC
最高出力:178ps/5,700rpm
最大トルク:22.5kgm/3,600〜5,700rpm
モーター最高出力:120ps
モーター最大トルク:20.6kgm
JC08モード燃費:28.4km/L
ミッション:電気式無段変速機
ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク 後/ディスク
タイヤサイズ:235/45R18
駆動方式:FF
乗車定員:5名
車両本体価格:4,363,200円(税込)

テキスト:天野 克彦(BIBIMBA天野)、Photo:川村 勲(川村写真事務所)
取材協力:ネッツトヨタ札幌 中央支店 ℡(011)731-9111

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